翻訳|homozygous
同型配偶子や同型接合体の略称としても用いられ、同型ともいう。二倍体以上の染色体をもつ高等生物で、一つ以上の遺伝子座について、等しい対立遺伝子をもつ細胞または個体をいい、互いに異なった対立遺伝子をもつヘテロheterozygousに対する語。たとえば、1組の対立遺伝子をA―aとすれば、AA、aaの遺伝子型をもつ個体をホモといい、Aaの遺伝子型をもつ個体をヘテロという。また、2組の対立遺伝子をA―a、B―bとすれば、AABB、AAbb、aaBB、aabbの遺伝子型をもつ個体はそれぞれAB、Ab、aB、abについてホモであるという。細菌やファージなどの半数体の生物で、染色体の一部が重複して存在し、等しい対立遺伝子をもつ場合にも使用される。すべての遺伝子についてホモである個体は純系といい、純系ではヘテロの状態では発現しなかった致死遺伝子などを含む多くの潜性遺伝子が発現し、環境に対する適応性が弱い場合が多い。エンドウなどの自家受粉する植物では、世代とともに、ヘテロ接合体の頻度が減少し、それとともにホモ接合体の頻度が上昇する。遺伝学的な研究目的で、同一系統内で交配を繰り返して、各遺伝子がホモ接合になった近交系がつくられ、純系として実験に供せられる。しかしこれらはヘテロ接合体を多くもつ野生型の生物に比べて生存力や生殖能力が劣るものが多い。
[黒田行昭]
『駒井卓著『人類の遺伝学』(1966・培風館)』▽『J・F・クロー著、木村資生・北川修・太田朋子訳『遺伝学概説』(1991・培風館)』▽『安田徳一著『人のための遺伝学』(1994・裳華房)』▽『黒田行昭編著『21世紀への遺伝学1 基礎遺伝学』(1995・裳華房)』
ラテン語で人間を意味する言葉であり,日本語ではヒト。リンネC.von Linneがヒトを生物学的に二名法でホモ・サピエンスHomo sapiens〈賢いヒト〉と命名する際に,ヒトの属名として採用。ギリシア語の同一という意味の接頭語であるホモhomoとは別。
→ヒト
執筆者:馬場 悠男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…交雑によって生ずる次代の個体の細胞核内には,遺伝に関与するいくつもの染色体(多数の遺伝子を含む)があるが,それらの染色体は2本ずつが対合しており,各1本が両親から伝わったものとなっている。この対合している染色体上の対をなす二つの遺伝子に着目してみると,両者の作用が同じ場合(ホモまたは同型という)と,異なる場合(ヘテロまたは異型という)とがある。対になる二つの遺伝子がヘテロのとき,遺伝子の働きに優劣関係が生ずることがある。…
…とはいえ,いまもなお同性愛を異常性欲・倒錯として語る例は絶えない。同性愛者を医学的手段で矯正することはなくとも,〈ホモ遺伝子〉の発見をめざす研究が行われ,同性愛を罪とする宗教観も根強い。解放はまだ完全ではない。…
…第2次世界大戦後はマインツ大学に移り,48年にドイツ人類学会を創立した。また幅広い視野をもった自然人類学の専門誌《ホモHomo》を創刊し,今日の同誌の発展の基礎をきずいた。人間の形態,遺伝,生理,心理に関する研究の総合をめざし,ライフワークとして36年以来とりくんでいた大著《人間の研究》三部作は,二十数年の歳月をついやして63年に完成した。…
※「ホモ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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