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ヨウ素 ヨウそiodine

翻訳|iodine

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ヨウ素
ヨウそ
iodine

元素記号I,原子番号 53,原子量 126.90447。周期表 17族,ハロゲンの1つ。地殻存在量 0.5ppm,海水中の存在量 0.05 mg/l 。海水中では I- と IO3- の形で,ほぼ1:1の割合で存在している。資源としてはチリ硝石 (ヨウ素酸塩として1%) および海藻がおもなものである。単体は二原子分子 I2 で,非金属。黒紫色,金属光沢のある結晶で,特異臭がある。比重 4.93,融点 113.5℃。容易に昇華する。蒸気は紫色を呈し,腐食性が強い。四塩化炭素,二硫化炭素に溶け紫色を,水,アルコールにいくぶん溶け褐色を呈する。化学作用は塩素,臭素に似ているが,はるかに弱い。デンプンと作用すると特有の深青色を呈する (ヨウ素デンプン反応) 。ヨウ素は脊椎動物には必須元素である。医薬品の製造,無機・有機ヨウ素化合物の製造,分析試薬などとして用いられる。 1811年 B.クールトアにより海藻灰の中から発見された。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

ヨウ素

海藻に多く含まれ、体の成長や発達にかかわる甲状腺ホルモンを作る。慢性的に不足すると甲状腺肥大や甲状腺腫を招くうえ、妊娠中のヨウ素欠乏は死産、流産、胎児の甲状腺機能低下を引き起こす可能性がある。ヨウ素不足の人が過剰に摂取しても、甲状腺機能の低下を招く危険があるという。

(2010-06-01 朝日新聞 朝刊 生活1)

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栄養・生化学辞典の解説

ヨウ素

 原子番号53,原子量126.90447,元素記号I,17族(旧VIIb族)の元素.ハロゲン元素の一つで,微量必須元素の一つ.甲状腺ホルモンであるトリヨードチロニンテトラヨードチロニンチロキシン)の活性に必須な元素.欠乏すると甲状腺肥大,基礎代謝の低下などを起こす.第六次改定日本人の栄養所要量では12歳以上の男女で1日150μgとされている.

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毛髪用語集の解説

ヨウ素

ヨード、沃度とも言う。甲状腺ホルモンの成分として成長や発育促進する。成長期には大変重要なミネラルである。また、脂質タンパク質糖質の各代謝を促進させ、余分な体脂肪燃焼し肥満を防ぐ働きをする。乳癌の成長を抑制するミネラルとしても知られている。

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漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典の解説

ようそ【ヨウ素】

微量ミネラルの一種。交感神経を刺激して糖質脂質たんぱく質の代謝を促す甲状腺ホルモンの構成成分。海藻類、魚介類、肉類などに多く含まれる。体内にあるヨウ素の3分の2は甲状腺に蓄積され、残りは血液などに存在して基礎代謝の活性化や発育の促進など重要な役割を担うほか、健康な皮膚・髪・爪の構成、余分な体脂肪の燃焼、心臓の働きの強化などの作用をもつ。◇「ヨード」ともいう。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ヨウ素
ようそ
iodine

周期表第17族に属し、ハロゲン元素の一つ。俗称ヨード。1811年フランスのクールトアが海藻灰の浸出液から各種の塩を除いた母液に過剰の硫酸を加えたところ、赤紫色の蒸気が発生した。これを冷却して暗紫色の結晶が得られたが、彼はこれを新しい元素であると考えた。1813年フランスのゲイ・リュサックおよびイギリスのH・デービーがこのことを確かめ、その蒸気が紫色であることから、ギリシア語で「すみれ色」を意味するiodesにちなんで命名された。[守永健一・中原勝儼]

