こま(独楽)(読み)こま

百科事典マイペディア 「こま(独楽)」の意味・わかりやすい解説

こま(独楽)【こま】

軸を中心に回転させる玩具であり,古くから人間の生活の中で親しまれ愛されてきた遊具の一つ。世界中に分布している。 こまは,自然発生的な遊具として捉えることができ,古代エジプトやギリシアからすでに存在しており,日本でも7〜10世紀ころの遺跡から出土している。また,こまは一般に大人や子どもの遊びとして捉えられているが,東南アジアの焼畑耕作民の中には農耕儀礼的な意味を付与しているところもあり,そこでは特定の時期のこま遊びが禁止されたりしている。こまの種類には,そのまわし方の違いからひねりごま,もみごま,糸引きごま,紐(ひも)巻きごま(投げごま),たたきごまむちごま)など数多くのものがある。また,その遊び方にも寿命くらべ(まわっている時間の長さくらべ),けんかごま,賭(か)けごま,そしてこまの曲芸など多数ある。〔こまの力学〕 一般には,固定された一支点のまわりを自由に回転できる剛体をこまという。普通のこまは,軸のまわりに回転対称に,また慣性モーメントが大きくなるように作られる。軸を鉛直にしてこまを速く回転させれば,角運動量保存の法則により,軸は鉛直のまま立つ(眠りごま)。また速く回転しているこまの軸を傾けて立てれば,こまは歳差運動を起こして軸が鉛直線のまわりを回転する(みそすり運動)。歳差運動による軸の回転は,軸の傾きに無関係で,こまの自転が速いほどのろい。なお,こまの軸はみそすり運動のほか,その近くで振動的に小さい運動をしている(章動)。→ジャイロスコープ

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

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