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アベノミクス あべのみくす

知恵蔵の解説

アベノミクス

2012年12月に誕生した安倍晋三内閣の経済政策エコノミクスとかけ合わせた造語で、レーガノミクス(1980年代・米レーガン政権の自由主義経済政策)にちなむ。「財政出動」「金融緩和」「成長戦略」という「3本の矢」で、長期のデフレ脱却し、名目経済成長率3%を目指す。
「財政出動」の対策規模は総額20兆円(内13年度補正予算案13.1兆円)で、公共事業が主体となる。東日本大震災からの復興促進・防災体制の強化を軸に、老朽化した道路や橋の再築・修復、学校の耐震補強などが対象。世界金融危機(08年)後では、麻生内閣による「経済危機対策」(09年4月)の補正予算14.7兆円以来の規模となる。
「金融緩和」はインフレターゲット(物価上昇率の目標)を2%に設定。日本銀行(日銀)とは積極的な通貨供給を前提としたアコード(政策協定)が検討されているが、日銀の独立性を損ねるという指摘もある。インフレと連動する円安の流れで、日本のGDP(国内総生産)の約13%を占める、電機・自動車など輸出型産業の再生も図りたい模様。
「成長戦略」は研究開発・イノベーション創出促進、省エネルギー・再生可能エネルギー投資の促進、新ビジネスへのチャレンジなどを骨子としているが、現時点(13年1月)では重点分野が定まっていない。13年6月までに、有識者からなる産業競争力会議(日本経済再生本部に設置)が絞りこむ予定で、環太平洋経済連携協定(TPP)への対応も注目される。
緊縮財政下の再分配を重視した民主党の政策から一転、産業界には期待の声が高まっているが、ばらまきによる「財政出動」や「金融緩和」は一時的なカンフル剤に過ぎず、借金増による財政規律の崩壊も心配される。

(大迫秀樹  フリー編集者 / 2013年)

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

アベノミクス

2012年末に発足した安倍政権が進める経済政策。「デフレからの脱却」を掲げ、(1)日本銀行による大規模な金融緩和(2)政府による機動的な財政出動(3)規制緩和などを通じた成長戦略――の「3本の矢」からなる。

(2016-07-06 朝日新聞 朝刊 神戸・1地方)

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デジタル大辞泉の解説

あべノミクス【アベノミクス】

《第96代内閣総理大臣安倍晋三の名字とエコノミクスを合わせた造語。「安倍ノミクス」「アベノミックス」とも》平成24年(2012)12月に第二次内閣を発足させた自由民主党の安倍晋三が掲げた経済政策の通称。大胆な金融政策・機動的な財政政策・民間投資を喚起する成長戦略を「3本の矢」と呼び、日本経済の再生を目指す。金融政策では、デフレ脱却のため日本銀行と連携してインフレターゲットを設定し、その達成まで日銀が建設国債を引き受ける量的緩和によって市場に資金を供給し、物価の上昇を促す。財政政策では、過去最大級の補正予算を編成。公共事業の拡大などにより需要の創出を狙う。さらに、内閣に設置した日本経済再生本部・産業競争力会議を中心に積極的な成長戦略を策定し、持続的な経済成長を目指す、というもの。総選挙中の平成24年11月に自民党総裁として日銀による建設国債の買い取りに言及したことから市場では期待が先行し、円安・株高が急速に進行した。

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百科事典マイペディアの解説

アベノミクス

2012年12月に成立した第二次安倍晋三内閣の経済政策をさす造語。すでに第一次安倍内閣でも使われていた用語だが,経済政策が小泉構造改革を引き継いだ当時の第一次安倍内閣とは異なっている。
→関連項目安倍晋三再生医療法G20GPIF

