血液成分の一つで、骨髄内の巨核球という細胞から分離してできる。直径2~3マイクロメートル(マイクロは100万分の1)。出血すると、血小板同士が集まり固まって、傷口をふさぐ。輸血用の血小板の供給は献血に依存しているが、提供者の減少や医療ニーズの増加などで、世界的に需要に追い付かないとの懸念がある。血小板の減少は白血病やウイルス感染などによって起きる。再生不良性貧血の場合は血小板だけでなく赤血球や白血球など、すべての血液成分が減る。
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骨髄にある多形核巨大細胞の細胞質からちぎれて生じ、流血中に入った有形成分をいう。径2~4マイクロメートルの顆粒(かりゅう)をもった無核の小体である。血中の濃度は1立方ミリメートル中25万~35万個で、半減期は約7日である。血小板中には、筋原線維(筋線維内で収縮をつかさどる細い線維)の中に含まれているものと同じアクチンやミオシン、さらにグリコーゲン、リボソームが含まれている。その顆粒の一種には、アデノシン二リン酸(ADP)、アデノシン三リン酸(ATP)、セロトニン、カルシウムを含み、他の顆粒中には血液凝固因子その他のタンパク質を含む。
血管壁が損傷されると、血小板は、そこの露出したコラーゲン(硬タンパク質)に粘着し、周辺部の細管から顆粒の内容物を放出する。このとき、分泌されたセロトニンは損傷部位の血管を収縮させる。ADPは他の血小板を粘着させ、その顆粒内容物の放出を促す。このような血小板の集まりは、赤血球が入っていないので白色血栓(白栓)という。白色血栓は、損傷された血管からの出血を抑えるうえで、重要な第一歩の過程とされている。
血小板の生成は、血流中に存在するトロンボポイエチン、または血小板生成促進因子(TSF)とよばれる物質によって調節される。この物質は多形核巨大細胞の生成と成熟を促進する。
[本田良行]
血液中の血球の一つで,顕微鏡下でごみのように見える小体。直径1~3μmで,骨髄内の巨核球と呼ばれる母細胞の細胞質がちぎれて血液中に出現したものである。正常では,血液1mm3当りおよそ15万~30万個存在し,循環血中での寿命は約10日である。血小板の細胞膜は血管以外の異物に粘着しやすい性質を有し,また細胞内に含まれている化学物質を放出して血小板どうしが互いに凝集して細胞塊を形成する。このような性質があるため,血管が破れると血小板が粘着,凝集して破れた部位に栓をして,出血を止めるのに重要な役割をはたす。血小板数が減ったり,血小板の機能(粘着,凝集能)が悪いと,軽い外力ですぐ皮膚や粘膜に点状出血を生じ,止血するのにも長時間を要するようになる。これを紫斑病(血小板減少性紫斑病)という。
→血液 →血液凝固 →血球
執筆者:松本 昇
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…献血に際しては,比重が1.052以下の場合は不適格とされる。
[血球haemocyte(blood corpuscle)]
血漿の中に浮遊している血液固有の細胞を血球といい,赤血球,白血球,血小板の3種類に大別される。耳たぶや皮下の静脈などの末梢血管から採った血液(これを末梢血という)について数の割合を調べてみると,白血球1に対して,血小板25,赤血球500である。…
…体腔や閉鎖性循環路をもつ無脊椎動物には,呼吸色素をもつ細胞もみられる。これらの細胞は,機能的にそれぞれ脊椎動物の赤血球や栓球(哺乳類では血小板)に類似し,またその発生は体腔や血管内皮から遊離する形をとるものが多い。一般に無脊椎動物にみられる血球の種類は動物の系統進化との明白な関係がみとめられない。…
※「血小板」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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