外分泌腺(読み)ガイブンピツセン(英語表記)exocrine gland

デジタル大辞泉 「外分泌腺」の意味・読み・例文・類語

がいぶんぴつ‐せん〔グワイブンピツ‐〕【外分泌腺】

外分泌を行う腺。汗腺消化腺唾液腺だえきせんなど。⇔内分泌腺

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精選版 日本国語大辞典 「外分泌腺」の意味・読み・例文・類語

がいぶんぴつ‐せんグヮイブンピツ‥【外分泌腺】

  1. 〘 名詞 〙 外分泌を行なう腺。内分泌腺と異なり一般に分泌物を出す排出管を有する。消化腺、汗腺、粘液腺など。導管腺。⇔内分泌腺

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改訂新版 世界大百科事典 「外分泌腺」の意味・わかりやすい解説

外分泌腺 (がいぶんぴつせん)
exocrine gland

外分泌を行う腺組織をいう。外分泌とは生物が体の内外表面へ生存上有用な物質を分泌することで,体液中へ分泌を行う内分泌と区別される。外分泌腺には,たとえば,唾液(だえき)腺・胃腺・汗腺・乳腺・涙腺・皮脂腺・毒腺・麝香(じやこう)腺・塩類腺・絹糸腺などさまざまな種類のものがある。

 外分泌腺はいずれも,腺上皮が上皮からずれて結合組織内に陥入してつくられる腺体と,分泌物を導出するための道管とからなる。道管は一般に腺体近くでは細いが,被蓋(ひがい)上皮に近い部分では太い。腺体は盲管で,終末部とも呼ばれる。外分泌腺は組織のつくりと機能によって次のように分類される。(1)腺体と道管の形態による分類 腺体の外形が管状のものを管状腺,ふくろ状のものを胞状腺,胞状腺の終末部をひきのばした形を管状胞状腺,分枝するのを分枝腺といい,道管の枝分れするのを複合腺,しないものを単一腺という。(2)分泌物の性質による分類 粘性の小さい液体を分泌する漿液しようえき)腺(膵臓(すいぞう)の外分泌腺・耳下腺・涙腺などで,分泌物にはタンパク質が多量に含まれ,腺細胞には粗面小胞体がよく発達している),粘液を分泌する粘液腺(消化管・気管・顎下(がつか)腺などにあり,粘液の主成分はムチンで,多糖類の硫酸エステルをふくむ複合タンパク質である)および脂肪を分泌する脂腺(皮脂腺などで,この細胞には小管状の滑面小胞体がよく発達し,絨毛(じゆうもう)状のクリスタをもつミトコンドリアがみられる)。(3)分泌物の放出形式による分類 (a)全分泌(皮脂腺)は,分泌物が充満するため核は萎縮し,死んだ細胞が全体として分泌されることをいう。(b)離出分泌(離出汗腺,乳腺)では,分泌物が細胞の表層近くに集まり突出し,突起のつけ根がくびれて離れる。(c)漏出分泌は電子顕微鏡による観察で,さらに開口分泌と透出分泌に分けられる。開口分泌(膵臓外分泌腺細胞,唾液腺の漿液細胞)は限界膜につつまれた分泌顆粒(かりゆう)が細胞膜と癒合し,癒合点が開口して内容物を外に放出する。透出分泌(漏出汗腺)は,細胞膜の変形なしで内容物が細胞外へしみでる形式をいう。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「外分泌腺」の意味・わかりやすい解説

外分泌腺
がいぶんぴつせん

分泌機能をもつ上皮細胞によって構成されている、ヒトあるいは動物の腺組織で、内分泌腺の対語。単細胞腺(粘液を分泌する杯細胞や魚類の孵化(ふか)酵素腺など)もあるが、多くは多細胞からなり、分泌細胞と導管(分泌管)に分かれる。分泌細胞によって産出された分泌物は、導管を通り、体表面、および消化管のような内腔表面に分泌される。分泌様式は一般に3種類が区別される。すなわち、部分分泌、離出分泌、全分泌である。部分分泌とは、分泌物が分泌細胞の細胞膜を通して放出される様式である。離出分泌は分泌物とともに分泌細胞の一部分が細胞体から分離して導管に出される様式であり、全分泌は分泌細胞全体が破壊されて導管内に放出される様式である。

 ヒトあるいは動物の大部分の外分泌腺は部分分泌で、体表面に分泌される汗腺、粘液腺、漿液(しょうえき)腺のほか、内腔表面に分泌される粘液腺、漿液腺、あるいは消化液を分泌する腺などは、いずれも部分分泌に属する。乳腺は離出分泌と考えられる。皮脂腺は全分泌の様式をとり、甲殻類の中腸腺もその一例である。

 なお、内分泌腺の場合には導管がなく、分泌物(ホルモン)は血管内に放出される点が外分泌腺と異なる。

[嶋井和世・八杉貞雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「外分泌腺」の意味・わかりやすい解説

外分泌腺
がいぶんぴせん
exocrine gland

腺細胞がその分泌物を体表面または腸管(→小腸大腸),気管のような管腔の内面に,導管を通じて排出する汗腺唾液腺,消化腺,気管腺などがそれにあたる。ホルモンを分泌する内分泌腺に対していう。皮膚粘膜などの上皮組織結合組織の中に陥没してできたものである。外分泌腺は,分泌物の性状によって粘液腺,漿液腺,混合腺などに,また分泌様式によってエクリン腺アポクリン腺,ホロクリン腺などに分類される。

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世界大百科事典(旧版)内の外分泌腺の言及

【腺】より

…これに外分泌腺と内分泌腺とがある。
[外分泌腺と内分泌腺]
 腺組織がもとの被蓋上皮と導管によって連絡しており,腺細胞から出された分泌物が導管を通って被蓋上皮のほうへ向かうものを外分泌腺exocrine glandという。これに対して,腺組織ともとの被蓋上皮との間にまったく連絡がなくなり,腺細胞から出された分泌物が,そこに分布する血管やリンパ管に出ていくものを内分泌腺endocrine glandという。…

【腺】より

…分泌物を蓄える腺腔をもつ腺と,特別の腺腔をもたず細胞内に分泌物を貯留しているものがある。前者はおもに外分泌腺,後者はおもに内分泌腺であるが,これには例外が多く,たとえば,外分泌腺でも消化管上皮の分泌腺は腺腔がなく,内分泌腺でも甲状腺には腺腔がある。 動物に発達している腺には,その生態や生活史と関連して特殊な機能を発揮しているものがある。…

※「外分泌腺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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