改訂新版 世界大百科事典 「ネポス」の意味・わかりやすい解説
ネポス
Julius Nepos
生没年:?-480
ネポス
Cornelius Nepos
生没年:前99ころ-前24ころ
古代ローマの作家。北イタリアの出身。激動の共和政末期に生き,政治的活動をした形跡はないが,共和政主義者のキケロ,アッティクス,詩人カトゥルスらを友人に持ち,とくにカトゥルスは《詩歌集》を彼に捧げている。《世界史》《逸話集》《キケロ伝》《恋愛詩》などの著作は散逸し,ギリシア・ローマの著名な王,名将,詩人,哲学者,歴史家などの伝記を収録した《偉人伝》(少なくとも16巻)のうち〈海外名将の巻〉すべてと,〈ローマの歴史家の巻〉の《大カトー伝》と《アッティクス伝》の2編だけが現存する。伝記は一般読者を対象に,平凡な人生哲学的教訓を織りまぜながら平易な文体で書かれた啓蒙の書で,実証的な歴史書ではない。
執筆者:三浦 尤三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報