エンセナダ(読み)えんせなだ(英語表記)marqués de Ensenada

デジタル大辞泉 「エンセナダ」の意味・読み・例文・類語

エンセナダ(Ensenada)

メキシコ西部、バハカリフォルニア州都市米国との国境の都市ティファナ南東約80キロメートルに位置し、太平洋に面する。天然良港をもち、大型船も寄港可能。釣りなどのマリンスポーツが盛ん。米国からも観光客が多く訪れる。エンセナーダ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エンセナダ」の意味・わかりやすい解説

エンセナダ
えんせなだ
marqués de Ensenada
(1702―1781)

18世紀のスペイン政治家。本名セノン・デ・ソモデビーリャ・イ・ベンゴエチェアZenón de Somodevilla y Bengoechea。スペイン北東部アレサンコAlesancoの出身。家柄や、18歳で海軍省入りするまでの経歴は不明。スペイン継承戦争(1701~14)の末に締結されたユトレヒト条約で、スペインはイタリアでの領土をいったんは放棄したものの、ただちにこれの回復を外交目標に据え、エンセナダはこの政策遂行に多大の功績をあげた。この功績により1736年に、当時ナポリ王だった後のカルロス3世から爵位を授与され、以後、フェルナンド6世およびカルロス3世の2代にわたって重臣の一人として活躍した。海軍の強化、土地台帳の作成とこれに基づく税制の合理化、財政再建、農業振興に向けての道路と運河の建設など、スペイン・ブルボン朝が掲げる改革路線を強力に推進した。

 しかし、当時のスペインの政治社会に圧倒的な影響をもっていたイエズス会処遇をめぐって、王権至上主義の立場から同会の追放を意図するカルロス3世と対立、1766年に発生したエスキラーチェの乱に加担したかどで宮廷を追われ、その政治生命を終えた。

[小林一宏]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エンセナダ」の意味・わかりやすい解説

エンセナダ
Ensenada, Zenón de Somodevilla y Bengoechea, Marqués de la

[生]1702.6.2. アレサンコ
[没]1781.12.2. メディナデルカンポ
スペインの政治家。侯爵。フェリペ5世治世下に首相ホセ・パティニョにその才能を認められて,スペイン海軍の拡充に努め,1732年北アフリカの都市オラン征服に従軍。4年後にはナポリ遠征隊を率いて王子カルロスをナポリ国王に即位させ,侯爵の爵位を得た。 43年フェリペ5世から首相に任命され,次王フェルナンド6世の治世中も有能な行政官として産業の保護育成,税制の改革,教育の振興をはかり,ことに海軍の増強に努め,大西洋,地中海両艦隊を創設するなど,啓蒙主義的施策によって没落したスペインの繁栄に尽力した。外交面では,親フランス政策をとり,同年第2次ブルボン家一族協約を結んだが,その反イギリス的姿勢は宮廷内にイギリス大使による陰謀を招き,54年失脚した。 59年カルロス3世の即位後復活し,税制改革に取組んだが,その親ユダヤ的見解のゆえに追放され (1766) ,再び公職につくことはなかった。

エンセナダ
Ensenada

メキシコ北西部,バハカリフォルニア州北西部の都市。バハカリフォルニア半島基部西岸,太平洋のトドスサントス湾にのぞむ港湾都市で,標高約 13mの海岸低地に位置し,気候は涼しく乾燥している。 1950年以降急速に発展した新興都市で,メキシコの太平洋側の主要港の一つとなっているほか,アメリカ人観光客の主要通関地点となっている国境の町ティフアナの南南東約 100kmにあるため,この町にも魚介料理,海水浴,狩猟,トローリングなどを楽しむ人々が多数訪れ,観光が重要な収入源となっている。農業 (コムギ,オオムギ,ブドウ) ,牧畜,漁業 (イワシ,ロブスター) も重要な産業である。ティフアナを経て州都メヒカリなどと道路で連絡。人口 26万 905 (1990推計) 。

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改訂新版 世界大百科事典 「エンセナダ」の意味・わかりやすい解説

エンセナダ
Marqués de la Ensenada,Zenón Somodevilla y Bengoechea
生没年:1702-81

スペインの政治家。18歳で海軍省へ入る。1736年に侯爵。43年には,大蔵,海軍,インディアスの大臣職を兼任し,内政を改革,科学とともに工業,農業,公共事業の発展をもたらした。しかし,反英・親仏の外交姿勢に固執したこと,カルロス3世のイエズス会士追放に反対したことにより,計2度の亡命生活を余儀なくされた。
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