スイカ(英語表記)watermelon
Citrullus vulgaris Schrad.

デジタル大辞泉 「スイカ」の意味・読み・例文・類語

スイカ(Suica)

《〈和〉Super Urban Intelligent Cardの略》JR東日本の開発した、非接触型ICカードを用いる運賃精算システム。定期券や、紛失時に再発行される記名式のものもある。首都圏・仙台・新潟エリアのJRのほか、一部のキヨスクや駅近くのコンビニエンスストア・飲食店などでの買い物にも使える。平成13年(2001)よりサービス開始。→交通系ICカード
[補説]平成25年(2013)3月、北海道圏のキタカ、首都圏のスイカ・パスモ、名古屋圏のトイカマナカ、近畿圏のイコカピタパ、九州圏のスゴカニモカはやかけんの全国10カードが相互利用サービスを開始。

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改訂新版 世界大百科事典 「スイカ」の意味・わかりやすい解説

スイカ (西瓜)
watermelon
Citrullus vulgaris Schrad.

ウリ科の一年草で,果実は夏の大衆果物として重要な位置を占めている。

熱帯アフリカの原産で,エジプトでは4000年以前に栽培されていたことが,今日残っている壁画で明らかになっている。その後地中海沿岸,中央アジア,中近東へと伝えられ,アメリカへはヨーロッパからの移民によって渡来した。中国には11世紀ごろ,中央アジアを経由して入ったといわれる。現在では熱帯から温帯地方にかけて広く栽培されている。

匍匐(ほふく)性のつるは4~6mも伸び,多数の切れ込みの深い葉をつける。基部数枚の葉の葉腋(ようえき)からは子づる(側枝)が発生し,それより先端寄りの各葉腋に巻きひげと1個ずつの花を着生する。花は淡黄色で雌雄異花であるが,同株上に開く。果実は球形または長球形で,重さは15kgに達することもある。果皮は濃緑色から黄色まで変異に富み,縦の縞模様のあるものが多い。果肉は紅色のものが普通であるが,黄色や白色のものもあり,その中に多数の種子が形成される。種皮の色も黒色から白色まで多様である。

江戸時代から明治時代中ごろまでは黒皮の在来系統が栽培されたが,その後欧米や中国から多数の品種が導入され,順化土着して,黒部(くろべ),大山(だいせん),大和(やまと)の3品種が市場を開拓し栽培が広まった。大正時代末期に奈良県で在来大和種より大和2,3,4号が,続いて1928年に一代雑種の新大和が育成され,品種の転換が行われた。戦後は一代雑種が中心になり,現在,天竜2号,縞王マックス,日章レッドなどが主要品種となっている。

スイカは高温,多照を好む。肥料には敏感で,多肥になると栄養生長が旺盛になり,着果不良になる。露地栽培は4月まき,5月植付け,7月中旬~8月に収穫する。近年は露地栽培のほか,ビニルのトンネルやハウスを利用した栽培も多い。果実は開花後35~40日で成熟する。連作するとつる割れ病が発生しやすいので,輪作に組み入れるか,ユウガオ,カボチャなどの台木に接木し栽培する。日本の主産地は熊本,千葉,山形,鳥取の各県である。

果肉の90%以上は水分で,果汁は糖質7.9%と,少量のリンゴ酸やアルギニンを含む。紅色の色素はリコピンカロチンである。種子には約20%の脂肪と50%以上のタンパク質を含み,ほかにフィトステロールウレアーゼを含有している。スイカはほとんど生食用として利用される。果汁はジュース,シャーベットに用い,種子は中国料理の前菜に利用される。そのほか薬用として果汁は利尿に特効があり,また果汁を濃縮して急性や慢性の腎臓炎のときに服用される。

 近縁種のコロシントウリC.colocynthis Schrad.は熱帯アジア,アフリカの乾燥地域原産の多年草で,スイカと葉も花もよく似る。果実は小さく,径10cmぐらいで緑と黄のまだらが入る。果肉は白で味は強い苦みをもち,乾果を下剤に用いる。

