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ベーダ Beda(Baeda; Bede)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ベーダ
Beda(Baeda; Bede)

[生]672頃.ダラム,ジャロー
[没]735.5.25. ダラム,ジャロー
イギリス,アングロ・サクソン時代の聖職者,神学者,歴史家,科学者。聖人。教会博士。ビードともいわれ,「尊師」 Venerableと呼ばれる。7歳でサンダーランドの修道院に入り,19歳で助祭,30歳で司祭,師ベネディクト・ビショップが収集した膨大な蔵書を利用して広大な学識を養い,天文学,医学そのほかほとんどすべての分野に通じ,著作も 40編に近い。聖書の注釈を主とするが,ほかに『韻律について』 De arte metrica (701/2) ,『年代算出法』 De temporum ratione (725) ,『自然物について』 De rerum naturaなどがある。代表的な業績は『英国民教会史』 Historia Ecclesiastica gentis Anglorum (731/2) で,ローマのイギリス侵攻から 731年にいたる歴史と伝説を記したもので,イギリス中世初期の最重要の史料の1つ。

ベーダ
Veda

バラモン教およびヒンドゥー教の根本聖典の総称。インド最古の文献で,祭祀に関係ある語句や文章の集録。前 1500年頃から数世紀にわたって集成された。リグ,サーマ,ヤジュル,アタルバの4種の区別がある。賛歌,歌詠,祭詞,呪詞などの集録された主要部分を本集 (サンヒター) といい,狭義のベーダはこの部分をさす。また本集に付随する文献として,ブラーフマナアーラニヤカウパニシャッドがあり,広義では,すべてを含め天啓聖典とみなされる。インド文化の源泉として,後世の宗教,哲学思想,文学に多大の影響を与えた。

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デジタル大辞泉の解説

ベーダ(Baeda/Beda)

[673ごろ~735]英国の神学者・歴史家。幅広い学識と人格によって「尊敬すべきベーダ」とよばれた。著「英国教会史」など。ベード。

ベーダ(〈梵〉Veda)

《知識の意》インド最古の文献で、バラモン教の根本聖典。起源はアーリア民族の自然賛美の詩で、前1200~前500年の成立と推定され、リグ・サーマ・ヤジュル・アタルベの4ベーダ(祭式上の区別)から成る。内容上からジュニャーナカーンダ(哲学的、宗教的思索部門)とカルマカーンダ(施祭部門)の二つに大別される。→リグベーダ

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百科事典マイペディアの解説

ベーダ

ビードBedeとも。英国中世の聖職者,歴史家。一生をほとんどイングランド北部のジャロー修道院で過ごした。自然科学,歴史,神学に関する著述,詩の断片などがあるが,重要なのはラテン語の《イギリス教会史》5巻である。
→関連項目アングロ・サクソン年代記

ベーダ

インドの正統的バラモン教の根本聖典。ベーダとは知識の意で,宗教的知識を総集した聖典の名称となったもの。ベーダには4種あって,神々への賛歌を集めた〈リグ・ベーダ〉,旋律に合わせて歌う詩歌を集めた〈サーマ・ベーダ〉,祭祀の実務に関する書を集めた〈ヤジュル・ベーダ〉,災厄を除く呪法の句を集めた〈アタルバ・ベーダ〉である。
→関連項目アーリヤ・サマージインド語派カルパ・スートラグルシャクンタラー自由思想家ダヤーナンダ・サラスバティーヒンドゥー教ブラフマンベーダ語ベーダーンタ学派レビ六派哲学

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世界大百科事典 第2版の解説

ベーダ【Beda】

673ころ‐735
イギリスの聖書学者,歴史叙述者,聖人。ビードBedeともいい,〈尊者Venerabilis〉と称される。7歳で生地ウィアマスの修道院に入り,まもなくジャロー修道院に移る。692年ころ異例の若さで助祭に任ぜられ,703年ころ司祭となる。早くから聖書研究に専心し,その学識は同時代人にも高く評価された。初期の作品《文字論》はアルファベット順に編集された事典であり,《韻律法》はさまざまな詩の形式を集めて解説したもので,ともに修道院の年少者の教育に資するためのものであったらしい。

ベーダ【Veda】

古代インドのバラモン教の聖典の総称。インド最古の文献であり,古代インドの宗教,神話はもちろん,社会事情一般を知るうえで不可欠の重要な資料とされる。〈ベーダ〉という語は,〈知る〉を意味するサンスクリットの動詞語根ビドvid‐から派生した名詞で,もともとは知識一般を意味するが,とくに聖なる知識,宗教的知識を指すようになり,転じてそのような宗教的知識を収めた聖典の名称となった。バラモン教は,前1500年前後にインド亜大陸に侵入したインド・アーリヤ民族の民族宗教であるが,祭式を行って神々に供物をささげ,それによって神の恩恵を期待するという祭式主義をその根幹としている。

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大辞林 第三版の解説

ベーダ【Baeda; Bede】

673頃~735) イギリスの神学者。幅広い学識を有し、資料に基づいた「イギリス教会史」をはじめ多くの著作を残した。ビード。

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世界大百科事典内のベーダの言及

【キリスト教文学】より

… これにつづく数世紀は,いわゆる中世の暗黒にようやく平和と文運の曙光がきざした時代で,ことにイギリス,フランスを中心に教学の復興が企てられ,カール大帝の即位した800年は,カトリック文学にとっても記念すべき年であった。まず7世紀にイギリスでは,《教会史》ほか多くの著作をもつベーダと,シャーボーンの司教でギリシア語とラテン語をよくし,長詩《聖処女賛頌》などを書いたアルドヘルムが相対して出た。後者の高弟がカール大帝の文教政策に参じたアルクインである。…

