コアジサシ(その他表記)Sternula albifrons; little tern

共同通信ニュース用語解説 「コアジサシ」の解説

コアジサシ

全長25センチ前後になる小型のカモメ一種で、黒い頭部と黄色いくちばしが特徴。日本には4月ごろにオーストラリア周辺の南半球から飛来する。標識を付けて個体を見分ける日本の調査で、約8900キロ移動した例が確認された。河川中州海岸砂浜などの小石が多い土地に集団で営巣し、繁殖する。日本は重要な繁殖地の一つとされるが、近年、個体数が減り、環境省は「絶滅の恐れがある種」に指定。オーストラリアなどでも数の減少が報告されている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コアジサシ」の意味・わかりやすい解説

コアジサシ
Sternula albifrons; little tern

チドリ目カモメ科。全長 20~28cm。額,頬や喉が白く,その間の黒い過眼線が目立つ。頭上から後頭が黒い。胸から腹,尾も白い。背と灰白色である。尾は深く切れ込んだ燕尾形。繁殖期はと脚が黄色で,嘴の先端部が黒い。非繁殖期は額の白色部分がより広くなり,頭上の黒色がやや褐色を帯びる。嘴と脚は暗褐色になる。ヨーロッパ北アフリカからフィリピン,西アフリカ中央部,東アジアから中国南部にそれぞれ別の亜種が繁殖分布し,沿岸や大河川の流域などに生息する。西アフリカと西アジアからフィリピンにかけての地域の鳥は周年生息する留鳥だが,ほかはアフリカやユーラシア大陸の熱帯,南半球まで渡って越冬する。日本には夏鳥(→渡り鳥)として渡来し,本州以南の川幅が広く河原のよく発達している河川の中・下流域,海岸の砂浜,埋立地などで繁殖する。環境破壊により繁殖適地は以前に比べ著しく減少し,渡来数も激減している。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コアジサシ」の意味・わかりやすい解説

コアジサシ
こあじさし / 小鰺刺
little tern
least tern
[学] Sterna albifrons

鳥綱チドリ目カモメ科の鳥。全長25センチメートルほどの小形のアジサシで、世界の温熱帯域に広く分布し、内湾や湖沼、河川に生息し、砂礫(されき)地で営巣する。静かな水面の上を飛び、空中から垂直に水に突入し、小魚をとらえて食べる。雄はその魚を嘴(くちばし)にくわえ雌のもとに運び求愛する。地面に浅いくぼみを掘って巣とし、2~3卵を産む。雄は抱卵中の雌にも小魚を運ぶ。冬は熱帯アジアへ渡る。近年、内湾砂礫地が埋め立てられたため、数が減った。

[長谷川博]


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百科事典マイペディア 「コアジサシ」の意味・わかりやすい解説

コアジサシ

カモメ科の鳥。翼長18cm。全世界の温帯,熱帯に広く分布。くちばしと尾,翼がとがったスマートな体つき。日本で繁殖するアジサシ類の代表的な種で,本州以南に夏鳥として渡来する。海岸や河川,埋立地などの地面に営巣し,水中へダイビングして魚をとらえる。かつてはふつうに見られたが,近年,営巣環境の悪化で減少している。絶滅危惧II類(環境省第4次レッドリスト)。

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