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カッコウ カッコウCuculus canorus; common cuckoo

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

カッコウ
Cuculus canorus; common cuckoo

カッコウ目カッコウ科。全長 35cm。頭部と体の上面は灰青色で,胸と腹は白く暗灰色の横縞がある。尾羽は黒灰色で,白い横縞が入り,先端も白い。雌には赤褐色型もある。自分で巣をつくらず,モズオオヨシキリノビタキホオジロオナガなどの巣に卵を産み,それらの鳥の親鳥に抱卵,育雛を任せる托卵習性がある。カッコウの卵は仮親の卵より孵化までの日数が短く,孵化するとは仮親の卵や雛を背中に乗せて巣の外に押し出し,その巣を独占する。北アフリカユーラシア大陸の温帯地域から北の広い地域で繁殖し,アフリカのサハラ砂漠以南と南アジアに渡って越冬する。日本には夏鳥(→渡り鳥)として 5月頃渡来し,北海道本州四国地方の平地から高原の,農耕地や疎林に生息する。昆虫食で,ほかの鳥が好まない毛虫類も好んで食べる。「かっこー,かっこー」と鳴く。なお,カッコウ科 Cuculidaeは世界に約 150種が知られている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

カッコウ
かっこう / 郭公
cuckoo
[学]Cuculus canorus

鳥綱ホトトギス目ホトトギス科の鳥。閑古鳥(かんこどり)ともいう。全長約35センチメートル、体上面と胸は灰色、腹は白地に黒い横縞(よこじま)。尾は長くて、翼も細長い。飛んだときの格好は、タカ類に似ている。カッコウという名は、そのように聞こえる鳴き声に由来している。アジア、ヨーロッパ、アフリカに広く分布し、日本でも北海道から九州までの各地で繁殖する。冬季は、南方の温暖な地方に渡って越冬する。日本で鳴き声が聞かれるのは5月中旬から7月中旬ごろにかけてである。この時期に、同じ類のホトトギスやツツドリと同様、自分では巣をつくらずに、ほかの種の鳥の巣に自分の卵を産み込む。カッコウがおもに托卵(たくらん)するのは、ヨシキリ類、モズ類、ホオジロ類、セキレイ類である。雌はそれぞれ一定の範囲の地域にすみつき、それらの鳥の繁殖状況をみて回る。そして、それら「仮親」が産卵を始めると、卵を一つ抜き取り、自分の卵を一つ産み付ける。卵は仮親のものと色や模様がよく似ていることが多いが、大きさはやや大きい。雛(ひな)は、仮親のよりも1~3日早く孵化(ふか)する。孵化後しばらくすると、まだ孵化していない仮親の卵を背中に一つずつのせて、巣の外にほうり出してしまう。こうして巣内を独占し、その後の仮親の世話を自分だけのものにしてしまう。巣立つころには、雛は仮親の何倍も大きくなり、盛んに食物をねだる。毛虫を好んで食べる。巣立ち後も1か月以上にもわたって仮親の世話を受ける。頭上によく目だつ白斑(はくはん)が1、2個あるのが、雛の特徴である。[樋口広芳]

民俗

カッコウの鳴き声は春を告げるものとされた。古代ギリシアでは、カッコウが鳴くと畑を耕し始め、ドイツやイギリスでも初鳴きを喜びをもって迎えた。中国でも農耕の始めとし、日本では豆播(ま)き鳥とよんで、声を聞くと豆を播くという所が多い。またカッコウが早くくれば豊年、遅ければ凶年という伝えもある。古代ギリシアの「カッコウ変じてタカとなる」という俗信は、カッコウの渡来と入れ替わりにタカが北へ渡るために生まれたらしい。日本には、カッコウの托卵(たくらん)性を説明する昔話もあり、カッコウはお姫様で育児ができないので、乳母(うば)のモズに子供を育ててもらうなどという。カッコウの名の由来譚(たん)には、母の背中を掻(か)くことを断った子が、母の死後、鳥になって「掻こう」といって鳴くという話もある。
 シベリアの諸民族には、カッコウと死者を結び付けた伝承がある。カッコウを尊んで、射ったり殺したりしないというモンゴル系のブリヤート人には、カッコウが死んだ英雄を蘇生(そせい)させるという伝説があり、カッコウがいなくなる8月から翌春までの間は、死者を火葬にしないという。またマリ(チェレミス)人には、墓の上に木製のカッコウを置く習俗があった。[小島瓔

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