クール(英語表記)cool

翻訳|cool

デジタル大辞泉 「クール」の意味・読み・例文・類語

クール(cool)

[形動]
冷たいさま。涼しくてさわやかなさま。「クールな色調」
冷静なさま。冷ややかなさま。「クールに観察する」「クールな反応」
かっこいいさま。「クールファッション
[類語]冷たい冷ややか冷淡薄情不人情非人情無情非情冷酷冷血酷薄無慈悲心無い血も涙も無い

クール(Chur)

スイス東部、グラウビュンデン州の都市。同州の州都。紀元前3000年にケルトが定住、紀元前15年にローマ帝国の統治下となった。アルプスの南北を結ぶ交通の要衝として発展。旧市街にはクール大聖堂をや聖マルティン教会などの歴史的建造物が多い。氷河急行やベルニーナ急行の発着駅があり、観光拠点としても知られる。

クール(〈フランス〉cours)

《流れの意》放送で、週1回の続き物番組の放送期間の単位。13週を1クールとし、1年を4クールと数える。

クール(〈ドイツ〉Kur)

《治療の意》特定の治療に必要とされる一定の期間。

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精選版 日本国語大辞典 「クール」の意味・読み・例文・類語

クール

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( [ドイツ語] Kur 元来は「治療」の意 ) 特定の治療を続ける一定の期間。
    1. [初出の実例]「薬屋はそれをねらって一クールが三〇本などという注射薬を売り出して」(出典:結核をなくすために(1950)〈松田道雄〉病人と医者)
  3. ( [フランス語] cours 「流れ」の意 ) 放送で週一回の続き物番組の放送期間の単位。通常ワンクールは一三週。
    1. [初出の実例]「水戸黄門で一クール(十三本)一ぺんに撮るといふはなしなのだ」(出典:古川ロッパ日記‐昭和三五年(1960)三月四日)

クール

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( [英語] cool 「冷たい、涼しい」の意 ) 冷静、沈着で、熱狂的でないさま。
    1. [初出の実例]「然し那様(あんな)寒冷(クウル)なものでは有るまいと思ふ」(出典:惰けもの(1899)〈徳田秋声〉五)

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改訂新版 世界大百科事典 「クール」の意味・わかりやすい解説

クール
Jacques Cœur
生没年:1395ころ-1456

フランス中世末期の政商。1430年前後ブールジュに臨時政府を構えていたフランス皇太子シャルル(後のシャルル7世)の貨幣鋳造に関与して利益を得,マルセイユを拠点とする地中海貿易にこれを投資。さらにフランス王政府に御用金を用立てて各種利権を得,36年王家のパリ復帰後,財務関係の要職を歴任し,41年に騎士叙任を受け,ベリーその他に領地を購入。42年,王家顧問会議の一員となる。国際的政商,王家財務御用として最高の栄位に登りつめるが,51年王の信任を失い,財産を収公され,54年ローマに亡命。教皇の委嘱を受けて対トルコ作戦に従事中,56年キオス島で死去した。
執筆者:


クール
Chur

スイス東部,グラウビュンデン州の州都。プレスルPlessur川がライン川に合流する手前に発展した都市。人口3万(1992)。ローマ時代に東スイスの重要支配拠点となり,4世紀末には司教が居住した(史料初出は451年)。セプティマーSeptimer,シュプリューゲンSplügen等の重要なアルプス峠の登り口に位置した交通の要路を支配した司教は,中世には絶大な権力をふるったが,15世紀以降,都市クールは司教より大幅な自治を獲得して発展した。現在はアルプス峠への観光・スキー客の中継地として有名。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クール」の意味・わかりやすい解説

クール
Court, Pieter de la

[生]1618. ライデン
[没]1685.4.28. アムステルダム
オランダの経済思想家。 1618年ライデン市の富裕な毛織物業者の子として生れ,ライデン大学で法学,神学を学んだのち,父の跡を継いだ。豊かで知識のある市民として次第に業界や市政に重きをなした。反オランニェ派に属し,オランダ政界の指導者 J.デ・ウィットの信頼と保護を受け,62年『ホラント州の利益』 Interest van Holland ofte Gronden van Hollands Welvarenを出版し,デ・ウィットの考えを擁護した。一時アムステルダムに住み,72年デ・ウィットが虐殺されるとアントワープ (アントウェルペン) に難を避けた。彼は『ライデン市の繁栄』 Het Welvaren der Stadt Leiden (1659) においてライデンの経済的基盤とその繁栄策を論じたが,出版されたのは 20世紀になってからであった。

クール
Coeur, Jacques

[生]1395頃.ブールジュ
[没]1456.11.25. キオス島
フランスの大商人実業家。国王シャルル7世の財務官として重用された。 1441年貴族身分を与えられて王族に等しい待遇を受け,外交,地中海東方沿岸 (レバント) 貿易の拡大,貨幣の安定化,王国常備軍の創設,諸工業や鉱山業 (ボージョレー,リヨン地方) の振興などに活躍して,巨富を得た。 51年讒言 (ざんげん) によって国王に逮捕され,財産を没収されたが,ローマ教皇のもとに逃走。後年国王ルイ 11世は彼の名誉を回復,子供たちに没収財産の一部を返還した。ブールジュの館は,15世紀における民間建築物の範型として重要。

クール
Chur

スイス東部,グラウビュンデン州の州都。イタリアからアルプスの峠を越え,ラインの谷に沿って中部ヨーロッパにいたる交通路に発達した都市で,ローマ時代に起源をもつ。カトリックの聖ルキウス大聖堂 (ロマネスク様式,1175~1282) ,プロテスタントの聖マルチヌス聖堂 (8世紀創設を,ゴシック様式で 1476~91再建) ,司教館 (1728~37再建) ,レティッシュ博物館,州立美術館などがあり,観光客が多い。付近で産する良質のワインの取引の中心地で,軽工業も行われる。住民はほぼ全員がドイツ語を話し,半数強がプロテスタント。スキー場アローザへの交通起点。人口3万 186 (1991推計) 。

