エイ

デジタル大辞泉 「エイ」の意味・読み・例文・類語

エイ(A/a)

エー

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「エイ」の意味・わかりやすい解説

エイ (鱝/鱏)

軟骨魚綱エイ目に属する魚類総称英名では,アカエイ類をray,ガンギエイ類をskate,ノコギリエイ類をsawfish,サカタザメ類をguitarfish,シビレエイ類をelectric rayという。全世界の熱帯域から極地方まで広く分布する。世界に約500種,日本近海には75種余りが分布する。多くは海水で生活するが,南アメリカにすむPotamotrygonidae科の淡水エイは一生を淡水で送り,海水では生きられない。また,アカエイ科ノコギリエイ科のものには熱帯や亜熱帯の河川湖沼域で生活周期の一部を送る種類がある。海産のエイはごく浅い沿岸域から2500mの深海域までのさまざまなところに生息するが,多くは沿岸から大陸棚域にすむ。

一般にサメとエイとは体型で区別されるが,サメと名はついていてもサカタザメのように分類上からはエイであるものもいる。サメとは,(1)鰓孔(えらあな)はすべて体の腹面にあること,(2)ふつう胸びれが大きく,その前縁部は鰓孔より前で頭部側面とつながること,(3)眼は背部にあり,上まぶたは眼球とつながり,瞬膜をもたないことで区別される。エイは一般的に体がひらべったく,口は必ず腹面にあり,歯は細かくて先がとがらず敷石状に並び,噴水孔は必ず背部にあり,しかも眼と接近する場合が多い。尾部は細長く,ときにはむち状になり,背びれは尾部上にあるかまたはまったくなく,代りに1~数本の毒針がある。尾びれは小さいかまたはまったくなく,しりびれはない。うろこは退化して部分的にしか存在しないかまたはまったくなく,ときにはとげ状や瘤状の突起となる。大きさは全長数十cmから7~8mまでさまざまである。

日本近海のエイはふつう次の8科に分類される。吻(ふん)が突き出てその両側にぎざぎざのある歯が並ぶノコギリエイ科Pristidae,吻は長いが,両側に突起のないサカタザメ科Rhinobatidae,体板がまるく,体中に細かいうろこのあるウチワザメ科Platyrhinidae,背中に多少のうろこをもち尾部の細長いガンギエイ科Rajidae,うろこがほとんどなくむち状の尾に毒針のあるアカエイ科Dasyatidae,うろこはまったくなく,胸びれと頭の間に発電器官のあるシビレエイ科Torpedinidae,胸びれが大きく,頭の先端がまるく突き出たトビエイ科Myliobatidae,頭の先にコウモリの耳のようなひれ(頭鰭(とうき))のあるイトマキエイ科Mobulidaeである。このほかアカエイ科に近い淡水産のPotamotrygonidae科,吻端がフィラメント状に突出するAnacanthobatidae科,鰓孔が6対あるHexatrygonidae科が外国に分布する。

 系統的には約1億3000万年前の中生代ジュラ紀末ごろからサカタザメ類の祖先型がサメ類より分化し,白亜紀になってガンギエイ類,アカエイ類,トビエイ類が現れ,新生代第四紀になるとイトマキエイ類がトビエイ類から分化して表層性になったものとされる。

イトマキエイ科を除くほとんどのエイが底生生活を送り,海底近くにすむ小動物,甲殻類,貝類,小魚を餌とする。イトマキエイ類は頭鰭を動かして動物プランクトンや小魚を食べ,ノコギリエイ類は吻で海底を掘って餌を探す。また,シビレエイ類はおもに防御用に発電器官を使うが,ときには餌となる魚を感電させるという。発電器官はガンギエイにもあるが,弱くおもに仲間や異性への発信信号として役だっているといわれる。アカエイ類の毒針ももっぱら防御用に使用される。

 雄には腹びれの一部が変化した交尾器があり,雌の子宮か卵殻腺で受精する。ガンギエイ類を除けば,体内で受精卵が孵化(ふか)する卵胎生で,10尾前後の子どもを生むことが多い。ガンギエイ類は数個~数十個の硬い卵殻に包まれた卵を産む。

アカエイ類やシビレエイ類は危険ではあるが,人間に積極的には危害を加えない。アカエイ類とガンギエイ類はヨーロッパやアジアでは食用とされる。日本ではガンギエイ類の胸びれがエイのひれとして珍重される。また,日本ではサカタザメ類の肉やひれを食用とするが,外国では貝の養殖場に被害を与えるとしてきらわれることが多い。アカエイ類の中には背面の瘤状の突起が滑り止めとして刀剣の柄に用いられることがある。一般にエイ類は漁業資源としては重要ではない。
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百科事典マイペディア 「エイ」の意味・わかりやすい解説

エイ

エイ目の魚の総称。サカタザメ科,トビエイ科,シビレエイ科,ウチワザメ科,ガンギエイ科,イトマキエイ科など世界に約350種,日本近海には50種余りがいる。鰓孔は体の下面に開き,胸びれは大きく水平に広がって頭側と癒合する。全長数mに達するものもあり,熱帯域〜極地方,浅海〜深海に広く分布。サカタザメアカエイガンギエイイトマキエイなどが著名。
→関連項目ギンザメ

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栄養・生化学辞典 「エイ」の解説

エイ

 トビエイ[Myliobatis tobijei],アカエイ(red stingray,whip ray)[Dasyatis akajei]など.軟骨魚類の一つ.食用,加工用に使われる.

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