日本大百科全書(ニッポニカ) 「パリーニ」の意味・わかりやすい解説
パリーニ
ぱりーに
Giuseppe Parini
(1729―1799)
イタリアの詩人。コモ近郊生まれ。貧しかったために、不本意ながらもミラノで聖職についた。1752年に発表した処女詩集『リパーノ・エウリピーノの詩選集』により、一躍ミラノの文学界に名を馳(は)せた。この作品はアルカディア派の影響を強く受けていたが、しだいにパリーニはその影響を脱して、当時ヨーロッパに広まっていた啓蒙(けいもう)主義に傾倒していき、57年に著した散文詩『貴族に関する対話』では、同じ墓地に埋葬された貴族と詩人の2人の死者が貴族の特権をめぐって語り合い、やがて人間の根源的な平等性を確認しあう。この思想は代表作『1日』――「早朝」(1763)、「真昼時」(1765)、「黄昏(たそがれ)」「深夜」(ともに未完のまま1801年刊)の四部構成の長編詩――に受け継がれ、家庭教師が貴族の若者に1日の過ごし方を教える体裁をとりながら、貴族社会の虚無と腐敗と悪徳とを明るみに出してみせた。
[鷲平京子]