お俊伝兵衛(読み)オシュンデンベエ

デジタル大辞泉 「お俊伝兵衛」の意味・読み・例文・類語

おしゅん‐でんべえ〔‐デンベヱ〕【お俊伝兵衛】

浄瑠璃近頃河原達引ちかごろかわらのたてひき」などの主人公男女の名。恋敵の官左衛門を刺殺した井筒屋伝兵衛は、相愛の遊女お俊と心中に赴く。実在については諸説がある。

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精選版 日本国語大辞典 「お俊伝兵衛」の意味・読み・例文・類語

おしゅんでんべえおシュンデンベヱ【お俊伝兵衛】

  1. 浄瑠璃「近頃河原の達引(たてひき)」の通称

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「お俊伝兵衛」の意味・わかりやすい解説

お俊伝兵衛
おしゅんでんべえ

浄瑠璃(じょうるり)、歌舞伎(かぶき)に登場する男女の人物名。実在した情死事件の年代や詳細は不明だが、享保(きょうほう)(1716~36)のころ古浄瑠璃、祭文(さいもん)に扱われているという。劇化作品は「お俊伝兵衛物」という一系統をなしているが、浄瑠璃『近頃(ちかごろ)河原(かわら)の達引(たてひき)』の「堀川の段」はとくに有名。歌舞伎には舞踊劇身替りお俊』、4世鶴屋南北作の『勝相撲浮名花触(かちずもううきなのはなぶれ)』などがある。

[松井俊諭]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「お俊伝兵衛」の解説

お俊・伝兵衛 おしゅん・でんべえ

浄瑠璃(じょうるり)の登場人物。
井筒屋伝兵衛は祇園(ぎおん)の遊女お俊にほれて,横恋慕する横淵官左衛門を殺す。ふたりは聖護院(しょうごいん)の森で心中直前にお俊の兄と母親にたすけられにげのびる。元禄(げんろく)(1688-1704)のころ京都でおきた心中事件を素材とし「近頃河原達引(ちかごろかわらのたてひき)」の外題で脚色された。「身替りお俊」などとして歌舞伎にもなった。

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百科事典マイペディア 「お俊伝兵衛」の意味・わかりやすい解説

お俊・伝兵衛【おしゅん・でんべえ】

浄瑠璃,歌舞伎の題材の一つ。京都で起こった心中事件を脚色したもので,有名なのは1782年初演の《近頃河原の達引(ちかごろかわらのたてひき)》。なお,1785年に歌舞伎劇化。お尋ね者になった伝兵衛を思う遊女お俊の真情,お俊の兄猿回し与次郎の親切などを描いた〈堀川猿回し〉の段は,歌舞伎でもしばしば上演される。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「お俊伝兵衛」の解説

お俊伝兵衛
(通称)
おしゅん でんべえ

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
元の外題
近頃河原の達引
初演
寛政9.8(大坂・藤川八蔵座)

お俊伝兵衛
おしゅん でんべえ

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
初演
文化5.4(江戸・中村座)

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世界大百科事典(旧版)内のお俊伝兵衛の言及

【猿曳門出諷】より

…1798年(寛政10)7月大坂中山与三郎座(角の芝居)初演。お俊伝兵衛物の系統に属する作品で,天明(1781‐89)初年ごろ成立の人形浄瑠璃《近頃河原達引》の書換えである。明治期まではよく上演されたが,その後は《近頃河原達引》の上演が多い。…

【近頃河原達引】より

…1782年(天明2)春江戸外記座初演。元禄期(1688‐1704)に京都で起こったお俊・伝兵衛の心中事件を素材にした作品。この巷説は早くから歌祭文や歌舞伎,一中節,浮世草子等々を通じて広く一般に流布していたが,本作はそれに堀川辺に住む猿回しが孝子として表彰されたという出来事などをも採り入れて独自の筋立てを展開させたもの。…

※「お俊伝兵衛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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