翻訳|filament
白熱電球の発光部として熱放射を起こす部分。高融点で蒸気圧が低く,かつ適当な電気抵抗値を有して可視領域で十分な放射が発生しなければならない。同時に線引き加工ができ,機械的強度ももつ必要がある。初期の白熱電球では白金や炭素が用いられたが,現在ではもっぱらタングステンが使用され,高温でのフィラメントの変形を防止するため微量のAl2O3,SiO2,K2Oが添加されている。そして,タングステンの蒸発を抑制するために電球内に不活性ガスが封入されているが,封入ガスの対流によるフィラメント温度の低下を防止するために,フィラメントとガスの接触面をできるだけ少なくした二重コイル(一度巻いたフィラメントをもう一度巻く)が使われている。
執筆者:川瀬 太郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
連続したきわめて長い繊維をさし、日本では繊維素系の繊維と合成繊維を通じて、長繊維のものをフィラメントとしている。生糸・人絹・ナイロンなどの紡出した繊維は、無限に近い長さの糸が得られるが、この単繊維をさしてフィラメントとよんでいる。人絹糸の場合では、この単繊維1本からなるものをモノフィラメントmonofilamentまたは略してモノフィルmonofilとよび、普通品より細い繊度(繊維の太さ)の単繊維を使って単繊維と同じ繊度にしたものをマルチフィラメントmultifilamentまたは略してマルチmultiとよんでいる。紡出に際しての繊度は、用途によってまちまちであるが、一般に3デニールから20デニールぐらいのものが多い。これを編物用・織物用原糸とするときは、そのままリールにとり、未処理のまま使用することもあるが、それに適した熱処理などを施し、羊毛のように加工(テックスチャード・ヤーン)して使用する。
[角山幸洋]
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天然繊維には,絹のように1個の繭が1本の繊維でできているような連続したきわめて長い繊維からなるものと,綿のように短い繊維からなるものとがある.前者をフィラメントといい,後者を短繊維(ステープル)という.化学繊維では紡糸してフィラメントをつくるのが,最初の工程である.また,フィラメントからなる糸をフィラメント糸という.これは短繊維を紡績した紡績糸に対比するものである.1本のフィラメントからなるものをモノフィラメント,多数のフィラメントからなるものをマルチフィラメントという.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…〈ゆうずい〉ともいう。種子植物の花を構成する要素のうちの雄性器官で,花粉を入れる葯anther(小胞子囊)とそれを支える花糸filament(小胞子葉)からなる。異型胞子性シダ植物群の小胞子葉と形態的に相同である。…
…ユウレイイカなどでは触腕の柄部および掌部先端に発光器をもっていて,これを擬餌のように用いるものと思われる。なおコウモリダコにみられる触糸filamentはイカ類の触腕とは相同器官ではない。【奥谷 喬司】。…
※「フィラメント」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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