製造業,鉱業,建設業などの生産現場で働く労働者のこと。blue-collarはアメリカでは形容詞であり,日本でいうブルーカラーはblue-collar workerという。その作業服の点から,管理,事務,営業,金融などの部門で働くワイシャツに背広姿のホワイトカラーと対比して,俗にこのように呼ばれる。ブルーカラーの労働は,自然に働きかけて生産物を物質の形態で受け取る,肉体的エネルギーの支出を中心とする活動である。しかしブルーカラーは肉体労働者,ホワイトカラーは精神労働者と一概にはいえない。たとえば下層ホワイトカラーの業務よりは熟練工のような上層ブルーカラーの仕事のほうが,労働対象に働きかける方法を考えるという意味での精神労働的な性格はしばしばより濃いからである。管理,事務,営業などの仕事がもっぱら経営者によって行われていた資本主義初期の段階では,使用者に雇われていたのは生産労働者だけであった。今なお西欧の常識では,ブルーカラーのみが〈本来の〉〈ほんとうの〉労働者である。労働社会学はこの〈伝統的労働者〉を,生活意識,人生目標,消費パターン,学歴,娯楽,服装,言語,社交範囲などにおいて,中層・上層のホワイトカラーとは明りょうに異なる人々として描いている。成功を求めて個人主義的な競争に身を投ずるホワイトカラーと,競争を制御して階級全体の利益を集団主義的に防衛しようとするブルーカラーという対比もなされる。とはいえ,第2次大戦以降の技術的,経済的・社会的諸変化の複合作用によって,今やブルーカラーとホワイトカラーは労働内容や労働条件において接近し,両者の文化は相互に浸透しあい,そしてブルーカラーは相対的に減少しつつある。1980年の日本ではブルーカラーに分類される雇用者は約1680万人,約42%である。しかし下層ホワイトカラーの大多数は,労働や生活や意識のあり方において事実上ブルーカラーに融合をとげている。
執筆者:熊沢 誠
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…その初期のものとして八幡製鉄所と日立製作所の養成所(1910設置),芝浦製作所の職工教育制度(1915開設)があるが,これがほぼ多くの大企業に定着していくのが,第1次大戦(1914‐1918)以降昭和初期である。
【ブルーカラーの養成と管理】
[日本的現実における年功的熟練]
企業は,小卒,高小卒の若年層を農村や都市近郊などから雇用し,工場の技能養成施設でイロハから技術などの知識を教え,技能の養成を行った。ただし彼らの技能習得は,養成施設においてだけでなく,それ以上に工場での仕事を手伝いながら,先輩の労働者から個人的に伝承される形で身につけていくといったOJT(on‐the‐job training)の要素がより強かった。…
…ブルー・ジーンズは1850年ころ,カリフォルニアに金鉱探しにやってきたリーバイ・ストラウスがテントを染めて作業衣を作り,性,年齢,身分をこえた衣服として広めたといわれる。ホワイトカラーに対して用いられるブルーカラーの語源ともいわれている。日本では1960年代以降ジーパンとしてファッション化し,老若男女を問わず爆発的に流行し,カジュアル・スタイルへの口火を切った。…
…工場で工作機械を相手に生産活動に従事している工員,作業員などと呼ばれてきた人たちの,油にまみれたつなぎの作業服姿のイメージから,彼らをブルーカラーと呼ぶ。これと対応させて,オフィスで机に向かって仕事をしている職員,事務員などと呼ばれてきた人たちの白いワイシャツ姿のイメージから,彼らをホワイトカラーと呼ぶ。…
※「ブルーカラー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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