存在と製法

天然に遊離の状態では存在せず、海藻、海産動物中に有機化合物として含まれるほか、海水および地下鹹水(かんすい)中に微量含まれ、チリ硝石中にヨウ素酸塩(約0.05~0.3%)として含まれる。生体に必須(ひっす)の元素の一つである。たとえばヨウ化物イオンとしての存在量は、海生植物中30~1500ppm、陸生植物中0.42ppm、海生動物中1~150ppm、陸生動物中0.43ppm、哺乳(ほにゅう)動物の血液中0.063ppmである。海藻灰にヨウ化カリウムとして含まれるので、古くはこれに硫酸と二酸化マンガンを加えてつくった。日本では工業的に、ヨウ化物を多く含む地下鹹水(たとえば房総半島の地下鹹水中には80~130ppm含まれている)を塩素により酸化してからイオン交換樹脂に吸着させる、あるいは塩素を吹き込んで分子状ヨウ素とし、放散して析出させるブローイングアウト法などが行われている。また、チリでは、チリ硝石中に含まれるヨウ素酸ナトリウムNaIO3その他を、亜硫酸水素ナトリウムNaHSO3で還元してつくっている。[守永健一・中原勝儼]

性質と用途

常温で金属光沢のある黒紫色の結晶。結晶はI2からなる分子格子で、熱すると紫色の蒸気となって昇華する。気体は二原子分子I2からなり、I-Iの結合の長さは2.667オングストローム(Å)。特異臭がある。化学的反応性は臭素よりさらに弱い。水素とは高温で、とくに白金触媒の存在下で反応する。水にはわずかしか溶けないが(100グラムに0.34グラム溶ける:25℃)、ヨウ化カリウムの水溶液によく溶ける(褐色)。たとえば100グラムの水に100グラムのヨウ化カリウムを溶かした水溶液には153グラムのヨウ素が溶ける。
  I-+I2I3-
四塩化炭素やクロロホルムに溶けて紫色、ベンゼン(100グラムに13.83グラム溶ける)、トルエンで赤色、エタノール(エチルアルコール)(100グラムに24.55グラム溶ける)やエーテル(100グラムに35.1グラム溶ける)、アセトンに溶けて赤褐色となる。デンプン溶液を加えると、濃青色のヨウ素デンプン反応を示す。
 ヨウ素化合物の製造、ヨードチンキ(ヨウ素のエタノール溶液)やヨードホルムCHI3などの医薬品の製造、分析化学におけるヨウ素滴定の試薬として用いられる。劇薬(許容濃度0.1ppm)であるため、密閉された容器に貯蔵するなど注意を要する。ヨウ素は脊椎(せきつい)動物には必須であり、無脊椎動物、高等植物、藻類などでも必須元素であることが示されているものがある。また人体では平均含有量1ppmで元素中第20位。[守永健一・中原勝儼]

人体とヨウ素

人体にヨウ素は約15ミリグラム含まれるが、その70~80%が甲状腺(せん)に存在している。甲状腺ホルモンのチロキシンの構成成分として重要である。甲状腺ホルモンは糖質、脂質、タンパク質の代謝を亢進(こうしん)し、発育や骨形成にも関係している。ヨウ素が不足すると甲状腺腫(しゅ)やクレチン症をおこし、甲状腺ホルモンの生理作用が阻害されるので、肥満、疲労、代謝低下が生じる。ヨウ素は海産食品に多く含まれ、海に近い所では水、野菜からもとれるので不足することはない。しかし、大陸内部、山岳部では欠乏症がみられる。そのため、アメリカなどでは食塩にヨウ素を添加したものが出回っている。一方、コンブの多食などによる過剰症として甲状腺腫や甲状腺機能亢進症がある。食事からとるべき量については、「日本人の食事摂取基準」(厚生労働省)により、目安量や摂取量、および過剰摂取による健康障害のリスクを下げるための上限量が設定されている。[河野友美・山口米子]
『松岡敬一郎著『ヨウ素綜説』増補改訂(1992・霞ケ関出版) ▽糸川嘉則編『ミネラルの事典』(2003・朝倉書店) ▽菱田明・佐々木敏監修『日本人の食事摂取基準2015年版――厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書』(2014・第一出版)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

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