ポントピダン(読み)ぽんとぴだん(英語表記)Henrik Pontoppidan

デジタル大辞泉 「ポントピダン」の意味・読み・例文・類語

ポントピダン(Henrik Pontoppidan)

[1857~1943]デンマーク小説家自然主義立場から社会虚偽偽善を描いた。1917年ノーベル文学賞受賞。作「約束土地」「幸福なペール」など。

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精選版 日本国語大辞典 「ポントピダン」の意味・読み・例文・類語

ポントピダン

(Henrik Pontoppidan ヘンリク━) デンマークの小説家。デンマークの新古典主義代表者代表作に「約束された土地」などがある。一九一七年ノーベル文学賞受賞。(一八五七‐一九四三

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポントピダン」の意味・わかりやすい解説

ポントピダン
ぽんとぴだん
Henrik Pontoppidan
(1857―1943)

デンマークの代表的自然主義作家。田舎(いなか)牧師の子に生まれる。コペンハーゲンの師範学校理工科に学ぶが、1879年中途退学、同年処女作の小説『教会の舟』を発表して作家の道に入り、一時実兄の経営する国民高等学校教師を務める。短編集『田舎町の画面』(1883)をはじめ『小屋から』『幽霊』『雲』など暗鬱(あんうつ)な農村生活を描く自然主義的作品で知られたが、しだいに初期のグルントビー的な農村賛美に批判的となる。三部作『約束された土地』(1891~95)は宗教的民衆運動とその指導者の真理探求の悲劇的苦闘を描く大作で、その名声により作者は国民作家の地歩を築く。『記録』(1890)は彼には珍しい浪漫(ろうまん)的童話集。それ以後は『幸福なペール』全8巻(1898~1904)、『死者の王国』全5巻(1912~16)、4巻の回想録などが代表作。これらの作品ではポントピダンは教会とキリスト教を離れ、個我の展開を追求しているかにみえる。1917年、同じデンマークの作家ギェレルプとともにノーベル文学賞を受賞。

[山室 静]

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改訂新版 世界大百科事典 「ポントピダン」の意味・わかりやすい解説

ポントピダン
Henrik Pontoppidan
生没年:1857-1943

デンマークの作家。1917年ノーベル文学賞受賞。父親の仕事である牧師を継がず技師になろうとする。世紀末から工業化の道を歩む祖国(〈後進国〉)の貧困な社会,政治的混乱と既存道徳や宗教へ厳しい批判を向けて,新しい文化論を展開する。長編《幸運のペア》(1898-1904)や《死者の王国》(1912-16)などの作品があり,進歩と民主主義の名の下に無気力になってゆくデンマークの国民性の悲観的な描写は,この国を知ろうとする者に必読の作品といえる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ポントピダン」の意味・わかりやすい解説

ポントピダン
Pontoppidan, Henrik

[生]1857.7.24. フレデリシア
[没]1943.8.21. オルドルプ
デンマークの小説家。牧師の家に生れたが,聖職を嫌って土木工学を修め,のち数年間国民高等学校の教師をつとめた。出世作『約束の地』 Det forjættede Land (3巻,1891~95) はトルストイアンの牧師がその理想に敗れて狂気に陥るまでを描いたもの。『幸福のペール』 Lykke-Per (98~1904) ,『死者の国』 De dødes Rige (12~16) ,『人間の天国』 Mands Himmerig (27) など,いずれも社会の虚偽や偽善をあばいた作品。 1917年ノーベル文学賞を受賞。

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百科事典マイペディア 「ポントピダン」の意味・わかりやすい解説

ポントピダン

デンマークの作家。ユトランドに生まれ,徹底した自然主義手法で農民の生活を描き,社会の虚偽と偽善をあばく。《約束の土地》3巻,《死者の国》2巻などが代表作。1917年にギェレループとともにノーベル文学賞受賞。

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世界大百科事典(旧版)内のポントピダンの言及

【デンマーク】より

…70年代にフランス・イギリス型の自然主義が文芸批評家ブランデスによって導入され,彼は心理描写にすぐれた無神論者ヤコブセン,シャーンドーフSophus Schandorph(1836‐1901),一時期のドラクマンギェレループらの〈現代転換派〉を世に出した。ギェレループとともに1917年ノーベル文学賞を受けたポントピダンは独自に個性の解放を目ざした。ブランデスの陣営外にあった文人としては,さらにリアリズム作家バングらがいる。…

※「ポントピダン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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