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アブラハム アブラハムAbraham

翻訳|Abraham

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

アブラハム
Abraham

イスラエル民族(→イスラエル)の旧約聖書における最初の「ヘブル人」(創世記 14・13)。元の名は「アブラム」。アブラハムは神のことばに従って繁栄せる故郷カルデアウルと親族を捨て,行く先も知らぬ危険な遊牧の旅に出る(創世記 12・1~4)。神はアブラハムを諸国民の父,子を産めない妻サライ(のちにサラと改名。→サラ)を国々の民の母とするという約束を守って,100歳と 90歳の二人にイサクを与えた。このイサクを通してアブラハムに対する神の約束は成就するが,『創世記』22章のモリヤの山上におけるイサクの燔祭の物語では,神は最も緊張したかたちでアブラハムの信仰を試みた。こうして神は彼の絶対的信仰,全的忠誠のあかしをみて契約を結ぶにいたった。「アブラハムは主を信じた。主はこれを彼の義と認められた」(創世記 15・6)の一句が端的にそれを表している。アブラハムは信仰の父としてキリスト教ユダヤ教イスラム教を通じて重んじられ,新約聖書では「信仰による義」の典型として『ローマ人への手紙』4章,『ガラテヤ人への手紙』3章や,そのほかの個所にたびたび現れる。神への絶対的信仰に貫かれたその生涯は 175歳で終わり,ヘブロンハリール)のマクペラの洞穴に葬られた。

アブラハム
Abraham Ibn Daud

[生]1110頃
[没]1180頃
スペイン,トレドのユダヤ人の史料編修者,哲学者。歴史に関する著作には,1161年までの編年史である『伝統の書』 Sefer ha-Qabbalahがある。彼の哲学はヘブライ語の表題"Emunah Ramah" (崇高なる信仰) で知られているアラビア語で書かれた著作のなかに述べられている。アリストテレスの体系を受入れた最初のユダヤ人学者の一人であったが,彼の著作はやがてマイモニデス著作の前に光彩を失って大きな影響を与えるにはいたらなかった。

アブラハム
Abraham, Max

[生]1875.3.26. ダンチヒ(現グダニスク)
[没]1922.11.16. ミュンヘン
ドイツの理論物理学者。 M.プランクのもとで学び,1897年学位を得た。ゲッティンゲン大学私講師 (1900~08) を経て,ミラノ大学の理論物理学教授をつとめた (09~14) 。 1902年,電子の全質量は電子の電磁的エネルギーによるもので,それ以外の力学的質量はないという剛体電子論を提唱するなど,電磁気理論の改革を試みた。アインシュタイン相対性理論に対しては終生消極的であった。彼の著わした教科書『電気理論』 Theorie der Elektrizitätは広く用いられた。

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百科事典マイペディアの解説

アブラハム

旧約聖書中の人物。イスラエル民族の伝説的な父祖で,その名は〈多くの国民の父〉の意と解される。イサクの父。カルデアのウルに生まれ,約束の地カナンにおもむき,子孫の繁栄を神に約されて,妻サライ(サラ)との間にイサクをもうけた。

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世界大百科事典 第2版の解説

アブラハム【Abraham】

古代イスラエル民族の伝説的な父祖。ノアから10代目に当たり,イサクの父。旧約聖書《創世記》12~25章での伝承によれば,はじめはアブラムAbramと呼ばれていたが,後にアブラハムと神の命令で改名された。この名は〈父は高められる〉を意味したと思われるが,伝承では民間語源的に〈多くの国民の父〉と解され,また意味づけられている。《創世記》の叙述に従えば,アブラハムの父の一家は,ユーフラテス川下流域に比定されるカルデアの町ウルを出て,シリア北部の町ハランに移動し,アブラハムは神の命令を受けてその町で親族と別れ,妻サライSarai(後にサラSarahと改名)および彼に同行した甥のロトとともに神の示す地カナンに着いた。

アブラハム【Karl Abraham】

1877‐1925
ドイツの精神分析医。はじめスイスのブロイラーに師事し,ユングらと一緒に学んだ後,S.フロイトと親交を結び,1907年ベルリンで開業してドイツで最初の精神分析医となった。10年には,やがて国際精神分析運動の中心となったベルリン精神分析学会を設立,ホーナイ,グローバーE.Glover,M.クラインらの教育分析を行った。主な業績は,リビドー発達,性格形成,分裂病,躁鬱(そううつ)病,薬物嗜癖などの研究にあり,人類学や神話学や芸術の分野にも及んでいる。

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大辞林 第三版の解説

アブラハム【Abraham】

旧約聖書に登場するイスラエルの民の祖。イスラムではアラブ族の祖。テラの子。イサクの父。神に対する絶対的信頼と服従により、「信仰の父」と呼ばれる。ユダヤ教・キリスト教・イスラム教でも模範的な篤信者として尊崇される。初名アブラム。

