改訂新版 世界大百科事典 「アミノ安息香酸」の意味・わかりやすい解説
アミノ安息香酸 (アミノあんそくこうさん)
aminobenzoic acid
最も簡単な芳香族アミノカルボン酸。o-,m-,p-の3種の異性体がある。
o-アミノ安息香酸
m-アミノ安息香酸
3種の異性体中それほど重要ではない。融点177.9℃,冷水にわずかに溶け,水溶液は空気中で褐色に変わる。
p-アミノ安息香酸
融点187~187.5℃,熱水,アルコール,エーテルに溶ける。純品は無色であるが,空気または光により黄変し,ときには黄赤色を呈するに至る。ネズミ(ラット)のビタミンB欠乏症である毛髪の灰色化に対し有効であることが知られている。また,微生物の発育に必要な因子であるビタミンBx(ビタミン)はp-アミノ安息香酸である。種々の染料製造原料として重要であり,またp-アミノ安息香酸のN-アルキル誘導体のエステル類は局所麻酔剤として使われる。
執筆者:村井 真二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報