チック(英語表記)tics

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

チック
tics

顔面,首,肩などの筋肉群がピクンピクンとけいれん的に収縮を起す現象。幼児に多い。錐体外路系統の障害のこともあるが,多くは心が原因で神経系に症状の生じるもので,運動性神経症の一つと考えられている。意味ありげなまばたき,舌打ち,うなずき,首の回転など,第三者に不快な印象を与えるものが多いが,注意するとますます止まらなくなる傾向がある。

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デジタル大辞泉の解説

チック

《「コスメチック」の》棒状に練り固めた整髪料。ヘアスティック。

チック

[接尾]《英語で、形容詞をつくる接尾語-ticから》他の語の下に付いて、…的な、…らしい、の意を表す。「漫画チック」「乙女チック

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家庭医学館の解説

ちっく【チック Tic】

[どんな病気か]
 スピードの速い、くり返される律動的な筋肉の動きで、顔面におこることが多いものです。気になる症状ではあるのですが、日常生活に支障がおこるわけではなく、治療の必要はありません。
 チックの一種にジル・ド・ラ・トゥレット病があります。この場合は、くび、肩、顔面、舌などにチックがおこり、さらに、汚言症(おげんしょう)(汚いことばをはく)、奇声(きせい)などの精神症状をともないます。神経抑制薬のハロペリドールが有効なことがあります。

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世界大百科事典 第2版の解説

チック【tic】

一見,癖のようにみえる,まばたき,顔しかめ,肩すくめなど,身体各部分を動かさずにはいられないような衝動を感じて繰り返される無目的の筋肉運動で,そのほか,鼻を鳴らす,咳払いしゃっくりのような発声,特定の汚い言葉やわいせつな言葉(汚言)をいう,などを伴うこともある。幼児期後半から学童期に発症し,7~9歳の男児に多く,一定の心理的背景から始まるものが少なくない。思春期以降減少するが,成人になっても続くこともある。

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大辞林 第三版の解説

チック

( 接尾 )
名詞について、それににているさまを表す形容動詞の語幹をつくる。 「乙女-」

チック【tic】

顔面・頸けい部・肩などの筋が不随意的に急激かつ律動的に収縮を反復する症状。脳や神経の病変によるものと心因性のものがある。チック症。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

チック
ちっく
tic

不随意に筋の一部が軽い収縮運動をする場合をいう。器質的な病変による場合もあるが、精神的なストレスないし心理的要因でこのような不随意運動をおこす場合も少なくない。四肢の筋のどこにもおこりうるが、もっとも多いのは顔面チックである。治療としてはなかなか有効な薬剤はないが、トランキライザーや多少精神療法を加味して心理的要因を取り除くのがよい。[里吉営二郎]

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精選版 日本国語大辞典の解説

チック

〘名〙 「チックしょう(━症)」の略。

チック

[1] 〘名〙 (「コスメチック」の略) 毛髪やひげを整える棒状の男性用油性化粧料。
※菊池君(1908)〈石川啄木〉四「髪をペタリとチックで撫でつけて居て」
[2] 〘接尾〙 (英語の dramatic, exotic, romantic などの形容詞的な語尾 -tic から) 名詞の語幹に付けて、そのような性質をもつものの意を表わす形容動詞をつくる。「乙女チック」「漫画チック」など。

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六訂版 家庭医学大全科の解説

チック
Tic disorders
(子どもの病気)

どんな病気か

 チックは、体の一部あるいは全身が不随意(ふずいい)に瞬間的に動いてしまう病気です。てんかんなどと違い、意識を失うことはありません。瞬間的に声が出てしまうこともあります。

 チックは、一過性チック、慢性チックとトゥーレット症候群の3つに分類されます。チックが1年以内に治まってしまうものを一過性チック、1年以上続くものを慢性チックといいます。体のチックに加えて声の出てしまう音声チックが1年以上続くものをトゥーレット症候群と呼びます。初発年齢は7~9歳です。

原因は何か

 原因は不明です。脳波やCT、血液検査ではまったく異常はありません。トゥーレット症候群には親子や兄弟でともになることがあり、遺伝が関係している場合もあります。

症状の現れ方

 多くは目をぱちぱちさせる、口をゆがめる、首をふるといった小さな運動ですが、ジャンプしたり、体全体を揺り動かすような大きな動きのこともあります。また咳払いや舌打ちがチックの症状である場合もあります。声が出る場合には、単純な声を出す場合もありますが、汚言症(おげんしょう)といって汚い言葉が出てしまうことがあります。

 チックの症状は、本人の意思に関わりなく(不随意に)現れます。精神的緊張があると起こりやすく、また、ある程度起こらないようにコントロールできる場合もあります。

 チックはそれ自体に苦痛はありませんが、人の前で起こると社会的に不都合な場合が多く、そうしたことが本人にとって大きな精神的苦痛になりえます。

 トゥーレット症候群では、身体的なチックに加えて、汚言症などの音声チックが起こりやすく、社会生活上大きな支障になります。また、注意欠如多動性(ちゅういけっじょたどうせい)障害強迫性(きょうはくせい)障害などをいっしょにもつことが多く、社会適応が困難になることがしばしばあります。

