冷血(読み)レイケツ

デジタル大辞泉 「冷血」の意味・読み・例文・類語

れい‐けつ【冷血】

[名・形動]
冷たい血。⇔温血
爬虫類など)体温調節機能がなく外気温の影響で、通常人間よりも体温が低いこと。「冷血動物」
人間らしい温情に欠けていること。また、そのさま。冷酷。「冷血な人間」
[補説]書名別項。→冷血
[類語](1鮮血生き血人血血液/(3冷たい冷ややか冷淡薄情不人情非人情無情非情冷酷酷薄クール無慈悲心無い血も涙も無いむごいむごたらしい陰惨無残血なまぐさい酸鼻残酷残虐残忍苛酷暴虐悲惨凄惨惨憺さんたんひどい痛ましい痛痛しい見るに忍びない目も当てられない暴戻ぼうれい凄愴せいそう惨烈酷烈戦慄惨劇猟奇猟奇的嗜虐しぎゃく嗜虐しぎゃくすさまじいグロテスク阿鼻叫喚目を背ける

れいけつ【冷血】[書名]

《原題In Cold Bloodカポーティ長編小説。1966年刊。カンザス州実際に起きた殺人事件を綿密な取材もとに描いた作品ノンフィクションノベル初期傑作

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精選版 日本国語大辞典 「冷血」の意味・読み・例文・類語

れい‐けつ【冷血】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 冷たい血液。人間の体温より低い温度の血液。⇔温血。→冷血動物。〔動物小学(1881)〕
  3. ( 形動 ) 人間らしい温情に欠けていること。冷酷なこと。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「藤沢伯の実質は聰明冷血の四字に尽きて居る」(出典:黒潮(1902‐05)〈徳富蘆花〉一)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「冷血」の意味・わかりやすい解説

冷血
れいけつ
In Cold Blood

アメリカの作家T・カポーティの長編小説。1966年刊。アメリカ西部カンザス州の農家で現実に起こった一家皆殺し事件に取材、犯人についての綿密な調査に基づくノンフィクション・ノベル(非虚構小説)として話題になった。アメリカのニュー・ジャーナリズムのはしりともみられている。作者共感インディアンの血を引く犯人ペリーに向けられており、彼のノートに書き付けられていた「人生とは何か。それは暗い夜の蛍の光である。冬に野牛が吐く息である」という、人間存在のむなしさを示すインディアン首長(しゅちょう)のことばに要約できる。

[稲澤秀夫]

『竜口直太郎訳『冷血』(1978・新潮社)』『佐々田雅子訳『冷血』(2005・新潮社)』

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世界大百科事典(旧版)内の冷血の言及

【カポーティ】より

…つづいて,初期の作品を集めた短編集《夜の樹》(1949),第2の長編《草の竪琴》(1951)とやつぎばやに発表したが,このころからゴシック調は希薄となり,《ティファニーで朝食を》(1958)になると,都会女性の心理劇が展開する。ひじょうに多才で,小説のほかに旅行記や映画台本なども書いているが,1966年には実際に起こった殺人事件を克明に取材した《冷血》を発表,ノンフィクション・ノベル流行の先鞭をつけた。【大橋 吉之輔】。…

【ノンフィクション】より

…しかし事実の意味も多義的なものであり,絶えず読み直されるものである。アメリカの作家T.カポーティは,実際に起きた一家4人皆殺し事件を,犯人をはじめ事件の関係者からのインタビューをもとに《冷血》(1966)に仕立て,〈ノンフィクション・ノベルnonfiction novel〉の語を定着させた。また,A.ヘーリーは自分の祖先を探し求めた作品《ルーツ》(1976)を〈ファクションfaction〉(factとfictionの合成語)と呼んだ。…

※「冷血」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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