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アホウドリ Phoebastria albatrus; short-tailed albatross

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

アホウドリ
Phoebastria albatrus; short-tailed albatross

ミズナギドリ目アホウドリ科。全長 84~100cm,翼開張 2m40cmに達する大型の海鳥。体はほぼ白いが,後頸部が黄金色で,初列風切羽など上面に黒色部分があり,尾羽の先端も黒い。以前は小笠原諸島鳥島尖閣諸島ポンフー(澎湖)群島に多数繁殖していたが,1886~1902年の間に羽毛採取のため 20万羽以上が撲殺された。一時は絶滅が懸念されたが,1951年に鳥島で再発見された。その後の継続的な保護対策などにより,2013年現在 3000羽以上にまで回復した。鳥島の繁殖地に土砂が流れ込み営巣条件が悪化しているため,1992年からは島の別の地域にデコイ(おとり)で誘導し,また 2008年からはかつての生息地である小笠原諸島の聟島を運んで繁殖地を分散させる試みが続けられている。近年の調査で,尖閣諸島にも再び少数が確認された。鳥島では 10月頃に渡来上陸し,1卵を産卵,数ヵ月かけて雛を育てる。幼鳥は翌年の 5~6月頃独立し,島を離れる。繁殖期以外は陸地にまったく近寄らず,北緯 20°以北の太平洋上で,魚類やイカ類などを採食する。1958年に国の天然記念物に指定。1960年国際保護鳥(→保護鳥),1962年国の特別天然記念物に指定。ワシントン条約附属書I適用鳥。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

アホウドリ

北太平洋に広く分布する大型の海鳥で全長1メートル、翼を広げると約2・4メートル、体重約7キロ。羽毛をとるため明治時代に乱獲され、絶滅したとみられたが、51年に鳥島で10羽ほどが再発見され、保護の手が差しのべられた。現在は約2千羽と推定され、鳥島と沖縄県・尖閣諸島の南小島を繁殖地としている。

(2006-09-24 朝日新聞 朝刊 2社会)

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百科事典マイペディアの解説

アホウドリ

アホウドリ科の鳥。翼長55cm。翼の開張2m余で,白色。日本近海の島で繁殖していたが,羽毛をとるため乱獲され,一時,絶滅を危惧されていた。しかし,保護により少しずつ数を回復し,鳥島と尖閣諸島に合わせて約800羽が生息する(1995年)。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

アホウドリ
あほうどり / 信天翁
albatross

広義には、鳥綱ミズナギドリ目アホウドリ科に属する海鳥の総称で、狭義にはそのうちの1種をさす。同科Diomedeidaeは大形の外洋性鳥類で、翼開長2~3.5メートルにも達する細くて著しく長い翼をもち、その翼を伸ばしたまま、海面近くに生じる風速差を巧みに利用してグライダーのように飛ぶ。すなわち、風下に加速しながら降下し、海面に近づいたところで風上に方向転換し、減速しながら風速差によって浮揚して高度を上げ、そこでまた風下に降下する。こうして、どこまでも飛び続けることができる。このような飛翔(ひしょう)法をとるため、一年中風がある中・高緯度海域に分布する。[長谷川博]

種類

世界に22~24種があり、このうちガラパゴスアホウドリPhoebastria irrorataだけが熱帯のガラパゴス諸島と大陸寄りエクアドルの太平洋岸30キロメートル沖のラ・プラタ島で繁殖している。この種はよく羽ばたく。約20種は南半球の暴風圏周辺海域の島嶼(とうしょ)で繁殖する。最大種はワタリアホウドリDiomedea exulansで、翼開長は3.5メートルに達する。北半球には、北太平洋に種としてのアホウドリPhoebastria albatrus、クロアシアホウドリP. nigripes、コアホウドリP. immutabilisの3種が分布し、北大西洋にはみられない。[長谷川博]

生態

アホウドリ類は、沖合いから外洋の表層に浮上してきた魚類やイカあるいは大形甲殻類を、頭を水中に入れて嘴(くちばし)でつかみとらえるため、潜水することはほとんどない。嘴は太く頑丈で、両端はナイフの刃のように鋭く、先端は鉤(かぎ)状にとがっていて、これらの餌(えさ)をとらえるのに適した構造をしている。単独あるいは小集団で繁殖するススイロアホウドリPhoebetria fuscaを除く他のすべての種は、洋上の小島で大きな集団をなして繁殖する。飛び立ちに都合よいように、風が絶えず吹き付けるなだらかな丘陵斜面や崖(がけ)の棚に営巣することが多い。泥や植物片を固めた浅いへこみのある巣に大きな卵を一つ産み、雌と雄が交代で小形種では60~70日間、大形種では80日間抱卵する。親は油状の液体と半消化の餌を吐き出して、口移しに雛(ひな)に与える。4~9か月間養育し、結局、産卵から1年近くかかってしまう種もある。それらは隔年に繁殖する。成熟までには長い年月を要し、6~10歳で初めて繁殖する。死亡率は数%以下で、長寿命で30年以上生きるものもまれではない。一夫一妻で、相手が死なない限りつがい関係は維持される。長期の繁殖活動を成功に導くためには、つがいの間の協調関係が不可欠である。[長谷川博]

人間との関係

アホウドリ類は地上では動きが鈍く、助走なしには飛び立てず、人間を恐れないため、素手で容易にとらえられた。そのうえ、1羽1羽が良質の羽毛を多量につけ、しかも大集団で繁殖することもあって、羽毛採取のために多量に殺された。その代表例がアホウドリで、20世紀初頭には伊豆諸島の鳥島や小笠原(おがさわら)、大東、尖閣(せんかく)諸島などで無数に繁殖していたが、羽毛採取開始後50年間に数百万羽以上が殺され絶滅に瀕(ひん)した。その後、積極的に保護され、現在では鳥島と尖閣諸島で500組余りが繁殖し、総個体数は約3000羽に回復した。また、かつての繁殖地の一つである小笠原諸島聟島(むこじま)に第三番目の繁殖地を形成する取り組みが始まっている。1960年(昭和35)国際保護鳥、1962年に特別天然記念物に指定された。ただ、その他の17種が延縄(はえなわ)漁による混獲や繁殖地への地上性捕食者の侵入によって、現在、絶滅の危機に瀕している。[長谷川博]
『長谷川博著『50羽から5000羽へ――アホウドリの完全復活をめざして』(2003・どうぶつ社) ▽W. L. N. TickelAlbatrosses (2000, Pica Press, UK)』

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