フェアディール(その他表記)Fair Deal

デジタル大辞泉 「フェアディール」の意味・読み・例文・類語

フェア‐ディール(Fair Deal)

1949~52年、米国トルーマン大統領がニューディールにならって行った諸政策社会保障充実タフトハートレー法廃止市民権拡大などを内容としたが、十分な成果をあげられなかった。

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精選版 日本国語大辞典 「フェアディール」の意味・読み・例文・類語

フェア‐ディール

  1. ( Fair Deal ) 一九四九年一月、アメリカ大統領トルーマンが年頭教書で示した政策。ニューディールを継承し、対外的には冷戦期のアメリカの指導的地位の確保、国内的には景気の振興を図った。

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改訂新版 世界大百科事典 「フェアディール」の意味・わかりやすい解説

フェアディール
Fair Deal

アメリカのトルーマン大統領の国内政策の総称。この言葉は,彼が絶対に劣勢といわれた選挙に勝利した直後の1949年1月の年頭教書の中で用いられ,のちしだいに一般化したが,彼自身は1945年9月の立法計画案に始まるとしている。それは〈ニューディールの延長であり,大衆の経済的機会の拡大である〉と説明され,さまざまな進歩的な政策を提示したが,実現しないものが多かった。その中には完全雇用の実現(理念としては1946年雇用法に織りこまれた),人種差別撤廃のための公民権委員会設置,国民健康保険制度の実施,労働組合を抑制するタフト=ハートリー法の廃止などがある。他方,成功した政策としては最低賃金引上げ(公正労働基準法の改定),社会保障の受益者増加(法の適用範囲改定),低所得者向け公共住宅の建設などがある。これら国内政策は,冷戦や朝鮮戦争で対外政策が優先されたため,十分な努力が払われなかった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「フェアディール」の意味・わかりやすい解説

フェア・ディール
ふぇあでぃーる
Fair Deal

アメリカのトルーマン大統領が1949年の年頭教書でルーズベルトのニューディールに倣って初めて使ったことばで、「アメリカ国民はすべて公正な扱い(フェア・ディール)を受ける権利がある」として、連邦政府の経済規制、社会保障充実、タフト‐ハートレー法廃止、農産物価格支持の継続などを内容としていた。しかし同年なかばにアメリカ経済は戦後初めての不況に突入し、税収も減少したため、これらの政策実施のための財源も不足し、トルーマン政権自身の対ソ強硬政策とも相まって、フェア・ディールの諸政策実施よりも軍拡政策に不況打開のコースが向けられていったため、フェア・ディールのもとでニューディールの実績はかえって縮小していった。

陸井三郎

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百科事典マイペディア 「フェアディール」の意味・わかりやすい解説

フェア・ディール

1949年以降米国大統領トルーマンがとった国内政策の総称。社会保障・最低賃金制等の福祉増進に一応の成果をあげたが,トルーマン・ドクトリンに基づく冷戦外交が優先されたため完全雇用実現,国民健康保険制度など実現しないものが多かった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フェアディール」の意味・わかりやすい解説

フェアディール
Fair Deal

1945年9月アメリカの H.トルーマン大統領が議会にあてた教書のなかで提示した国内政策の総称。トルーマンは F.ルーズベルトのニューディールよりも広範な内政上の改革を目指して,一連の福祉政策の立法化を議会に求めた。その結果,最低賃金の引上げ,公共住宅の制定,社会保障の拡充は達成されたが,労働法の改定や公民権法の制定などは議会の保守派にはばまれて実現しなかった。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「フェアディール」の解説

フェアディール
Fair Deal

トルーマン政権の社会政策。ニューディールを継承してリベラル派の立場に立ち,社会保障の拡充,最低賃金引上げ,低廉住宅建設などの施策を推進,連邦公務員における人種差別の廃止でも成果をあげた。

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旺文社世界史事典 三訂版 「フェアディール」の解説

フェアディール
Fair Deal

1949年の年頭教書で,アメリカ大統領トルーマンが表明した国内政策
ニューディールの路線を継承し,社会保障法の拡充,最低賃金の引上げ,反トラスト法の整備などに若干の成果をみたが,タフト−ハートレー法の撤廃案は,共和党の反対を受けて否決された。冷戦が激化する中で,対外政策に重点が置かれるようになったからである。

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世界大百科事典(旧版)内のフェアディールの言及

【トルーマン】より

…戦後はソ連との対決姿勢を強め,47年に〈トルーマン・ドクトリン〉を発表したのをはじめ,48年ソ連のベルリン封鎖に対抗して空輸作戦を指令,49年北大西洋条約機構(NATO)を結成するなど,〈冷戦〉外交を展開し,さらに50年朝鮮戦争にあたって韓国援助のため派兵を決定した。48年の大統領選には彼の政策に対する批判から民主党内が3派に分裂する中で一般の予想をくつがえして勝利をおさめ,内政面ではニューディールを継承・拡大する〈フェアディール〉政策を提唱した。その中西部風の素朴な人柄や凡庸な風采は,ローズベルトとあまりに対照的で国民をとまどわせたが,大統領としてのトルーマンは国防総省,中央情報局(CIA)の設置など政府機構の改革を実現したり,一貫して公民権の擁護を主張し,また,朝鮮戦争に際し方針を異にするマッカーサー司令官を断固解任して文官優位の原則を守ったことなどにみられるように,強力な指導者でもあった。…

※「フェアディール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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