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カメ

デジタル大辞泉の解説

カメ

西洋犬のこと。明治初期、西洋人が飼い犬を呼ぶのに「Come here!」と言うのを「カメヤ」と聞き、「カメ」を犬の意、「ヤ」を呼びかけの意の「や」ととったことによる。
「おれが面を見りゃア異人館の―までがしっぽをさげる」〈魯文西洋道中膝栗毛

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大辞林 第三版の解説

カメ

〔明治初期、西洋人が犬を come here と呼ぶのを犬の意と思い違いしたところから〕
西洋種の犬の称。洋犬。カメヤ。 「異人館の-までが尻尾しつぽをさげる/西洋道中膝栗毛 魯文

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

カメ
かめ / 亀
turtletortoise

爬虫(はちゅう)綱カメ目に属する動物の総称。この目Testudinesの仲間の胴は箱形の堅固な甲に包まれる。極地を除いて世界中に分布し、約220種と多くの亜種が知られている。完全な陸生から水陸両生、水生、海洋生まであり、日本には陸に6種、沿岸の海に5種が分布する。[松井孝爾]

形態と生理

カメは頭骨の特徴から、ほかの爬虫類と分離したグループ(無弓亜綱)を形成している。頭骨は堅固な少数の骨で構成され、側頭部が完全に覆われて方骨が頭蓋(とうがい)に固着している。上下のあごには歯がなく角質の鞘(さや)に覆われているが、スッポンでは肉質の唇で覆われている。しかし化石種には歯がみられる。堅固な甲に囲まれたカメの体の構造は、激しい生存競争のなかで獲得した特有の形質で、中生代の祖先型から大きな変化がなく、いわば現生種のすべてが「生きている化石」といっても過言でない。甲は背甲と腹甲とが結合した箱形で、驚いたり休息のとき頭頸(とうけい)部、四肢および尾部を甲内に引っ込めて身を守るが、ウミガメ、オオアタマガメなどは完全には収納しない。甲は真皮が骨化した板状の骨板(皮骨板)の結合からなり、背甲ではこれに脊椎骨(せきついこつ)と扁平(へんぺい)に変形した肋骨(ろっこつ)とが固着して甲を強化し、腹甲には鎖骨と間鎖骨とが結合している。背甲と腹甲とは、腹甲の両側縁部が伸びた橋(ブリッジ)とよばれる部分で結合するが、橋の幅が狭いものや、オサガメやスッポンのように二次的に甲が遊離して結合しないものもある。甲の表面は表皮の変形した角質の甲板(こうばん)(鱗板(りんばん))で覆われ、各甲板の縫合部と骨質板のそれとは互いにずれて強度を増しているが、スッポンやオサガメの成体などでは二次的に退化して甲板を欠く。背甲の形は種によってさまざまで、リクガメではドーム形で高く盛り上がるが、水生種は比較的扁平である。腹甲は平らで水生種では幅が狭くなり、ドロガメ、ハコガメ、ハコスッポンなどでは中央部が蝶番(ちょうつがい)状で、靭帯(じんたい)によって可動的につながり、頭頸部や四肢を引っ込めたあと、甲を持ち上げて甲のすきまを蓋(ふた)して守る。セオリガメ属Kinixysでは背甲の後半が蝶番状になっている。頸椎は8個、脊椎は10個で、胸骨を欠く。肢帯は甲の内側にあり、肢帯が肋骨よりも内側に入るという構造は、ほかの脊椎動物にはみられない。四肢は五指性で指先につめを備えるが、つめの形状や数は種によって異なり、水生種には指間に水かきが発達する。四肢はリクガメでは柱状、まったくの水生種やウミガメでは櫂(かい)状となる。尾は一般に短いが、雄のものは雌よりも太くて長く、総排出腔(こう)が背甲の縁よりも外に位置するものが多い。
 カメは堅固な甲で自衛されることにより長い時代を生き続けてきたが、その反面、呼吸法が複雑であるなど生理的に不便を強いられている。呼吸は、腹腔の前後端にある筋肉の作用で体腔内の圧力を増減して肺の容積を変える方法と、肺を覆う筋肉の鞘がふいごのように働く方法とが知られている。淡水生の種では、毛細血管が密に分布する咽喉(いんこう)部と総排出腔の副膀胱(ぼうこう)(盲嚢(もうのう))内壁によるガス交換で補助的に呼吸を行い、スッポンのようにときどき長い頸部を伸ばし吻部(ふんぶ)を水面上に出して呼吸する。感覚は視覚と嗅覚(きゅうかく)とが発達するが聴覚は鈍い。[松井孝爾]