【クリスマス】より

…彼は翌年のクリスマスに1万人以上のアングロ・サクソン人に洗礼を施したという。約1世紀後,ベーダはこの日がもと〈母たちの夜〉と呼ばれ,母なる女神の祝日だったと述べている。人々は改宗してもなお,寛大な教会の慈悲により,罪のない異教の祭りをたのしんでいたのである。…

【サラセン】より

…《ローランの歌》をはじめとする中世の叙事詩において,サラセン人は預言者ムハンマドをあがめる偶像崇拝者として描かれ,しかもムハンマドは偽預言者であり,イスラムは性的放縦を容認する宗教であり,ムハンマドをはじめサラセン人はすべて堕落した人びととされた。またベーダ(8世紀)をはじめとする聖書解釈学において,サラセン人は荒野に追いやられたアブラハムの子イシマエルの子孫として,好戦的な牧民,イサクよりも劣った一族とみなされた。このようなヨーロッパのキリスト教徒の嫌悪と軽蔑にみちたサラセン認識は,十字軍を準備する土壌であったが,十字軍の敗北とこれを通じてのイスラム教徒との接触は,すぐれたイスラムの文化やサラディン(サラーフ・アッディーン)をはじめとするイスラムの〈騎士〉像をヨーロッパに伝えるところとなった。…

【中世科学】より

…これらの内容は,まだそれほど水準の高いものではないが,中世前期において西欧知識人の基本的な科学的教養を培ったものとして重要である。8世紀にはカール大帝の下にイギリスからアルクインがよばれ,カロリング・ルネサンスが興るが,ここにもたらされたものはイングランドに地中海経由で一足さきに受け入れられていた科学知識を発展させたベーダらの天文学や自然学であった。またエリウゲナは独自な自然論を展開し,その宇宙論はT.ブラーエの天文体系に近づいたともいわれている。…

【ラテン文学】より

…しかし大陸の混乱の影響を受けなかったアイルランドの修道士たちの間で古典の研究と保存の伝統が持続され,7世紀初頭,彼らは大陸に進出して,スイスのザンクト・ガレンと北イタリアのボッビオに修道院を設立,ここが時代を通じて写本作りと研究の中心地になった。イングランドにも7世紀後半に,古典研究を聖書研究に不可欠とするヒエロニムス以来の考えを継承するアルドヘルムとベーダが登場し,その後継者ボニファティウスは大陸に渡って,フランク王国の教会改革に乗り出した。 8世紀中葉にカロリング朝が起こると,カール大帝の下でカロリング・ルネサンスが始まる。…

【インド文学】より

…これに反しインド・ヨーロッパ語の文学は過去4000年の長きにわたり,インド文学の主流をなしている。インド文学史は言語史の上から,古代のベーダ文学,中古の古典サンスクリット文学,近世の諸地方語文学に分けられる。古代・中古の文学はインド・アーリヤ語の文学であって,近世の文学もインド・ヨーロッパ語文学を主流とするが,便宜上ドラビダ文学もこれに含める。…

【ガンガー[川]】より

…1876年には1時間半の間に10万人がおぼれ,1959年にも10万戸が失われた。【藤原 健蔵】
[ガンガー川とインド文化]
 前1500年前後にインダス川上流に侵入したインド・アーリヤ人は,前1000年ころにはガンガー(ガンジス),ヤムナー(ジャムナ)両川を中心とするガンガー川中流域に進出し,ベーダという宗教文献を編纂し,複雑な祭祀の体系を整備していった。先住民を彼らの社会体制の中に組み入れてゆく過程において,アーリヤ人の文化は先住民の宗教や生活習慣と融合して変容をとげた。…

【サーマ・ベーダ】より

…バラモン教の聖典で,4種のベーダの一つ。祭式において旋律にのせて歌われる賛歌,すなわちサーマンsāmanをおさめたもので,歌詠をつかさどるウドガートリUdgātṛ祭官に所属する。…

【サンヒター】より

…インド,バラモン教の聖典ベーダを構成する4部門(サンヒター,ブラーフマナ,アーラニヤカ,ウパニシャッド)の一つ。マントラmantraすなわち祭式の中でとなえられる賛歌,歌詠,祭詞,呪文を集大成した文献群をさし,日本では通例〈本集〉と訳している。…

【宗教音楽】より

…しかし,両者の音楽とも,今日に至るまでヒンドゥー教と不可分的なつながりをもってきた。バラモン教文献はベーダと総称されるが,その歌唱の伝承は古代唱法をかなり忠実に伝えているものがあるとされている。4種の祭官に分掌される〈リグ〉〈サーマ〉〈ヤジュル〉〈アタルバ〉の各ベーダのうち,とくに《サーマ・ベーダ》などが古式を伝えている,ともいう。…

【ダルマ・スートラ】より

…古代インドのバラモン教の聖典ベーダに付随する文献群の一種。バラモン教社会を構成する4階級(バルナ)それぞれの権利や義務,および生活の規範などを記したもの。…

【ブラーフマナ】より

…古代インドのバラモン教の聖典〈ベーダ〉に属する文献群で,〈ベーダ〉を構成する四つの部門のうち,サンヒター(本集)につづく第2の部門にあたる。サンヒターがマントラすなわちバラモン教の祭式において唱えられる賛歌,歌詞,祭詞,呪文を集成したものであるのに対し,ブラーフマナは,祭式の実行に関する規定やその神学的解釈を内容としている。…

※「ベーダ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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