クール
Court, Antoine

[生]1695
[没]1760
フランス改革派教会の牧師。ナントの勅令廃止 (1685) 後,無秩序のまま狂信と背教の間をさまよっていたフランスのプロテスタントのために,1715年ニームの山奥の「荒野」と呼ばれる石切場で第1回教会会議を開いて,プロテスタント再建の第1歩とした。さまざまな迫害を受けながらも,スイスのローザンヌにフランス人のための神学校を創設するなどして再建のために尽した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クール」の意味・わかりやすい解説

クール(Jacques Cœur)
くーる
Jacques Cœur
(1395―1456)

フランス中世の大商人。ブールジュに生まれる。毛皮商を父にもち、シャルル7世の時代、対イギリス戦の戦費を調達し、国王と経済、政治上の広範囲にわたって結託し、勢力を拡張した。1439年国王会計方に、さらに数年後には国王評議会のメンバーとなり、貴族となった。東方貿易を通して富の蓄積を進め、フランスの主要都市に彼の代理人を置き、銀行、為替(かわせ)、鉱山、羊毛、貴金属といったあらゆる企業を営み、「雄々しいクール(心臓を意味する)に不可能なことは何もない」といわれた。アニェス・ソレル(シャルル7世の愛妾(あいしょう))毒殺の容疑で逮捕され、莫大(ばくだい)な罰金と全財産の没収を科せられた。彼の名誉は、死後、ルイ11世によって回復された。

[志垣嘉夫]


クール(スイス)
くーる
Chur

スイス東部、グラウビュンデン州の州都。「クーア」と発音したほうが原音に近い。人口3万1551(2001)。プレスール川がライン川に合流する所にできた扇状地上にある古い都市で、ローマ人のラエティア(チロール地方一帯のローマ時代の呼称)支配とともにこの地方の行政、軍事の中心となった。1858年国鉄が開通し、州外の諸中心都市と結合して経済的発展の兆しがみられた。しかし1882年のゴタルト鉄道(ルツェルン―キアッソ間)の開通がグラウビュンデン州の峠交通を衰退させたため、この町の存立基盤も失われた。現在は州内商業の中心地。

[前島郁雄]

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百科事典マイペディア 「クール」の意味・わかりやすい解説

クール

フランスの実業家,大商人。1436年シャルル7世の財務担当官となり,鉱山,工業を開発し,東方貿易を一手に握って百年戦争で疲弊した国家財政を再建,常備軍創設を援助した。その功により貴族に列せられたが,1451年公金横領の疑いで逮捕され,1454年ローマに亡命,キオス島で死去。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「クール」の解説

クール
Jacques Coeur

1395頃~1456

フランスの大商人,実業家。シャルル7世の財務官となり(1436年),重用された。東方貿易,工業・鉱山業で巨富を積み,対英戦の資金供与を行う。のち誹謗により財産を没収され(51年),ローマに逃亡。

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デジタル大辞泉プラス 「クール」の解説

クール〔タバコ〕

ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパンが輸入、販売するタバコのブランド、また、その商品名。タール12mg、ニコチン0.9mg、20本入り。「クール」ブランドとして、ほかに「マイルド」「ライト」、ボックスタイプがある。ブランドはすべてメンソールタイプ。

クール〔ミュージカル〕

ブロードウェイ・ミュージカル「ウエストサイド物語」(1957年初演)の劇中歌。原題《Cool》。作詞:スティーブン・ソンドハイム、作曲:レナード・バーンスタイン。

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岩石学辞典 「クール」の解説

クール

地質時代に活動した火成岩のNd同位体比初生値のほとんどがコンドライト質隕石のNd進化線上にのることから,地球内部に隕石と同様のNd同位体比,Sm/Nd比をもつと考えられた物質[De Paolo, et al. ; 1976].

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「クール」の解説

クール

かっこよいとかしゃれていることの意。インターネットのWebページを指して使われるスラング。「このページはーだ」「ーなサイト」

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世界大百科事典(旧版)内のクールの言及

【B.A.T.インダストリーズ[会社]】より

…世界最大のイギリスのタバコ・メーカーで,300以上の銘柄をもつ。なかでも〈ケントKent〉〈クールKool〉〈ラッキー・ストライクLucky Strike〉などが有名。本社ロンドン。…

【合唱】より

…世界各地の民謡などには多声部のものも多く,ロシア民謡や黒人霊歌などはよく知られている。 古代ギリシア劇のコロスはユニゾンによる歌と舞踏が一体となったもので,合唱を意味するラテン語,英語のコーラス,ドイツ語のコールChor,フランス語のクールchœur,イタリア語のコロcoroの語源は,このコロスに由来する。中世には文化的中心でもあったキリスト教の典礼音楽が発達し,初期ポリフォニー音楽が生まれた。…

【ブールジュ】より

…地下祭室(ベリー公ジャンの墓がある)と内陣は1195‐1214年,身廊と西正面装飾(タンパンの〈最後の審判〉など)は1225‐55年とほぼ2回にわたって建立された。内部ではジャック・クール礼拝堂(クールは同市出身の商人)の《受胎告知》をはじめとし,13,15,16世紀のステンド・グラスが華麗を極めた五彩の光を放っている。他方同市には,中世末期の都市邸宅のみごとな遺構があり,特に1453年に完成したジャック・クール邸は,城砦の様相をみせる西門と,回廊に囲まれた中庭や階段小塔の洗練された装飾とが対比をなす。…

※「クール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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