フォンテイン

百科事典マイペディア 「フォンテイン」の意味・わかりやすい解説

フォンテイン

英国の女性舞踊家。本名はペギー・フーカムPeggy Hookham。幼いころ父の任地の上海でG.ゴンチャロフ〔1904-1954〕に,のちロンドンでマリインスキー劇場出身のS.A.アスタフィエワ〔1876-1934〕にバレエを学ぶ。1934年ビック・ウェルズ・バレエ団(のちのローヤル・バレエ団)の《くるみ割り人形》でデビュー。その後《ジゼル》《白鳥の湖》など大作の主役を踊り,広範な人気を得る。特に《眠れる森の美女》の主役オーロラは彼女の最大の当たり役ともなった。また,アシュトン振付の新作バレエでもすぐれた解釈を見せた。1956年には駐英パナマ大使も務めたロベルト・アリアスと結婚。1959年に初来日。1961年引退を考えていた時期にヌレーエフと出会い,さらに10年以上もすばらしいパートナーシップを見せて踊りを続ける。著書に自伝《マーゴ・フォンテイン》(1975年)がある。→マクミラン

フォンテイン

アメリカの女優。両親はイギリス人で,日本で生まれる。父は東京帝国大学教授として招かれ英語を教えていた。母は舞台女優。幼時にアメリカに移住。その後両親は離婚,彼女は父親の住む東京のアメリカン・スクールで学び1935年に卒業する。アメリカで舞台俳優としての活動を始めたが,ハリウッドの大プロデューサー,デヴィッド・O・セルズニックに見いだされ,1940年アレフレッド・ヒッチコック監督作品《レベッカ》で主人公を演じ,アカデミー主演女優賞にノミネートされ一躍スターとなった。続けて1941年ヒッチコック監督の《断崖》でアカデミー主演女優賞を獲得,さらにエドマンド・ゴールディング監督作品《永遠の処女》(1943年)でもアカデミー賞にノミネートされ,知的な美貌と演技力でスターの地位を不動のものとした。映画では他に《忘れじの面影》(マックス・オルフェス監督,1948年),《旅愁》(ウイリアム・ディターレ監督,1950年)などが代表作。1950年代半ばから舞台を中心に活動する。姉のオリヴィア・デ・ハヴィランドも2度アカデミー主演女優賞を受賞した大女優で,兄弟姉妹のアカデミー賞受賞はこの姉妹だけである。

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改訂新版 世界大百科事典 「フォンテイン」の意味・わかりやすい解説

フォンテイン
Margot Fonteyn
生没年:1919-91

イギリスの女流舞踊家。本名はPeggy Hookham。幼時,ボストフに,次いで父の赴任先の上海でゴンチャロフに,ロンドンに戻ってアスタフィエバにバレエを学ぶ。1934年ビック・ウェルズ・バレエ団(のちのサドラーズ・ウェルズ・バレエ団。現在のローヤル・バレエ団)でデビュー,コール・ド・バレエから1年後にはプリマ・バレリーナとなった。20歳までに,《ジゼル》《白鳥の湖》《眠れる森の美女》などの古典を踊り,さらにF.アシュトン振付の新作バレエのすぐれた演舞者となる。59年までローヤル・バレエ団の花形として,その黄金時代を築いた。その後ヌレーエフと組んで新たに出発し,79年まで世界各国で踊った。1956年パナマの政治家ロベルト・マリアスと結婚,同年デームDameに叙せられた。59年以来踊り手として5回,82年には教師として来日。華麗なテクニックと美しい姿を通して人柄の暖かさを感じさせる演技に魅力がある。自伝《マーゴ・フォンテイン》がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フォンテイン」の意味・わかりやすい解説

フォンティン
Fonteyn, Dame Margot

[生]1919.5.18. ライギット
[没]1991.2.21. パナマ
イギリスのバレリーナ。本名 Margaret Hookham。 1934年サドラーズ・ウェルズ・バレエ団 (のちのロイヤル・バレエ団 ) に参加,35年 A.マルコワのあとをうけて,プリマ・バレリーナになり,マルコワの役をほとんど受継いだほか,F.アシュトンの新作『妖精接吻』に主演。特に 39年『眠れる森の美女』のオーロラ姫で絶賛を博し,以来当り役となる。その後ヨーロッパ各地を巡演して名声を得るとともに,第2次世界大戦中は手薄になったイギリス・バレエ界にあって R.ヘルプマン,M.ソムズと組み,バレエの繁栄に貢献,56年現役バレリーナとして最初のデイムの勲位に叙せられた。さらに 1960年代にはソ連から亡命した R.ヌレエフとパートナーを組み,古典をはじめ M.グラハムが2人のために作った『ルシファー』 (1975) など新作バレエも踊って「奇跡のコンビ」といわれ,世界を魅了した。また,元駐英パナマ大使の R.アリアス博士夫人であり,王立舞踊アカデミー総裁をつとめた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「フォンテイン」の意味・わかりやすい解説

フォンティン
ふぉんてぃん
Dame Margot Fonteyn
(1919―1991)

イギリスのバレリーナ。サリー州ライガットに生まれる。サドラーズ・ウェルズ・バレエ学校卒業後、1934年『くるみ割り人形』でデビュー。サドラーズ・ウェルズ・バレエ団、ロイヤル・バレエ団の花形として多くの古典作品およびF・アシュトンの新作バレエに出演した。55年にロベルト・E・アリアス駐英パナマ大使と結婚、翌年デームに叙せられた。59年以後ゲスト・ダンサーとして世界各地で客演し、64年からはR・ヌレーエフとペアを組むことが多かった。76年引退後はロイヤル・バレエ団の教師、ロイヤル・アカデミー・オブ・ダンシングの総裁を務めた。主演作品は数多いが、映画になったものに『ロイヤル・バレエ』(1960)などがある。

[市川 雅]

『湯河京子訳『マーゴ・フォンテーン自伝――愛と追憶の舞』(1983・文化出版局)』


フォンテイン
ふぉんていん

フォンティン

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