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昭和初年,反マルクス主義をかかげて結成されたモダニズムの文学集団。1928年,雑誌《新潮》の編集長だった中村武羅夫(1886-1949)は,評論《誰だ? 花園を荒す者は!》(のち同名の評論集に収録)を書き,純文学の花園を踏み荒らそうとするプロレタリア文学にたいする危機意識を表明したが,翌29年には,廃刊された《不同調》にかわって創刊された《近代生活》を中心に,中村が音頭をとって芸術主義の文学集団〈十三人俱楽部〉が結成された。主要なメンバーは,中村のほか,川端康成,竜胆寺雄(りゆうたんじゆう),浅原六朗,嘉村礒多,久野豊彦らである。この〈十三人俱楽部〉を母体として,翌30年には舟橋聖一,阿部知二,井伏鱒二,雅川滉(つねかわひろし)ら新人多数を加えた〈新興芸術派俱楽部〉が創立される。この二つの集団をあわせて新興芸術派と呼ぶが,その活動は《芸術ヴァラエテー》,新潮社版《新興芸術派叢書》などにまとめられている。いわゆるエロ・グロ・ナンセンス時代の都市風俗を軽快にスケッチするところにこの派の特色があるが,31年には新心理派と新社会派に分裂し,運動そのものは短命に終わった。代表作としては竜胆寺の小説《放浪時代》(1928),雅川の評論《芸術派宣言》(1930)などがある。
執筆者:前田 愛
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