治療の方法

 ある程度は、気持ちをコントロールすることでチックを減らすことができることがあります。まわりから注意すると精神的緊張のためにかえってチックが多くなります。

 向精神薬(ハロペリドール、リスペリドン、ピモジド)の服用で症状を軽快させることができます。

榊原 洋一

チック(チック症)
チック(チックしょう)
Tic disorder
(こころの病気)

どんな病気か

 チックとは一種の癖のようなもので、乳幼児期から学童期にかけ、心と体の成長・発達の過程で多くの子どもにみられるものです。これが固定・慢性化して激症化するとチック症と診断されます。

 子どもにみられるチックは、一過性・発達性チックといわれるものが大多数です。しかし、子ども専門の精神科では、心身症ないし神経症レベルのチック症が比較的多くみられます。チック症の重症型といわれる慢性多発性のチック症(トゥーレット症候群)は、学童・思春期に比較的多くみられます。

原因は何か

 発症の原因としては、身体因(チックの中枢として脳の線状体(せんじょうたい)の障害説などがある)と心因が相互に関係しあっていると考えられています(図1)。とくに、子どもの発症に際しては、母子関係が重要な要因であるとする従来からの説もありますが、最近では素質としての身体因を重視する傾向があります。

症状の特徴と診断

 チックは、「ある限局した一定の筋肉群に、突発的、無目的に、しかも不随意(ふずいい)に急速な運動や発声が起きるもの」とされています。

 症状は、まばたき(瞬目(しゅんもく))、首振り、顔しかめ、口すぼめ、肩上げなど上位の身体部位によく現れますが、飛び跳ね、足踏み、足けりなど全身に及ぶ運動性チックといわれるものもあります。また、咳払い、鼻ならし、叫びや単語を連発する発声チックといわれるものもあります。

 発症年齢は、3~4歳の幼児期から始まり(初発)、7~8歳の学童期(ピーク)に多くみられます。男児に多い傾向にあり(男女比は3対1)、その意味づけに関して定説はありませんが、一応この時期の男女の成長・発達の特異性によるものと考えられています。

 診断は、一般には症状や治療経過の特徴などからなされています。ここでは、子どもの精神科などで用いられている診断基準を紹介しておきます(表17)。

治療と対応

 治療は、「チック症という病気を治すのではなく、チック症の子どもを治療する」ことになります。治療の目標は、ストレスなどへの適応性を高め、人格の発達援助を目指すことです。

 子ども専門の精神科などでは比較的重症な患児が多く、その場合には薬物療法(主としてハロペリドールやリスペリドンなどの向精神薬)が行われます。一方、軽症の場合は、遊戯(ゆうぎ)療法などの行動療法的なアプローチが有効とされています。その際は、親へのカウンセリングが重要になります。

 対応としては、症状を誘発する緊張や不安を軽減、除去することや、それへの耐性(たいせい)(精神的抵抗力)を高めるように援助することが肝要ですが、症状の出現をやめるように、いたずらに叱責して注意を促すことは避けるべきです。

 むしろ、本人が症状にとらわれすぎないように配慮し、全身運動の発散に関心を向けさせ、一方では、何か興味を抱いて熱中できるもの(趣味的なもの)をもたせることが有効です。

 しかし、症状が長期・慢性化し、多発・激症化する場合には、子ども専門の精神科などの医療機関への受診が必要になります。

根岸 敬矩


チック
Tic disorder
(脳・神経・筋の病気)

どんな病気か

 チックとは、自分の意思とは無関係に、突然起こる体の動き(運動チック)や、発声(音声チック)のことをいいます。

 発症年齢は小児期で、比較的男児に多い傾向があります。運動チックの症状として、顔のしかめ、頻回のまばたき、首すくめなどがあり、音声チックにはのど鳴らし、(せき)払い、甲高(かんだか)い声などがあります。

 チックはそのほかに症状を示さない場合と、トゥーレット症候群と呼ばれる、チック、強迫性(きょうはくせい)障害注意欠如多動性障害を合併する病気によるものである場合があります。

原因は何か

 大脳の深部にある大脳基底核(だいのうきていかく)は、運動の調節に重要なはたらきをしています。ドーパミンは大脳基底核にある神経間の連絡を司る神経伝達物質ですが、ドーパミンの受容体が過敏に反応していることがチックの原因のひとつと考えられています。トゥーレット症候群の多くや、チックの一部では遺伝因子が作用していることが考えられています。

検査と診断

 典型的な動きから診断は容易です。チックのみなのか、トゥーレット症候群の一部なのかを調べるのに、知能テストを受けたり、小児精神科の受診をすすめられることもあります。

治療の方法

 軽度のチックは自然に軽快します。軽度の場合、両親などが過度の心配をせずに温かく見守っていく態度が大切です。重症の場合は薬物治療の対象となりますが、副作用が出る可能性がありますので小児精神科、小児神経内科などの専門医の診察を受けることをすすめます。

野寺 裕之, 梶 龍兒

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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