系統と分類

カメ類の起源を示唆するものに、ペルム紀(二畳紀)の小形爬虫類エウノトサウルスEunotosaurusがあり、三畳紀中期には両亀類(りょうきるい)とよばれるサンジョウキガメProganochelysが出現した。両亀類は現在知られているカメ類最古の化石種で、すでに胴は背腹甲で囲まれ、頭部を構成する骨の数が減り、口蓋(こうがい)部には歯を残すものの、顎骨(がくこつ)では歯が消失していた。しかし頭部と四肢を甲内に収納できなかったようである。現生のカメ目は頭頸部の引っ込め方によって、潜頸亜目Cryptodiraと曲頸亜目Pleurodiraの2群に大別される。[松井孝爾]
潜頸亜目
ジュラ紀後期に出現し高度に分化した一群で、現生種の大半が含まれ、甲長11~125センチメートル(オサガメでは2メートルに達する)、頭頸部を垂直方向にS字状に曲げて甲内に引っ込める。オーストラリアを除く世界各地に分布し、4上科、9ないし10科に分類される。
〔1〕カメ上科 もっとも大きなグループで、頭骨の側頭部に後縁からの切れ込みをもち、四肢は歩行型で、3科が含まれる。カミツキガメ科Chelydridaeは淡水生の大形な仲間で、腹甲が十字形で小さい。カミツキガメ、ワニガメ、および甲長ほどもある大きくて堅い頭をもつオオアタマガメを含む。ヌマガメ科Emydidaeは形態、生態ともにもっとも典型的なカメのグループで、約25属80種がオセアニアとアフリカの一部を除く世界各地に分布する。本科はヌマガメEmys、ニシキガメChrysemys、アメリカハコガメTerrapeneなどの各属を含むヌマガメ亜科と、イシガメMauremys、クサガメChinemys、セダカガメKachuga、ヤマガメGeoemyda、セマルハコガメCistoclemmysなどの各属を含むバタグールガメ亜科の2群に大別される。大半が甲長15~30センチメートルほどで、水陸両生生活を営むが一部は森林にすんでほとんど水に入らない。リクガメ科Testudinidaeはまったくの陸生で、リクガメの最大種であるゾウガメをはじめ大形種が多く、オセアニアを除く世界各地に約10属40種が分布する。背甲はドーム形で高く盛り上がり、柱状で硬い鱗板に覆われた四肢で、頭頸部を引っ込めたあと甲のすきまをふさぐ。
〔2〕ウミガメ上科 白亜紀後期から出現し、頭骨側頭部が完全に覆われて切れ込みをもたず、頭部と四肢は甲内に完全には引っ込まない。海洋性で、四肢はひれ状または櫂状である。ウミガメ科Cheloniidaeは世界の暖かい海に広く分布し、アオウミガメ属Chelonia2種、タイマイ属Eretomochelys1種、アカウミガメ属Caretta1種、ヒメウミガメ属Lepidochelys2種のうち、日本沿岸にも4種が分布し、ヒメウミガメ以外が産卵に上陸する。
〔3〕オサガメ上科 オサガメ科Dermochelyidae1種からなり、背腹甲の骨板が二次的に退化消滅し、モザイク状の小骨片の集合で甲が形成される。甲の表面は甲板を欠き、弾力性に富んだ滑らかな革状の皮膚となる。四肢にはつめを欠く。
〔4〕スッポン上科 頭部の動脈の形状の差異によって他と分けられ、4科が含まれる。スッポン科Trionychidaeは背腹甲が固着せず骨板は退化的で、表面には甲板を欠く。上下のあごの縁は角質の鞘に包まれず肉質の唇で覆われている。スッポンモドキ科Carettochelyidaeは1種がニューギニア島に分布する原始的なスッポンで、甲が箱形で堅い。カワガメ科Dermatemydidaeは原始的な大形種で1種のみ中央アメリカに分布し、類縁の化石種はかつて世界に広く分布していた。橋の部分に縁下甲板をもつ。ドロガメ科Kinosternidaeは20種が南北アメリカに分布し、腹甲が小さくて中央が蝶番状につながる。[松井孝爾]
曲頸亜目
白亜紀後期に分化した一群で、長い頭頸部を水平方向に横に曲げ、背甲と腹甲の間に隠すが、一部が外からみえる。2科に分けられ、ヨコクビガメ科Pelomedusidaeはアフリカ、南アメリカに20種が、ヘビクビガメ科Chelyidaeは南アメリカ、オーストラリア、ニューギニア島に30種が分布している。いずれも淡水生で、甲長15~100センチメートル、甲が平たく指間に水かきが発達する。[松井孝爾]

