出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
東京都八丈支庁に属し、伊豆諸島の南端(八丈島の南方約280キロメートル)にある玄武岩~安山岩の二重式の活火山島。ほぼ円形で、直径2.5キロメートル前後、面積4.4平方キロメートル。外輪山は成層火山。最高地点は中央火口丘(噴石丘)の硫黄(いおう)山(394メートル)。火山構造上の弱線が南北方向に走り、山腹や付近海底からも爆発し、溶岩流も出す。1886年(明治19)アホウドリの羽毛採取などで人が定住したが、1902年(明治35)8月の大爆発で中央火口丘が吹き飛ばされ、島民125人が全滅。日本における噴火予知をねらいとする火山観測は、この惨害を契機として創始された。その後サンゴ採取のため移住者があったが、1939年(昭和14)の大噴火で中央火口丘が再生し、溶岩流も発生し、全住民が離島。1947年(昭和22)に気象観測所が設けられたが、1965年に群発地震で全所員が撤退し、無人島となった。国際保護鳥であり、特別天然記念物であるアホウドリの繁殖地で、一時絶滅に瀕(ひん)したが、しだいに増加し、2011年(平成23)の推定個体数は2755羽となっている。島全体が天然保護区域に指定されている。
[諏訪 彰]
沖縄県の最北端(沖縄本島の北方約80キロメートル)、東シナ海上にある、霧島火山帯の活火山島。島尻(しまじり)郡久米島町(くめじまちょう)に属し、第二次世界大戦後、1945~1972年(昭和20~47)にはアメリカ軍の軍政下にあった。沖縄鳥島、琉球鳥島(りゅうきゅうとりしま)、あるいは硫黄鳥島(いおうとりしま)とよばれる。安山岩質の2火山が接合し、長さ(南東―北西)2.7キロメートル、幅1キロメートルの島をなしている。南東側の火山は三重式で、中央火口丘は溶岩円頂丘。北西側にある島内最高の硫黄岳(212メートル)は噴石丘で、山頂火口内には数か所に硫気孔が現存する。有史以後も10回噴火し、最古は1664年(寛文4)、最新は1968年。すべて爆発型で、溶岩を流出したことはない。1903年(明治36)の大噴火で、全島民が翌1904年にかけて久米島へ避難し、鳥島集落をつくった。1959年の噴火でも、アメリカ軍が全島民を移住させた。1967年の小噴火以後、無人島となっている。
[諏訪 彰]
東京都八丈支庁に属する火山島。伊豆諸島の最南端,北緯30°29′,東経140°19′にあり,面積4.4km2。直径1.5kmの山頂火口をもつ外輪山と,子持山,硫黄山の二つの中央火口丘からなる二重式火山である。外輪山はおもに玄武岩質の溶岩と火砕岩からなる。子持山は玄武岩質のスコリアでできた噴石丘で,1902年の爆発で大爆裂火口と湾入をつくり,39年の噴火では噴石丘の硫黄山をつくった。1886年この島で繁殖するアホウドリの羽毛を採取するため移住が行われたが,1902年の爆発で島民125人全員が死亡した。47年気象観測所が設けられたが,65年に地震が群発したため閉鎖され,以後無人となった。アホウドリ(特天。国際保護鳥)の唯一の繁殖地で一時絶滅に瀕したが,2005年現在,繁殖つがい数325組,総個体数1600~1700羽と推定される。08年より火山の危険性から逃れるため小笠原諸島聟島へのヒナの移住が開始された。
執筆者:大村 肇
沖縄県最北端(北緯27°52′,東経128°14′)の東シナ海上にある活火山島。硫黄鳥島ともいう。南北約2.6km,最高点217m,面積2.25km2。島尻郡具志川村に属するが,現在は無人島。北側の新しい火山は硫気を噴出し,周辺に噴石が散乱している。14世紀ころから硫黄が採取され,琉球王府から中国への朝貢品となっていた。1631年(寛永8)と1829年(文政12)の爆発で島民は一時避難したが,1903年の大爆発の際に全島民が久米島の具志川間切(まぎり)に避難し鳥島集落をつくった。同年の戸数100,人口676。
執筆者:田里 友哲
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…また,野菜,花卉栽培も盛んになっている。市街化している南部の鳥島地区は,1903年徳之島西方の硫黄鳥島の噴火のため,翌年にかけて全島民が移り,定住したところである。18世紀前半に建てられた上江洲(うえず)家住宅(重要文化財),15世紀後半ころの築城になる具志川城跡(史)がある。…
…北小島は南小島のすぐ北に位置し,面積0.31km2,最高標高129mで,クロアジサシが群生する。北小島と南小島はあわせて鳥島ともいわれ,大正の中ごろまで古賀辰四郎が鰹節工場を操業していた。 各島とも古くから航海上の目標となってきた。…
※「鳥島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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