アオジ(読み)あおじ(英語表記)black-faced bunting

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アオジ」の意味・わかりやすい解説

アオジ
Emberiza spodocephala; black-faced bunting

スズメ目ホオジロ科。全長 14~16cm。雄は地色が頭部から背,肩が暗い灰緑色,や腰は茶色,背,胸腹部は黄緑色で,肩や翼,胸,脇に黒い縦縞がある。尾羽は両端の 2枚が白く,ほかは褐色。雌の羽色は全体に雄より淡い。シベリア東部,中国東部,サハリン島千島列島,日本のほか,以上と不連続に中国ユンナン(雲南)省北部とフーペイ(湖北)省からカンスー(甘粛)省にかけて繁殖分布する。冬季はネパールからインドシナ半島北部,中国南部,日本,タイワン(台湾)など南方の暖地に渡る。日本では北海道平地原野や林と,本州中部以北の山地や高原で繁殖する。巣はわん型で,林縁の地上や灌木の低い位置につくる。繁殖期には昆虫類や草の種子をとる。冬季は本州中部以南の低地山麓に移動して疎林や林縁,低木茂み,農耕地にすみ,地上でおもに草の種子を食べる。

アオジ(阿吾地)
アオジ
Aoji

北朝鮮,ハムギョンプク (咸鏡北) 道の北東部,ウンドク (恩徳) 郡 (旧称慶興郡) にある鉱工業都市。トゥマン (豆満) 江の下流域に分布するハンブク (咸北) 炭田の一つがあり,褐炭を産する。炭質は揮発分 41%,固定炭素 31%,発熱量 6225kcal/kg。日本統治期の 1936年に石炭液化による人造石油の工場が立地。独立後は 61年からの7ヵ年計画事業で石炭のガス化によるアンモニア合成工場が建設された。薬品肥料などの化学工場もある。ハンブク炭田中のコゴンウォン (古乾原) ,ハクポ (鶴浦) ,南部のミョンチョン (明川) 郡にあるコチャム (古站) 炭田とともに開発に力が注がれている。石炭専門学校がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アオジ」の意味・わかりやすい解説

アオジ
あおじ / 青鵐
black-faced bunting
[学] Emberiza spodocephala

鳥綱スズメ目ホオジロ科の鳥。ホオジロ属38種中の1種で、シベリア南部、バイカル地方、ウスリー川流域、樺太(からふと)(サハリン)、千島、日本、中国北部、青海(せいかい)省、貴州(きしゅう)省などで繁殖し、冬季は中国南部にまで至る。まれにネパール、インド北東部、ミャンマービルマ)、インドシナ半島北部に渡来する。日本では北海道の海岸から山地の亜高山帯に至る間、および本州の近畿地方以北の山地帯で繁殖する。全長約15センチメートル。背面暗緑色、下面緑黄色。繁殖期には複雑な美しい声でさえずるが、冬季はやぶの中を潜行しつつチッチッと鳴く。冬季は本州、四国、九州、琉球列島(りゅうきゅうれっとう)(南西諸島)などの低地で普通にみられる。食物は草木の種子が主で、虫やクモも好んで食べる。5~7月に4、5卵を産む。同じ科に属するシマアオジEmberiza aureolaは全長約13.5センチメートル。雄は背面が暗赤褐色、下面は黄色で、雌では背面に緑褐色縦斑(じゅうはん)がある。国外の分布はアオジよりもさらに広く、繁殖地はウラル山脈以西にもあり、冬季インド東部、マレー半島、インドシナ半島に分布するものも多い。

[坂根 干]


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