生態

カメの大半は昼行性で、池沼、湖、河川の水辺にすみ、日中は岸で日光浴をすることが多いが、驚くとすぐ水中に逃れる。指間には水かきがあって遊泳が巧みであり、スッポン、カミツキガメのようにほとんど水中で過ごすものもある。またウミガメは海洋に分布するが、すべて産卵は陸で行われる。リクガメはまったくの陸生で乾燥地にすむものが多く、アナホリガメ属Gopherusのように砂漠に巣穴を掘るものもある。浅い水に入ることもあるが泳ぎはできない。餌(えさ)は主としてリクガメが植物質、ほかは淡水生物など動物質を好むが、雑食性も少なくない。冬季の寒冷地では冬眠を行い、熱帯地方の乾期では水がかれた泥中や砂中の穴で仮眠する。天敵は少ないが子ガメは肉食哺乳類(ほにゅうるい)や鳥類の犠牲となり、成体もワニに捕食される。[松井孝爾]

繁殖

カメの総排出腔は体軸に平行で、雄の陰茎は単一である。すべて卵生で、水生種も海生種も陸の砂地に穴を掘って産卵する。卵数は10~50個ほどであるが、多いものではウミガメが1回に200個に達する。孵化(ふか)には1~3か月を要し、胚(はい)の吻端に角質の卵歯(卵嘴(らんし))を生ずるものはこれで卵殻を破って出る。寿命は長く、リクガメには100年を超えるものがある。[松井孝爾]

飼育

ニホンイシガメやクサガメは多くの池で飼われるほか、一般家庭でペットとして人気があり、最近ではミドリガメの名でよばれるニシキガメ属Chrysemysなどの外国産も多く飼育される。その一つミシシッピアカミミガメC. scripta elegansは日本の各地で野生化して定着している。飼育にはアクリルまたはガラスの水槽を用いる。小石を敷き詰め平らな石を置いて陸をつくり、水はカメの甲をすこし越える程度に入れる。水温25~30℃が適温で、35℃を超えないよう注意する。日光浴は体温上昇、ビタミンDによる骨質の形成、甲の軟化や病気予防のため不可欠で、容器を日当りのよい場所に置くのが望ましい。ただし体温が上昇しすぎないようにかならず板を置くなどして日陰をつくる。餌はドジョウ、小エビなどの魚貝類、鶏肉、レバー、コマツナなどで、市販のペット用ペレットでも十分飼育できる。子ガメにはカルシウム、ビタミンを補給し、とくに日光浴させることが必要である。冬眠時は容器に水を入れたまま、平均5~10℃ぐらいの室内に置く。水深の深い池では水底の泥中でそのまま越冬する。[松井孝爾]

人間生活との関係

カメはペットとして一般に愛されるほか、たとえば日本の漁師には網にかかったウミガメに酒を与えて海に帰し保護する習わしがある。他方、利用面では世界各地で肉と卵が食用に供され、日本でも賞味されるスッポン料理や北アメリカ産キスイガメMalaclemys terrapin料理が知られている。ウミガメは産卵地で卵と肉が食用となり、とくに卵は現地住民の重要なタンパク源となっている。しかし乱獲の結果ウミガメの各種とも減少し、産卵地では政府機関などの手によって保護増殖が実施され、日本でも父島や沖縄でアオウミガメの増殖が試みられているほか、スッポンも世界各地で人工増殖されている。また、タイマイのべっこうは古くから工芸用に用いられ、剥製(はくせい)もつくられたが、現在ではウミガメは「ワシントン条約」の保護動物の対象として利用が禁止されている。ゾウガメをはじめ一部の陸生などのカメも同様に保護の対象となっている。[松井孝爾]

