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ウラル語族 ウラルごぞくUralic languages

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ウラル語族
ウラルごぞく
Uralic languages

フィン=ウゴル語派サモイェード語派から成る。前者は,(1) フィンランド語カレリア語ウォート語ウェプセ語エストニア語リーウ語バルトフィン諸語,(2) サミ語,(3) モルドウィン語とマリ語のボルガ=フィン諸語,(4) ウドムルト語とコミ語のペルム諸語の4群から成るフィン語派と,(1) ハンティ語マンシ語のオビ=ウゴル諸語,(2) ハンガリー語の2群から成るウゴル語派に下位区分される。後者すなわちサモイェード語派は,(1) ネネツ語エネツ語ガナサン語の北部サモイェード諸語,(2) セリクプ語カマス語の南部サモイェード諸語に下位区分される。これらの諸語とアルタイ諸語インドヨーロッパ語族との同系説を唱える人もあるが,証明ができているわけではない。ウラル祖語は印欧祖語と同様,前 3000年頃に行われていたと推定される。

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デジタル大辞泉の解説

ウラル‐ごぞく【ウラル語族】

スカンジナビア・中部ヨーロッパロシア連邦などに分布する語族。フィン‐ウゴル語派サモイェード語派とに大別され、前者にはフィンランド語ハンガリー語などが含まれる。インド‐ヨーロッパ語族、あるいはアルタイ諸語との同系説があるが、証明されていない。

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百科事典マイペディアの解説

ウラル語族【ウラルごぞく】

フィンランド語やハンガリー語を含む語族の名称。Uralic。フィン・ウゴル語派サモエード諸語とに分類され,前者はさらにフィン語派とウゴル語派とに分かれる。このほかにユカギール語を加える説があり,他方アルタイ系諸言語との親族関係を想定する説(ウラル・アルタイ語族)もある。
→関連項目語族

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世界大百科事典 第2版の解説

ウラルごぞく【ウラル語族 Uralic】

北欧からウラル山脈の東側にわたる北ロシア西シベリアの一部および東欧の一角で話されている言語。ウラル語族はまずフィン・ウゴル語派サモエード諸語に大別される。さらにフィン・ウゴル語派は,バルト・フィン諸語Balto‐Finnic(フィンランド語,カレリア語,エストニア語,ボート語ほか)やモルドビン語チェレミス語(マリ語),ボチャーク語(ウドムルト語),ジリャン語(コミ語)などを含むフィン語派Finnicと,ハンガリー語ボグル語(マンシ語),オスチャーク語(ハンティ語)などを含むウゴル語派Ugrianに区分される(図)。

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大辞林 第三版の解説

ウラルごぞく【ウラル語族】

スカンディナビアからロシア連邦の西シベリアにかけて分布する語族。(フィンランド語・エストニア語・ハンガリー語など)フィン-ウゴル語派と、サモエード語に大別される。母音調和を有し、また膠着語こうちやくご的な特徴が多い。

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世界の主要言語がわかる事典の解説

ウラルごぞく【ウラル語族】

東ヨーロッパの一部、北ヨーロッパの東半部、北ロシア、西シベリアで話されている、同系の言語。フィンウゴル語派サモイエド語派に大別される。前者はさらにフィン語派(フィンランド語・カレリア語・エストニア語・サーミ語など)とウゴル語派(ハンガリー語など)に分けられ、後者は南北2群に分けられる。これらの言語の間には正確な音韻対応が認められるほか、語頭に1つの子音しかこない、膠着語で、名詞は多数の格をもち、前置詞でなく後置詞を使うなどの特徴がある。原郷はウラル山脈の西麓あたりとされる。かつてアルタイ諸語との類似からウラルアルタイ語族が想定されたが、現在では両者は別系統とされている。◇英語でUralic。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ウラル語族
うらるごぞく

北欧東部、北ロシア一帯、西シベリアおよび東欧の一部で話される言語の総称。言語人口は約2300万。ウラル諸語はフィン・ウゴル語派サモエード語派に大別され、前者はさらにフィン語派とウゴル語派に分かれる。フィン語派はバルト・フィン語(フィンランド語、カレリア語、ベプス語、エストニア語、ボート語、リボニア語)、サーミ語、ボルガ・フィン語(モルドビン語、マリ語)、ペルム語(ウドムルト語、コミ語)に分派する。ウゴル語派はハンガリー語とオビ・ウゴル語(ハンティ語、マンシ語)からなる。サモエード語派は北方語群(ネネツ語、エネツ語、ガナサン語)と南方語群(セルクープ語、サヤン・サモエード語)に分かれる。
 フィンランド語(490万)はフィンランド共和国内で、ハンガリー語(1400万)はハンガリーの内外で話されている。サーミ語はスカンジナビア北部に住むサーミ人4万2000人の言語である。他の少数民族はロシア連邦内に在住する。エストニア語(約100万)はエストニア共和国で、モルドビン語(119万)はロシア連邦内のモルドビア共和国、マリ語(67万)はマリ・エル共和国、コミ語(49万)はコミ共和国、ウドムルト語(74万)はウドムルチア共和国を中心に話され、オビ・ウゴル語(2万9000)はオビ川流域で、サモエード語(2万7000)はその北東部一帯で用いられている。
 ウラル諸語の間には正確な音韻対応が認められ、同系性が立証されている。たとえば「魚」という語は、フィンランド語でkala、サーミ語でguolle、モルドビン語でkal、マリ語でkol、マンシ語でkul、ハンガリー語でhal、ガナサン語でkole、セルクープ語でkuoleとなる。語頭には一つの子音しかこない。形態的に、名詞は数多くの格に変化する。フィンランド語が15格、コミ語が17格、ハンガリー語は20格以上をもつ。「私の家の中に」はフィンランド語でtalo-ssa-ni、モルドビン語でkudo-so-m、ハンティ語でxt-em-na、ハンガリー語でhz-am-banとなる。-ssa-, -so-, -na, -banはいずれも「~の中に」という内格語尾で、-ni, -m,-em-,-am-は「私の」という所有語尾に相当する。このように、ウラル語は語幹に変化語尾が順次付加される膠着(こうちゃく)的性格を示している。
 同じように、動詞でも、「私が書いた」は、フィンランド語でkirjoit-i-n、モルドビン語でormad-i-、マリ語でvo--mというが、語幹の次にくる-i-と--の要素は過去を示し、語末の-n, -, -mは一人称単数を表す語尾である。また、前置詞でなく後置詞が用いられる。「家の後ろに」は、フィンランド語でtalon takana、ハンティ語でxt tumpijn、ハンガリー語でa hz mgtt(aは冠詞)となる。統語的には、形容詞が名詞の前にたつ。「美しい少女」は、フィンランド語でkaunis tytt、モルドビン語でmazij t´ejte、ハンガリー語でa szp lenyという。マリ語、オビ・ウゴル語、サモエード語では動詞が文末にくるが、その他の言語では、主語、動詞、目的語という語順になる。フィン・ウゴル語の原郷地は、ボルガ川の中流で分岐するカマ川付近という見方が有力である。フィン・ウゴル語はきわめて早い時期にインド・ヨーロッパ系の言語と接触し、借用語を受け入れている。[小泉 保]
『小泉保著『ウラル語のはなし』(1991・大学書林)』

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