コラージュ(英語表記)collage

翻訳|collage

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

コラージュ
collage

絵画用語。「貼りつけ」を意味するフランス語。画面に印刷物,布,針金,木片,砂,木の葉などさまざまなものを貼りつけて構成する絵画技法,あるいはこのような技法によって制作された作品をさす。 19世紀にパピエ・コレが考えられ,1912~13年頃ピカソ,ブラックなどがこれを発展させ,キュビスムを深めた。キュビストたちは純粋に画面の美的構成の手段として始めたが,ダダイスト,シュルレアリストたちは画面のなかに唐突な物をおき,異質の物を組合せることにより,比喩,象徴,幻想など意想外の効果を生み出した。 19年頃の M.エルンストや H.アルプの作品は以来コラージュと呼ばれるようになった。そのほかのコラージュ作家は,多くの「メルツ」絵画を制作した K.シュウィッタースである。 60年代のポップ・アートの主要な一形式となる。

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百科事典マイペディアの解説

コラージュ

20世紀に現れた美術技法。フランス語で〈糊付け〉を意味する。1912年ピカソブラックが始めたパピエ・コレが最初の作例で,新聞の切抜き,マッチ箱,糸,釘(くぎ),写真などの小片を貼りつけて,作品の造形性を高めようとした。ダダシュルレアリスムに至って,断片的なイメージを組み合わせて新奇な連想,象徴,比喩(ひゆ)的な効果をつくりあげるようになった。エルンストの《百頭女》などが代表例。また三次元的な立体作品にもコラージュの語が適用され,後のアッサンブラージュへと発展した。1960年代に入ってからは音楽にも転用され,過去の音楽作品を引用する手法やミュジック・コンクレートサンプリングによる作品を指して使われる。
→関連項目アルプカーソン桂ゆきコーネルタトリンハミルトンラウシェンバーグローゼンクイストローランス

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世界大百科事典 第2版の解説

コラージュ【collage】

〈糊付け〉を意味するフランス語で,20世紀に現れた美術の一技法およびその作品を指す。1912年にピカソやブラックが新聞紙の断片,壁紙,レッテル,切手,マッチ箱などを画面に貼り付けたもの,すなわちパピエ・コレpapier collé(〈糊付けされた紙〉の意味)が最初の作例である。これ以前にも,題名や署名を書いたラベルをあたかも貼り付けられているかのように描く(トロンプ・ルイユ)ことが行われていたが,それはあくまでも実際に描かれたものであった。

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大辞林 第三版の解説

コラージュ【collage】

〔糊のり付けの意〕
新聞・布片・針金などを様々に組み合わせて画面に貼りつけ、特殊な効果を出す現代絵画の一技法。写真に応用したものはフォト-コラージュという。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

コラージュ
こらーじゅ
collageフランス語

現代絵画技法の一つ。本来「糊(のり)付け」を意味するが、1912年にピカソやブラックが画面上に種々のものを貼(は)り付けたこと(パピエ・コレ)に始まる。現実の物体の導入という画期的な技法の発明であり、キュビスムではまだ紙などを貼り付けるだけで、二次元の絵画からはみだすことはなかった。しかし次いでダダのクルト・シュビッタース、ラウール・ハウスマン、マン・レイら、イタリア未来派のカルロ・カッラ、ジーノ・セベリーニら、シュルレアリスムのマックス・エルンスト、ホアン・ミロらがさまざまな物体を寄せ集めて立体的な作品を実現するに至り、コラージュの概念は拡大され、これが第二次世界大戦後のアッサンブラージュにまでつながってゆくことになった。コラージュは20世紀美術技法上最大の発明の一つで、美術ばかりでなく写真やデザインなどの分野にも多大の影響を与えているが、なによりも現実の物体の導入によって従来の美術作品の概念を根底から変えた点に、最大の意味が求められる。[千葉成夫]

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世界大百科事典内のコラージュの言及

【アッサンブラージュ】より

…〈集合,集積,寄集め〉を意味するフランス語で,さまざまな物体を寄せ集めて美術作品を制作する技法およびその作品を指す。コラージュとアッサンブラージュの違いは,ひとつは歴史的に前者が第2次大戦以前のものである点,もうひとつは語の原義から前者は糊付けた(貼り付けた)もの,後者は寄せ集めて集積したものとの意味からかけ離れた使い方はできないという点にある。したがって,前者は基本的には二次元平面上に現実の物体を貼り付けることを指し,後者は二次元,三次元を問わず,物体を寄せ集めることを指す。…

【エルンスト】より

…1914年ケルンでアルプと出会う。19年互いに関係のない写真や印刷物を貼りあわせて意外な視像を現出させる〈コラージュ〉を試み,ケルンでダダ運動をおこす。翌年ブルトンらと交友し,やがてシュルレアリスムに加わる。…

【キュビスム】より

…〈分析的〉段階では対象が線と面の要素に解体されて色彩が抑制され,無味乾燥な抽象化の道をたどるが,その一方,絵画は三次元的空間の再現を捨てて一個の自立的存在としての新しい価値を獲得する。〈総合的〉段階では絵画に現実性と日常的な親しみを回復する努力がなされ,トロンプ・ルイユ,新聞紙やラベルを画面に貼りつけたパピエ・コレpapier collé(コラージュ)が導入され色彩も徐々に復活された。ここでは前段階で十分に吟味された色彩,形態,空間,対象の解体によって得られた象徴的言語,といった個々の造形的要素が,意図された構想を達成するために〈総合〉された。…

【木版画】より

…しかし木口木版画の芸術性についてはビウィック,W.ブレーク,E.カルバート,ラファエル前派の一部,H.ドーミエ,G.ドレ,V.ユゴーなどの作品のほかにはみるところが少ない。しかし,この実用的な木版画の切抜きの中から20世紀にはM.エルンストの超現実的なコラージュがつくられたことも付記しておこう。芸術的な退潮期にあった木版画を世紀末のジャポニスムの刺激の下に再生させたのはE.ムンク,P.ゴーギャン,F.É.バロットンらであった。…

※「コラージュ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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