普通スイカ(二倍体)の芽をコルヒチンで処理し,染色体が倍化した四倍体を作り,これを母として普通スイカの花粉を交配すると,三倍体の種子ができる。これが種なしスイカの種子である。この種子から生ずる三倍体は不稔性で種子はできないが,普通スイカの花粉を受粉すると果実は大きくなり,種なしスイカとして利用される。ただし栽培上その他で難点があり,あまり普及していない。
種なし果実
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スイカが日本へ伝来した時期を寛永年間(1624-44)とする説は,江戸時代に宮崎安貞ほか数人によって唱えられた。南北朝の禅僧義堂周信(ぎどうしゆうしん)の《空華集(くうげしゆう)》にスイカを詠んだ詩のあることに疑問をもった人もあったが,寛永期伝来はまちがいないとしていたため,そのスイカは別物であろうとされ,寛永説がほぼ定説になっていた。ところが,中院通秀(なかのいんみちひで)の《十輪院内府記》の文明16年(1484)5月21日条には〈西瓜五果〉を贈られたことが見え,季弘大淑(きこうだいしゆく)の《蔗軒日録》同18年6月2日条には〈水瓜納涼ノ食味〉なる語があり,どうやら南北朝ころからスイカの栽培は行われていたようである。《毛吹草》(1638)には肥前,薩摩の名産とされており,これらの地域から諸国にひろまったと思われる。江戸では寛文(1661-73)ころまでは,路傍で切売りしていても武家の中間(ちゆうげん)などしか食べる者はなかったが,それ以後しだいに身分を問わず食べるようになり,〈西瓜大立身なり〉と《八十翁疇昔話(はちじゆうおうむかしばなし)》(1732)は書いている。スイカは,普通そのままか,少量の塩をつけて食べる。砂糖や甘味のシロップをかけることもあるが,千利休が飛喜(ひき)百翁という人に招かれたさい,砂糖をかけたスイカを供され,〈百翁は人に饗応することをわきまへず〉と門人に語ったという話が,《雲萍雑志(うんぴようざつし)》(1843)に見える。スイカの果汁はジュースやシャーベットに用いられるが,利尿の効があるといい,果汁を濃縮した〈西瓜糖〉は腎臓病の薬とされる。なお,種子を乾燥したものは中国料理の前菜に用いられる。
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食の医学館 「スイカ」の解説

スイカ

《栄養と働き》


 スイカはアフリカ西南部を原産地とし、4000年前のエジプトですでに栽培されていたといわれるほど、古い歴史をもちます。日本への渡来は16世紀ですが、明治時代に多くの品種が導入され、一般的に普及するようになりました。西から伝わった瓜という意味から「西瓜」の文字が使われます。
○栄養成分としての働き
 スイカの主成分は水分で、90%以上を占めます。カリウムなどのミネラルやビタミンB1・B2・Cを含有しています。赤い色はカロテンの一種のリコピンによるものです。
 スイカが利尿作用にすぐれていることは一般によく知られていますが、これは、豊富な水分に加えて、体内の余分なナトリウムを排泄(はいせつ)するカリウムが100g中120mgと多く、さらに尿を生成するシトルリンとアルギニンというアミノ酸も含むからです。
 利尿作用により、膀胱炎(ぼうこうえん)や腎炎(じんえん)、ネフローゼ症候群といった腎臓病はもちろん、高血圧や妊娠時のむくみを取り去ります。
〈リノール酸たっぷりの種子は、動脈硬化予防に効果あり〉
 日本ではあまり利用されない種子ですが、たんぱく質と脂肪が多く、そのほかビタミンB群・Eも含んでいます。脂肪は血液をサラサラにする効果があるリノール酸で、これにビタミンEの働きも加わり、動脈硬化や老化防止に効果を発揮します。中国では乾燥させた種子を味付けし、前菜にします。
 なお、種子を目的にするスイカは、果肉は甘みが少なかったりにがみがあるなど、生食に向きません。
○漢方的な働き
 スイカは体の熱を冷ます作用があるので、暑気払いや夏バテ防止に昔から利用されています。のどのかわきの強い病気に処方する漢方薬の「白虎湯(びゃっことう)」と似た効用があるので、「天然の白虎湯」とも呼ばれるほどです。
 利尿作用があり、腎臓や心臓病によるむくみ、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)のむくみとりに効くといわれています。また高血圧、熱性のせき、高熱によるかわきがあるときにも果肉の絞り汁を飲むと、症状が改善します。
○注意すべきこと
 冷え症の人は多食をひかえましょう。また、スイカとてんぷらの食べ合わせが悪いというのは、スイカで体が冷えたところへ、油の多い食品をとると消化が悪くなり、下痢(げり)などを起こすからです。ただし、これは多食した場合の話で、ふつうに食べるのであれば問題ありません。

《調理のポイント》


 スイカの皮にも実と同じような効果があり、漬けものなどで利用したいものです。実は生食のほか、シャーベットなどにします。スイカの糖分は果糖が主です。果糖は低温で甘みを増す性質があるので、できるだけ冷やしたほうがおいしいでしょう。
 選ぶ目安は色つやがよく、縞(しま)がくっきりとしているものです。また、軽くたたくと澄んだ音がし、水に入れると浮くものが美味です。

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知恵蔵 「スイカ」の解説

スイカ

Suica」のページをご覧ください。

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栄養・生化学辞典 「スイカ」の解説

スイカ

 [Citrullus battich],[C. vulgaris].スミレ目ウリ科スイカ属の一年性つる草.果実を食用にする.

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世界大百科事典(旧版)内のスイカの言及

【ウリ(瓜)】より

…種子には胚乳がないが発達した子葉に脂肪分の高い養分が蓄えられているので,以前はナッツとして食べたり,粉末にしてスープに入れたり,食用油や灯油をとったりしていた。野生のスイカの果肉は苦いので,スイカはまず種子が食用になったのではないかといわれている。熱帯ではウリ類の若い茎葉や花蕾(からい)を野菜としているし,日本でもカボチャ類のそれは野菜とされたことがある。…

※「スイカ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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