ダルシマー(英語表記)dulcimer

翻訳|dulcimer

百科事典マイペディアの解説

ヨーロッパのツィター属打弦楽器の総称。台形の薄い木製共鳴箱の上に,多くの金属弦を張り,両手に持った細長い2本の桴(ばち)で打奏する。19世紀に改良され,今では共鳴胴に4本の足が付き,響きを調節するペダルの付いたものもある。ハンガリーではツィンバロムcimbalom,ルーマニアではツァンバルと呼ばれ,おもにジプシー(ロマ)が合奏で使う。日本ではツィンバロンともいう。イランのサントゥールと同系。ピアノの祖系の一つ。コダイの有名な《ハーリ・ヤーノシュ》をはじめ,F.リストバルトークデュティユーブーレーズクルターグなど19−20世紀の作曲家がこの楽器を用いた管弦楽曲や室内楽曲を作曲している。→プサルテリウム
→関連項目楽器弦楽器ジプシー・バンドピアノ

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世界大百科事典 第2版の解説

台形箱形の共鳴体の上に張られた多数の弦を桴(ばち)で打って奏する楽器。(はじ)いて奏される同種の楽器プサルテリウムpsalteriumとともに,ピアノやハープシコードの先祖といえる。プサルテリウムがイスラム系のカーヌーンとのつながりを指摘されるのに対して,その発生は明らかではない。しかし,世界の最も広範囲に伝播した楽器の一つである。西南アジアでは,サントゥールなどの名称が用いられ,ヨーロッパではツィンバロムなどギリシア語の打楽器名が基になった名称が多い。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

チター属打弦楽器の英語圏における呼称。ピアノやチェンバロの前身とも考えられる。同型楽器はヨーロッパ、西南アジア、中央アジア、東アジアなど広範囲に分布する(イランのサントゥール、中国の洋琴(ようきん)など)。基本構造は、台形の木製共鳴箱(底辺1メートル、厚さ5~7センチメートル程度のものが多い)の響板上に、土手状もしくはチェス駒(こま)形の木製ブリッジを置き、それと直交するように一コース2~6本で、12~25コースの金属弦を張ったものである。もっとも多くみられる弦分割の比率は2対3で、これにより五度音程が得られる。奏者は台や膝(ひざ)の上に楽器を置き、両手に木製やプラスチック製の細長い桴(ばち)を持って、おもにトレモロ奏法で打奏する。

[山田陽一]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 (dulcimer) ピアノの前身にあたるヨーロッパの打弦楽器。台形をした共鳴箱の上に多数の弦を張り、二本の桴(ばち)またはハンマーで打つ。

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