しとど(読み)シトド

デジタル大辞泉 「しとど」の意味・読み・例文・類語

しとど

[副]雨や汗・涙などで、ひどくぬれるさま。びっしょり。
「大きな男は…汗で―になったまっかな額をなでた」〈有島生れ出づる悩み
[類語]びしょびしょびたびた・びしゃびしゃ・びちゃびちゃぐっしょりびっしょりしっぽりぐしょぐしょぐちょぐちょぐしゃぐしゃぐじゃぐじゃぐちゃぐちゃびしょ濡れぐしょ濡れずぶ濡れ濡れ鼠じくじくじめじめじとじとじっとり湿っぽいしっとりしとしと

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精選版 日本国語大辞典 「しとど」の意味・読み・例文・類語

しとど

  1. 〘 副詞 〙 ( 多く「に」を伴って用いる。古くは「しとと」か ) はなはだしく濡れるさまを表わす語。びっしょり。ぐっしょり。じとじと。
  2. 雨、露などにびっしょり濡れるさまを表わす語。
    1. [初出の実例]「蓑も笠もとりあへで、しととに濡れて」(出典:伊勢物語(10C前)一〇七)
    2. 「しとどに濡れ尽した庭のうへには」(出典:露芝(1921)〈久保田万太郎〉五)
  3. 涙、汗などにぐっしょり濡れるさまを表わす語。
    1. [初出の実例]「涙よりも汗にしととになり」(出典:落窪物語(10C後)一)
    2. 「わが袖はしとどに濡れぬ空蝉のうき世の中のことを思ふに」(出典:良寛歌(1835頃))

しとどの補助注記

( 1 )「しとしと」は雨の降るさまや、静的なさまを表わし、「しとど」とは意味の違いが認められ、また、用例の上からも「しとど」の方が古いところから、「しとしと」から「しとど」が成立したとは考えられない。
( 2 )古くは「しとと」で語尾が清音であった可能性があるが、笞(むち)などで打つさまを表わす擬態語「しとと」とは別語と考えられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「しとど」の意味・わかりやすい解説

シトド
しとど / 鵐

鳥綱スズメ目ホオジロ科ホオジロ属のうちの幾種かに対して古くから一般につけられた地方名であり、日本で普通にみられる種に限られる。シトドあるいはシトトと称する鳥は、日本鳥学会が定めた和名に当てはめてみると、ホオジロ、アオジクロジカシラダカが該当する。シトドと発音するのは東北地方に多く、そのほかの地方ではシトトが多い。ついでアオジ、クロジ、ノジコなど肉眼での野外識別が困難な個体を総称してアオシトドあるいはアオシトトとよぶ地方があり、ホオジロをアカシトト、クロジをクロシトト、ミヤマホオジロをヤマシトトとよぶ地方もある。

[坂根 干]

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