ポアソン
ぽあそん
Siméon-Denis Poisson
(1781―1840)
フランスの数学者、物理学者。ピティビエに生まれ、理工科大学校(エコール・ポリテクニク)に学んだ。在学中、ラグランジュ、ラプラスらに才能を認められ、卒業後、母校の代理教授となり、1806年にはフーリエの後任として教授に就任。1809年、新設のパリ大学理学部教授となった。数学、応用数学の広い分野にわたって業績があり、定積分・微分方程式論を研究し、ポテンシャル概念を導入(1813)したが、これと関連して「ポアソン方程式」はよく知られている。そのほか変分法やフーリエ級数、「ポアソン分布」などで知られる確率論に大きな業績をあげた。数学の物理学への応用面での熱学、毛管現象、電磁場論、引力論などの研究もあり、弾性の実験では「ポアソン比」を導入している。アカデミー会員で、のち上院議員も務めた。主著『力学概説』Traité de mécanique(1811)をはじめ、300以上の著書、論文がある。
[藤村 淳]
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ポアソン
Poisson, Siméon-Denis
[生]1781.6.21. ピチビエ
[没]1840.4.25. パリ
フランスの数学者。数学が好きでたまらず,父の意にそむいて医学を断念し,エコール・ポリテクニク入学 (1798) 。ここで,J.ラグランジュや P.ラプラスに認められ,エコール・ポリテクニク講師となり (1802) ,J.フーリエの跡を継いで教授になる (06) 。パリ大学に理学部が設立されると,その力学の教授になる。論文の数は多く,300編以上になるという。その大部分は数学の物理学への応用に関するものである。純粋数学に属するものでは定積分についての一連の論文と,フーリエ級数に関するものが知られている。そのほか変分法や確率について論文を書いている。著作のなかでも『力学』 (2巻,11,33) は,長い間標準的なテキストであった。ほかに『毛細管作用の新理論』 (31) ,『熱の数学的理論』 (35) ,『裁判の確率の研究』 (37) などがある。
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ポアソン(Siméon Denis Poisson)
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ポアソン
(Siméon Denis Poisson
シメオン=ドニ━) フランスの数学者、物理学者。数学、特に応用数学の広い分野について研究。微分方程式におけるポアソン方程式、確率論におけるポアソン分布、弾性の実験に導入したポアソン比などが知られる。主著「力学概論」。(
一七八一‐一八四〇)
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ポアソン
フランスの数学者,物理学者。1806年エコール・ポリテクニク教授。定積分,フーリエ級数を研究,ポテンシャル論でポアソンの微分方程式,確率論でポアソン分布を立てた。物理学でも電磁気,力学,熱,光,音,毛管現象等多方面な研究があり,弾性のポアソン比を導入。
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ポアソン【Siméon Denis Poisson】
1781‐1840
フランスの数学者,物理学者。ロアレ県ピティビエールに生まれる。父はそこの行政官であった。1798年パリに出て,エコール・ポリテクニクに入学したが,特別な優等生であったため最終試験は免除され,1800年には解析学の助手に任命されたほどであった。そのときすでに消去法と定差方程式についての論文を発表していた。06年にはJ.B.J.フーリエの跡をついで正教授になった。08年経度局の天文学者,フランス学士院のメンバー,ブルボン王政復古後の16年にはパリ大学理学部の力学教授など,40年4月25日没するまで栄光の地位を保って,生涯を数学,数理物理学の研究と教育に捧げた。
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世界大百科事典内のポアソンの言及
【電気】より
…これ以後,与えられた電荷の分布から,その周囲に及ぼされる電気力を計算することが大きな課題となった。この方面でとくに大きな成果をあげたのはS.D.ポアソンである。彼は1770年代からJ.L.ラグランジュ,P.S.ラプラスが展開していたポテンシャルの概念を一般化し,当時かなり高度の発達を見ていた解析学を駆使して静電気学の基礎をあらかたきずいてしまった。…
【ポアソン比】より
…等方性の物質に,一つの方向の伸びの応力を加えると,その方向に伸びのひずみεを生ずるとともに,それに垂直な方向には逆方向(縮み)のひずみε′を生ずる。このときν=|ε′/ε|をポアソン比と呼ぶ。圧縮の応力を加えたときも同様に定義される。…
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