外国での観念

中国最古の経典『書経(しょきょう)』に、「霊亀(れいき)は玄文(げんもん)五色にして神霊の精なり。上は円くして天を法(かた)どり、下は方にして地を法どる」と記されているように、神秘的なカメは宇宙の縮図、象徴とみなされていた。同様の考え方はアフリカにもあり、たとえば西アフリカの農耕民族ドゴンでは、カメは創造神ノンモの化身とされ、亀甲(きっこう)の矩形(くけい)は原初大地に刻まれた耕地の区画、鋸歯(きょし)状の線は水の流れや地霊としての蛇(じゃ)を表した。やはり西アフリカの農耕民族であるバンバラでもカメは天と地の象徴とされ、少年の成人儀礼に用いられる。このような宇宙の縮図としてのカメの観念は、古代中国で亀甲が卜占(ぼくせん)に用いられたり、王権の象徴と結び付くことの背景ともなっている。17~18世紀に栄えたアフリカのルンダ王国(現コンゴ民主共和国、旧ザイール)でも、王宮はカメの姿をかたどっていた。
 神話や民話にもカメは登場する。インドのビシュヌ神は、神々が不死の甘露を求めて乳海を曼陀羅(まんだら)山で攪拌(かくはん)するとき、大海の底でカメに変身して、それを支える軸となったとされている。またカメのなかでもウミガメは、とりわけ海と陸を結び付ける媒介者とされるが、そのことは日本の御伽草子(おとぎぞうし)『浦島太郎』の話にもうかがえる。アフリカのバントゥー系社会の民話では、カメは知恵ある媒介者として、神から教えられた食用の実のなる木の名を他の者に伝えるものとして登場し、一方でゾウやヒヒをだますトリックスターとしても活躍する。[渡辺公三]

民俗

海から陸にあがるカメは、異郷と人界とを結ぶものと信じられてきた。浦島の竜宮入りのことはもっともよく知られているが、『丹後国風土記(たんごのくにふどき)』逸文によると、浦島子(うらしまのこ)に釣られたカメがただちに美女と化して、蓬山(ほうざん)にこれを導いたという。『浦島太郎』では、浦島太郎に釣られたカメが、いったん海中に帰されてから、改めて美女と化して竜宮城にこれを迎えたようにつくられている。そのほか『日本霊異記(にほんりょういき)』や『今昔物語集』などにも、海にカメを放ったために、これに命を助けられたということが記されている。さらに、「海月(くらげ)骨なし」「竜宮女房」「竜宮童子」「大歳(おおどし)の亀(かめ)」などさまざまな昔話を通じて、カメという動物が竜宮の使者の役を担っていたと知られる。とくに「大歳の亀」では、大歳(大みそか)に竜宮に餅(もち)を搗(つ)く杵(きね)をさしあげて、その返礼にものいうカメを授けられ、それによって多くの金を得ることができたと語られている。
 今日でも「鶴は千年、亀は万年」というように、この二つの動物は、長寿でめでたいものと認められている。漁師がカメをとらえると、酒を飲ませて放してやるが、そうすると運がよくなるとも、魚が多くとれるとも伝えられる。反対に、カメを殺すと家が絶えるとか、カメを家に入れると火事がおこる、カメを食べると目がつぶれるなどと戒められている。また、古くから亀卜(きぼく)と称して、カメの甲を焼いて、その割れ方によって吉凶を占うことが行われていたが、今日でも、カメが浮き上がると天気が悪くなるとか、海辺に卵を産むと大風が吹かないなどとカメの行動によって天候の予知を行うことが少なくない。民間療法では、カメの蒸し焼きを食べると寝小便が治るとか、塩漬けを食べると下痢が治るなどといわれている。[大島建彦]
『『小学館の学習百科図鑑36 両生・はちゅう類』(1982・小学館) ▽『学研の図鑑17 爬虫・両生類』(1987・学習研究社) ▽中村健児・上野俊一著『原色日本両生爬虫類図鑑』(1963・保育社)』

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