どんな病気か
QT延長症候群は、心電図でQTと呼ばれる部分の持続時間が正常な範囲を著しく超えて延長していて、トルサード・ド・ポアンツと呼ばれる特徴的な
トルサード・ド・ポアンツとは、日本語では
この症候群は、先天性のものと後天性(二次性)のものとに分類されます。先天性のものは遺伝性で、QT延長に聴力障害を伴うものと伴わないものとがあります。後天性のQT延長症候群は、薬剤の投与によって引き起こされたり、電解質の異常(低カリウム血症や低マグネシウム血症)や
QTを延長させる可能性がある薬剤は抗不整脈薬、抗生剤(マクロライド系)、抗真菌薬、抗ヒスタミン薬、向精神薬、抗うつ薬、抗潰瘍薬、脂質異常症治療薬など多岐にわたっています。同じ薬剤でも著しくQTが延長する人と延長しない人がいることから、後天性QT延長症候群でも先天性の異常が潜在している可能性もあります。
診断と治療
先天性QT延長症候群の診断は、心電図所見、失神発作の有無(とくにストレス後の失神の有無)、血縁者にQT延長や突然死した人がいるかどうか、などを基準になされます。
近年、遺伝子診断によっても診断が可能になり、先天性QT延長症候群のなかにさらにいくつかのタイプが存在することもわかってきました。
予防治療としては薬物療法があり、徐脈を伴う症例には人工ペースメーカーの植込術も有効です。あるタイプでは薬剤が極めて有効ですが、症状がなくなっても内服を続けなくてはなりません。もちろん、QTを延長させる可能性のある薬剤は禁忌となります。
また、一部のQT延長症候群では、運動や精神的ストレス、水泳、夜間睡眠中の騒音による急な
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
不整脈の一種で、心電図のQ波の開始点からT波の終了点までの時間、すなわちQT間隔の延長(作用)のために、心室性不整脈による失神発作を伴い、ときに心停止に陥る症候群。略称LQTS。
遺伝性のものは遺伝性(先天性)QT延長症候群とよばれ、T波の変調のほか、高頻度で心室性不整脈すなわちトルサード・ド・ポアントTorsades de pointes型心室頻拍(Tdp、倒錯型心室頻拍)や心室細動による失神発作を伴い、ときに心停止から死に至ることもある。イェルベル・ラング‐ニールセン症候群Jervell and Lange-Nielsen syndromeやロマノ‐ワード症候群Romano-Ward syndromeなどの種類があり、前者は常染色体潜性遺伝であるが後者は常染色体顕性遺伝で、前者には先天性聾(ろう)を伴うが後者には伴わない。近年になって、心筋細胞膜にある、カリウムやナトリウムイオンを通す孔(イオンチャネル)を正しく機能させる遺伝子情報の異常によりQT間隔の延長がみられることがわかり、これまで原因不明であった特発性QT延長症候群はこれが原因と考えられている。
ほかにカリウムやナトリウムなどの電解質異常や抗不整脈薬など薬物の作用、あるいは高度の徐脈、脳出血や脳梗塞(のうこうそく)など脳血管障害といった後天的な要素がかかわる二次的QT延長症候群がある。
[編集部]
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