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

アベノミクス

第2次安倍晋三内閣の経済政策。積極的な金融緩和や財政支出でデフレーションを払拭し,規制緩和などで新産業を育て,日本経済の強化をねらうもの。2013年1月,安倍内閣総理大臣は所信表明演説で,(1) 大胆な金融政策,(2) 機動的な財政政策,(3) 民間投資(→民間資本形成)を喚起する成長戦略,の三つをアベノミクスの「3本の矢」に掲げた。司令塔として日本経済再生本部が設けられ,経済財政諮問会議も再開された。(1)として,政府は日本銀行との政策連携を強化し,日銀は 2013年1月の金融政策決定会合で,前年比 2%とする物価上昇率の目標や事実上の無制限緩和を決定した。また日銀は黒田東彦総裁のもと,同年 4月の金融政策決定会合で,政策目標をマネタリーベース(日銀が市場に供給する通貨の量)におき,それを国債の大量購入などを通じて 2年間で倍増させる大幅な量的金融緩和を決定した。また (2)として,政府は 2012年度補正予算と 2013年度予算を「15ヵ月予算」と位置づけて財政出動を実施。2014年度予算案も,一般会計の歳出総額が 95兆円をこえる空前の規模とした。(3)では,医療など新産業の育成や女性の働く環境整備などを掲げた。安倍内閣は 2013年6月,日本再興戦略を閣議決定(→閣議)。そのなかで,3本の矢によってデフレーションを克服し,今後を再生の 10年と位置づけ,平均 2%程度の実質経済成長率(→経済成長率)を実現し,10年後には 1人あたりの名目国民総所得 GNIを 150万円以上増やす目標を示した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

アベノミクス
あべのみくす

安倍晋三(あべしんぞう)政権の経済政策の通称。2012年(平成24)末の第二次安倍政権発足前後に打ち出したアベノミクスと、2015年9月の自民党総裁選再選後に表明した新アベノミクスの二つがある。このことばは安倍とエコノミクスeconomicsを組み合わせた造語で、アメリカのレーガン政権が掲げたレーガノミクスにちなむ。
 アベノミクスは「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」の3政策を柱とし、これを「3本の矢」と称してデフレ経済からの脱却や、日本経済を本格的な成長軌道にのせることを目ざした。
 大胆な金融政策では、日本銀行総裁に登用された黒田東彦(はるひこ)(1944― )が、2013年4月、金融市場へ供給するお金の量を大幅に増やす「量的・質的金融緩和(異次元緩和)」を断行し、2年程度を念頭に2%の物価上昇の実現を目標にした。
 機動的な財政政策では、東日本大震災からの復旧・復興事業を中心に公共投資で景気を下支えした。
 成長戦略では、農業、医療、雇用などの規制緩和とこれを地方に広げる地方創生特区の導入や、法人実効税率の引下げ、TPPなど自由貿易の推進、女性や外国人の活用などに取り組んだ。
 アベノミクスは、財政的には成長による税収増で財政再建を目ざす「上げ潮派」に属し、金融的には緩やかなインフレを起こして景気をよくする「リフレ(リフレーションreflation)派」に属すると位置づけることができる。
 2009年には7000円台まで下がった日経平均株価はアベノミクスによって一時2万円台を回復し、外国為替(かわせ)相場は大幅な円安となり、とくに民間企業の業績回復が鮮明となった。一方で、2%台の物価上昇目標は実現できていないうえ、人口減少が日本経済の成長力をそぎ、社会保障改革や格差対策に未着手であるとの批判を受けた。このため新アベノミクスでは、50年後も人口1億人を維持し、だれもが活躍できる「一億総活躍社会」を標榜(ひょうぼう)。これを実現する新3本の矢として「希望を生み出す強い経済」「夢をつむぐ子育て支援」「安心につながる社会保障」を打ち出し、それぞれ国内総生産(GDP)600兆円、希望出生率1.8、介護離職ゼロという数値目標を掲げた。これにより、経済成長を実現し、その果実を子育て支援や社会保障基盤の強化に投じることで労働参加率を高め、さらなる成長につなげる「持続的成長と分配の好循環」を目ざしている。
 なお、アベノミクスの理論的支柱は、エール大学名誉教授の浜田宏一(1936― )、慶応大学教授の竹中平蔵(へいぞう)、嘉悦(かえつ)大学教授の高橋洋一(1955― )らが担っているとされている。[矢野 武]

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