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栃木県西部,日光市にある滝。中禅寺湖から発した大尻(おおじり)川(大谷(だいや)川源流部)が男体山から噴出した溶岩にかかって,高さ約97m,幅約7mの滝となっている。中禅寺湖の最深部は水面下163mあるのに対し,華厳滝は97mしかなく,中禅寺湖形成以前の古い大谷川は,現在の華厳滝の位置よりは若干男体山側に寄っていたと考えられる。滝壁は花コウ斑岩の上に集塊岩と安山岩が累重し,上部安山岩の下から湧き出す地下水が華厳滝の途中からカーテン状に流下し,これは十二滝と呼ばれる。滝の下部に幅約50m,奥行き約26mの空洞があり,この奥から湧出した地下水も小さな滝となり,大小の滝の浸食作用が加わって,華厳滝は徐々に上流へと後退している。中禅寺湖湖尻にせきがあって大谷川の流れを調節するため,冬の渇水期も通常は水がかれず,厳冬期には凍結した滝の柱がみられる。有料のエレベーター下の観瀑台からの眺めがよく,明智平の展望台からは中禅寺湖と滝の両方が見られる。中禅寺湖湖畔とともに名勝に指定され,日光国立公園の中心をなす。華厳滝,荒沢にかかる裏見滝,板穴川の霧降滝を日光三名瀑といい,華厳滝が最もよく知られる。
執筆者:平山 光衛
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栃木県日光市中禅寺(ちゅうぜんじ)湖畔の滝。大谷川(だいやがわ)にかかり、日光三名瀑(めいばく)(霧降滝(きりふりのたき)、裏見滝)の第一。中禅寺湖湖畔とともに国が指定する名勝として全国に名高く、日光国立公園の中心景観の一つ。高さ97メートル、幅約7メートル。男体(なんたい)山から噴出した溶岩などが古大谷川をせき止めて出現した中禅寺湖の水が滝となって流れ落ち、滝下に直径約40メートル、水深約5メートルの滝壺(たきつぼ)をつくっている。基盤の花崗斑(かこうはん)岩の上に集塊岩と安山岩が累積して滝壁をつくっている。上部安山岩の下から地下水がわき出して十二滝となって簾(すだれ)のように流れ落ちる。滝壺の水面に近い下部集塊岩に奥行26メートル、幅約50メートルの空洞があり、その奥から地下水が流れ出している。滝は、滝水の落下による滝下のえぐり取りや地下水湧出(ゆうしゅつ)による集塊岩の侵食によって滝壁の下部がえぐり取られ、ついで上部の滝壁が崩落してしだいに後退する。
滝下流の華厳渓谷は、滝が中禅寺湖側に後退してできたものである。中禅寺湖の湖尻(こじり)において水量を調節するため、通常は冬の渇水期にも水がかれることはない。有料のエレベーターの下の観瀑(かんばく)台からの眺めに迫力がある。明智平(あけちだいら)展望台からの眺望もよく、中禅寺湖と華厳滝の両方を見通すことができる。日光からバスが通じ、第二いろは坂を登り、トンネルを二つくぐると滝の上に出る。
[平山光衛]
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