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367日誕生日大事典の解説

アブラハム

生年月日:1875年3月26日
ドイツの理論物理学者
1922年没

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世界大百科事典内のアブラハムの言及

【イスラエル】より

…これにより,前13世紀に,イスラエル人がカナン(のちのパレスティナ)にいたことが確かめられる。他方,旧約聖書によると,民族の起源は,それより4,5世紀前に,ヘブライ人アブラハムがメソポタミア地方からカナンへ移住して来た事件に求められる。遊牧民アブラハムは,のちにイスラエルの神になったヤハウェから,彼の子孫にカナンの地を与えると約束された(〈アブラハム契約〉)。…

【カーバ】より

…ムスリムは日に5回の礼拝を全世界からカーバに向かって行い,巡礼(ハッジュとウムラ)をカーバ目指して行う。コーランではカーバの建設者はアブラハムとその子イシュマエルとされている。伝承によれば,ムハンマドの青年時代のカーバは,高さは人の背丈ほどで屋根もなかったが,火事で焼け落ちたので,ほぼ現在の形に建て直されたという。…

【ハニーフ】より

…〈真の宗教の信徒〉を意味するアラビア語。〈真の宗教〉とは唯一絶対神アッラーに帰依することで,コーランはアブラハムがハニーフであったことを強調する。すなわち,アブラハムは偶像崇拝者ではなくハニーフであり,また,ハニーフではあってもユダヤ教徒でもキリスト教徒でもなかった,と述べている。…

【メッカ】より

… ただしイスラム教徒にとってのこの町の重要性を知るためには,時代をイスラム以前にさかのぼる必要がある。古いアラブの伝承によれば,預言者イブラーヒーム(アブラハム)の生涯はこの地域ととりわけ深い関係をもっている。神の唯一性についての認識をいちだんと深めたとされるこの預言者は,イスラムにおいては特別の尊敬の対象となっているが,そもそもカーバの建設にあたったのは,ほかならぬイブラーヒームであったといわれている。…

【ユダヤ教】より

…したがって,まず民族史を語らずにユダヤ教を説明することはできない。
【歴史】

[古代イスラエル時代]
 前2千年紀初頭に,神に選ばれたヘブライ人アブラハムが,カナン(のちのパレスティナ)へ移住したできごとによって,ユダヤ民族の前史は始まる。遊牧民アブラハムは,彼の子孫にカナンの地を与えるという神の約束を受けた(〈アブラハム契約〉)。…

【預言者】より

…ここでは預言の意味を深め,また長期にわたって預言活動の続いた古代イスラエルに問題をしぼって,預言者の問題をたどる。 古代イスラエルの思想史的発展の記録である旧約聖書では,すでに最も古いいわゆる族長アブラハムを預言者と呼んでいる個所があるが(《創世記》20:7),狭義の預言者は一定の社会史的条件のもとに登場し,活動したもので,その点で広義の預言者的ということと区別したい。モーセに預言者的要素が強いことは彼についての旧約聖書の記述にさかのぼり,歴史的に考えてもある程度にこれを認めうる。…

【口唇期】より

…この時期は,対象を体の中にとり入れてゆく時期であるために,フロイトは〈食人的〉であるとも形容しており,この体内化incorporationが人間の心的機制としての同一化identificationの原形をなしている。さらにK.アブラハムは,口唇期の中に,後期の歯の発育に呼応する〈口唇サディズム期oral sadistic stage〉をとり出した。この時期は単に対象をとり入れるだけではなく,心理的には対象を攻撃し破壊するという関係が生じる。…

【サディズム】より

…広義には性的満足は伴わなくても,残酷さの中に喜びを見いだす傾向は広くサディズムとみなされる。S.フロイトならびにK.アブラハムの精神分析的人格発達理論においては,乳児が母親の乳房をかむことに満足を感じる時期(口唇サディズム期oral‐sadistic stage)および幼児が親の意に反抗して大便を貯溜したり排泄したりすることに満足を感じる時期(肛門サディズム期anal‐sadistic stage)にこの用語をあてている。このように精神分析的発達理論においてはサディズムなる概念は人間に普遍的な現象に対して用いられ,何ぴともこれを通過していくものとみなされている。…

【精神分析】より


[精神分析運動]
 フロイトの精神分析は,性的要因の強調やフロイトがユダヤ人であったことなどから,憤激と嫌悪の的となったが,それでも1908年にはザルツブルクで最初の国際精神分析学会が開かれ,機関誌も刊行されはじめた。そして,10年にはK.アブラハムによってベルリン精神分析学会(研究所)が開設され,さらにロンドン,ウィーン,ブダペストにも学会ができた。またドイツ語圏だけでなくアメリカにも急速に受け入れられ,31年にはニューヨーク,シカゴにも学会が開かれた。…

※「アブラハム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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