鹿児島市(読み)カゴシマシ

デジタル大辞泉 「鹿児島市」の意味・読み・例文・類語

かごしま‐し【鹿児島市】

鹿児島

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日本歴史地名大系 「鹿児島市」の解説

鹿児島市
かごしまし

面積:二八九・七二平方キロ(境界未定)

県本土のほぼ中央部に位置する。東は鹿児島湾を挟んで桜島に面し、桜島の東半分も当市に属する。南は揖宿いぶすき喜入きいれ町、川辺郡川辺町・知覧ちらん町、西は日置郡金峰きんぽう町・吹上ふきあげ町・松元まつもと町・伊集院いじゆういん町、北は日置郡郡山こおりやま町・鹿児島郡吉田よしだ町および姶良あいら郡姶良町。市域西部を標高四〇〇メートル級の薩摩半島脊梁山脈が南北に走り、その東斜面に標高一〇〇メートル余のシラス台地が形成されている。この台地を浸食して北から稲荷いなり川・甲突こうつき川・田上たがみ川・脇田わきだ川・永田ながた川などの河川が東流し、海岸部に小デルタを形成している。市街地を北に国道一〇号、西に国道三号、南に国道二二五号・同二二六号が走り、それらに沿ってそれぞれJR日豊本線・鹿児島本線・指宿枕崎線が延びる。また西部の台地を北へ九州自動車道、南へ指宿いぶすきスカイライン(指宿有料道路)が通る。鹿児島港・鹿児島新港・鹿児島南港からは桜島・大隅半島のほか、南西諸島への定期船が発着し、鹿児島県のみならず南九州の交通の要衝をなしている。鹿児島の地名の初見は、「続日本紀」天平宝字八年(七六四)一二月是月条にみえる「麑嶋」の記事で、市域は近世の薩摩国鹿児島郡の一部、谿山たにやま郡全域および大隅国大隅郡の一部(桜島地域)からなる。

〔原始〕

遺跡は鹿児島湾に面する丘陵地帯から平野部にかけて多く分布し、立地は時期による違いがみられる。旧石器時代、縄文時代草創期・早期の遺跡は丘陵地帯に遍在しているが、時期が下るにつれ平野部の遺跡が増加する。旧石器時代の遺跡には加栗山かくりやま遺跡・加治屋園かじやぞの遺跡があり、いずれも北西部のシラス台地上に位置する。細石刃・細石刃核などが出土した。縄文草創期の遺跡は南部の台地上に掃除山そうじやま遺跡があり、該期の土器のほか住居跡が二軒検出された。早期になると遺跡数が増加し、加栗山遺跡・鹿児島大学構内遺跡さくらおか団地からは住居跡が検出されている。いずれも台地上に位置する。前期から中期になると平野部に立地する遺跡も増加するが、遺構を伴うものは少ない。代表的な遺跡として春日町かすがちよう遺跡・大竜だいりゆう遺跡などがある。後期の代表的な遺跡として南部に草野くさの貝塚がある。同遺跡は集落と貝塚からなり、多くの漁具・装飾品のほか特殊な土器も出土し、該期の拠点集落の一つと考えられている。ほかに春日町遺跡・大竜遺跡・若宮神社わかみやじんじや遺跡などがある。晩期の遺跡は平野部に移動した感があるが、遺跡数は後期に比べると少ない。

弥生時代前期も平地に立地する遺跡が多い。

鹿児島市
かごしまし

2004年11月1日:鹿児島市が鹿児島郡吉田町・桜島町、揖宿郡喜入町、日置郡松元町・郡山町を編入
【吉田町】鹿児島県:鹿児島郡
【桜島町】鹿児島県:鹿児島郡
【鹿児島市】鹿児島県
【喜入町】鹿児島県:揖宿郡
【松元町】鹿児島県:日置郡
【郡山町】鹿児島県:日置郡

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鹿児島市」の意味・わかりやすい解説

鹿児島〔市〕
かごしま

鹿児島県中部,鹿児島湾に面する中核市。対岸の桜島を含む。1889年市制。1934年西武田村,吉野村,中郡宇村の 3村,1950年伊敷村,東桜島村の 2村を編入し,さらに 1967年谷山市と合体。2004年吉田町,桜島町,喜入町,松元町,郡山町の 5町を編入。県庁所在地で南九州最大の都市。県内の行政,商業,文化の中心地。都市としての歴史は島津貞久が興国4(1343)年多賀山の東福寺城を居城としたときから始まる。その後清水城,内城を経て,慶長7(1602)年 18代島津家久が鶴丸城(鹿児島城)を築いてから,77万石の大城下町として繁栄。城は天守閣をもたず,大藩にしては質素であった(→薩摩藩)。薩英戦争西南戦争,さらには第2次世界大戦と,市街地の多くを焼失する戦災にたびたび見舞われたが,そのつど面目を一新,南九州第一の都市として発展してきた。第2次世界大戦後の都市計画では,西鹿児島駅(現鹿児島中央駅)を中心に道路網が整備され,城下町から近代都市へと急速に変化した。与次郎浜干拓地区は 1972年鹿児島国民体育大会の主会場として造成されたもの。市街地の山下町は県庁,市役所,県文化センターなどが集まる中心部。城山町付近には鶴丸城跡,西郷隆盛終焉地,私学校跡など史跡,名所が特に多い。山之口町,千日町の天文館通りは鹿児島の繁華街。米やサツマイモ,野菜,果樹,チャ(茶),葉タバコなどを栽培し,乳牛や肉牛の飼育も盛ん。工業は食料品製造業が最も多く,配合飼料,ブロイラー加工,冷凍肉,水産加工品,かつお節などの工場が臨海部を中心に立地するが,いずれも小規模。郷土産業としては大島紬,竹細工,つげ細工,薩摩焼などの民芸品,焼酎,漬物,軽羹などの飲食料品がある。旧暦 5月28日の曾我どんの傘焼,旧暦 9月14日の妙円寺(徳重神社〈日置市伊集院〉)詣り,11月3日のおはら祭りは特色ある郷土行事。喜入のリュウキュウコウガイ産地は国の特別天然記念物。吉野の集成館は 2015年世界遺産の文化遺産に登録された。桜島は霧島錦江湾国立公園に属する。JR鹿児島本線,日豊本線,指宿枕崎線の起点。2011年には九州新幹線の博多―鹿児島中央間(鹿児島ルート)が全線開通した。九州縦貫自動車道が鹿児島と福岡県北九州市(門司)を結ぶ。鹿児島本港と桜島港の間にフェリーが就航。面積 547.58km2。人口 59万3128(2020)。

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