金融商品取引法(2007年改正)に基づき、内閣総理大臣の免許を受けて開設される、金融商品会員制法人または株式会社の組織をとった取引所。金融商品とは、株式、社債、国債、投資信託受益証券、外貨預金、抵当証券、変額年金保険等をいう。これらに関する取引については、従来、証券取引法、銀行法、保険業法、金融先物(さきもの)取引法のような複数の法律で定められていたが、それらを整理・統合して横断的に規定するようにしたのが金融商品取引法である。
金融商品取引所の事業内容は、金融商品の売買やデリバティブ取引を行う現物・先物市場の開設と運営、成立した取引の清算業務である。金融商品取引法制定以前は、会員制組織の取引所のみであったが、この法律により新たに株式会社組織の取引所が可能になった。ただし株式会社組織の場合には株主規制があり、原則として総株主の議決権の20%以上を特定者が保有することはできない。金融商品取引所の実際の名称は、従来どおり「証券取引所」または「金融先物取引所」を使用することができる。証券取引所は、東京、大阪、名古屋、札幌、福岡の5か所であるが、これらのうち前三者は株式会社、そのほかは証券会員制法人である。先物取引専門の東京金融先物取引所は、2007年(平成19)9月に株式会社東京金融取引所に商号を変更した。
金融商品取引所は、公正な金融取引市場を維持し、投資家を保護するために、自主規制業務を行わなければならないとされている(金融商品取引法84条)。そのため、たとえば東京証券取引所では、「株式会社東京証券取引所グループ」の下に、取引所を経営する「株式会社東京証券取引所」と、自主規制を行う「東京証券取引所自主規制法人」を並置している。
[森本三男]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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