カシラダカ(その他表記)Emberiza rustica; rustic bunting

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カシラダカ」の意味・わかりやすい解説

カシラダカ
Emberiza rustica; rustic bunting

スズメ目ホオジロ科。全長約 15cm。雌雄ともに頭上に冠羽(→羽冠)がある。雄の夏羽(→羽衣)は頭上と目先,耳羽,頬が黒く,白い眉斑が頸まで伸びる。背から下の背面と,脇は茶褐色で,黒い縦縞が入る。腹面は白く,胸に不明瞭な赤茶色の帯がある。尾羽は茶褐色。冬羽は夏羽の頭部の黒色部が褐色になり,白い頬線が生じるほかは全体に色が淡く,脇が白地に茶褐色の縦縞になる。雌は全体に雄より地味で,胸の褐色帯も雄ほど目立たない。スカンジナビア半島からロシア中央部を経てカムチャツカ半島中国東北部に及ぶユーラシア大陸北部で繁殖する。繁殖地は針葉樹林で,林床や木の低い枝,低木などに営巣する。冬季は中国東部,朝鮮半島日本に渡る。日本には冬鳥(→渡り鳥)として多数渡来し,耕地雑木林,低山の落葉樹林,アシ原などに群れをつくり,おもに種子を採食する。

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改訂新版 世界大百科事典 「カシラダカ」の意味・わかりやすい解説

カシラダカ (頭高)
rustic bunting
Emberiza rustica

スズメ目ホオジロ科の鳥。スズメ大で,全長約15cm。体型と色はともにホオジロに似ているが,全体に赤褐色みが強く,また冠羽がある。興奮するとこの冠羽を逆立てる。雌雄異色で,雄の夏羽は頭頂とほおが黒く,眉斑とのどは白い。胸に赤褐色のバンドがある。雌は雄より色が淡く,頭上部とほおは褐色で眉斑は淡黄色。ユーラシア大陸の高緯度地方の針葉樹林地帯で繁殖する。日本には冬鳥として渡来し,雪の少ない低地に多い。山ろくのマツ林や二次林,農耕地,水べり,低地の水田湿地などに食物を求める。地上を移動しながら雑草の種子,イネ落穂などを食べている。小群でいるが,水田などでは数百羽の大きな群れになっていることもある。近づくとチッと鳴いて飛び立ち,近くの林ややぶに隠れるが,近くに何もないところでは上空を旋回する。冬のねぐらは山ろくや低山帯の空地の草むらで,日没直前に採食地を離れ,早朝日の出前に採食地へ向かう。春先には集まってコーラスをし,明るい美声でよくさえずる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カシラダカ」の意味・わかりやすい解説

カシラダカ
かしらだか / 頭高
rustic bunting
[学] Emberiza rustica

鳥綱スズメ目ホオジロ科の鳥。同科ホオジロ属38種中の1種。全長約15センチメートル。北ヨーロッパから東はカムチャツカ半島へかけてユーラシアの中・高緯度地帯に繁殖し、冬季はアジア中部に渡る。春になると、雄の頭頂、頭側が漆黒色、眉斑(びはん)、上頸斑(じょうけいはん)は白色となる。胸の栗(くり)色帯は顕著である。冬季の雄は頭部の黒色がなく雌に似る。頭頂の羽毛冠状に立てる習性がある。冬季に日本の本州、四国、九州、琉球諸島(りゅうきゅうしょとう)などに滞留するカシラダカは、カムチャツカ半島、オホーツク海方面で繁殖したものと考えられる。山麓(さんろく)の里山(人里近くにあるクヌギ、ナラ、その他の雑木林、薪炭林)や草原に群生する。主として植物食であるが、昆虫も食べる。

[坂根 干]


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百科事典マイペディア 「カシラダカ」の意味・わかりやすい解説

カシラダカ

ホオジロ科の鳥。翼長8cm。ホオジロに似る。ユーラシア大陸中北部で繁殖し冬は南へ渡る。日本では冬鳥として全国に渡来し,農耕地や河原の草むらに多い。おもに雑草の種子等を食べる。頭頂の羽毛を立てる習性があり,頭高の名が付いた。チッチッと鳴く。

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