レイシ(その他表記)litchi
lychee
Litchi chinensis Sonnerat

改訂新版 世界大百科事典 「レイシ」の意味・わかりやすい解説

レイシ (茘枝)
litchi
lychee
Litchi chinensis Sonnerat

ライチー〉ともいう。中国では楊貴妃のために人馬が8昼夜かけて華南より直送されたというほど珍重された亜熱帯の果物。中国料理のデザート用。ムクロジ科の10mあまりの高さになる常緑樹。葉は偶数羽状複葉で互生し,花は淡緑色で花弁を欠き,枝に頂生する円錐花序に数百花がつくが,結実は約20果である。径約3cmの卵形の果実は六角形の鱗片でおおわれ,熟すと鮮紅色となる。1個の黒い種子の周囲をとりまいた仮種皮arilが可食部である。ゼリー状で多汁,甘酸適和し,香気もある。中国南部,ベトナム,ミャンマーに自生する。亜熱帯果樹であり,花芽分化には15~20℃以下の低温が必要である。中国南部から東南アジアで栽培されるが,九州の大隅半島でも栽培されたことがある。生食のほか缶詰,乾果に加工される。中国では乾果が婚礼の引出物として重用される。根,樹皮,花,種子をうがい薬や,せき止め剤に利用する。材は緻密(ちみつ)なので,小道具製作に用いられる。
執筆者: 茘枝lìzhīは,茘枝奴とも呼ばれる竜眼(りゆうがん)とともに,南方特産の珍果とされる。とくに中国の嶺南(今の広東・広西)で産する茘枝は,漢代以来,宮中への献上物に指定された。嶺南の果王,南中の珍果などと称され,唐の戴叔倫(たいしゆくりん)は〈茘枝〉詩の中で〈紅顆(こうか)真珠 愛すべし〉と歌う。茘枝は楊貴妃が愛した果物としても名高く,毎年,早馬で献上させたという。その茘枝は嶺南のものとされるが,一説に蜀(しよく)(四川省)という。
執筆者:


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普及版 字通 「レイシ」の読み・字形・画数・意味

粢】れいし

玄米ときび。〔韓非子、五蠹〕堯の天下に王たるや、茨剪(き)らず、(き)らず。粢の(れいくわく)(あかざ)の羹(あつもの)、~監門(門番)のと雖も、此れよりも虧(か)けず。

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枝】れいし

子。

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志】れいし

志をはげまし奮いたたせる。

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枝】れいし

南方の果物、れいし。

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歯】れいし

歯をみがく。

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疵】れいし

疫害。

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【霊】れいし

めとぎ草。

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食の医学館 「レイシ」の解説

れいし【レイシ(霊芝)】

レイシはサルノコシカケ科のキノコで、和名はマンネンタケです。ウメなどの古木10万本中に数本しか採取できないという稀少品で、古来より「仙薬」「神薬」とされ重用されました。人工栽培に成功したのは日本で、現在は子実体から未成熟な菌糸体までの各段階で有効成分を抽出するまでになっています。
〈血行を改善し、効果は全身におよぶ〉
○栄養成分としての働き
 レイシの主成分はアミノ酸、ステロールアルカロイドのほか、がん抑制効果のある多糖類のβ(ベータ)グルカン、ガノデランA・B、レイシ酸など約30種類の特有成分も含まれています。しかし、その薬効については十分に解明されていないものが多くあります。
○漢方的な働き
 漢方では、レイシはとどこおった古い血を除き、血栓(けっせん)を駆除する働きがあると考え、脳梗塞(のうこうそく)心筋梗塞(しんきんこうそく)の予防に有効としています。また免疫力を高め、病気を改善・予防するので、血圧の正常化、動脈硬化や脂質異常症の予防と改善、がん予防に役立つと考えられています。アメリカの研究では鎮痛作用と抗炎症作用があり、関節炎の痛みを抑えると報告されています。また最近発表された研究で、動物実験の結果、レイシには脳内の神経伝達物質を増加させる働きがあることが判明し、学習や記憶力の改善に効果が期待されます。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「レイシ」の意味・わかりやすい解説

レイシ(果樹)
れいし / 茘枝
[学] Litchi chinensis Sonn.

ムクロジ科(APG分類:ムクロジ科)の小高木。中国南部原産の果樹で、熱帯地方で広く栽培される。英名ライチlitchi, lichee, lycheeでよばれることもある。高さ10~15メートルで、低部から多くの枝を張り出す。葉は4~5対の偶数羽状複葉。小葉は長さ15センチメートル、幅約4センチメートル、短い葉柄があり、革質で、表面は光沢のある濃緑色、裏面は灰緑色。枝端に大きな円錐(えんすい)花序をつけ、500~1000個の花をつける。雌花、雄花、両性花の3種があるが、雄花は他花の7~10倍も多い。花は淡黄緑色、萼(がく)は4~5片が集まってコップ状になり、花弁はない。果実は卵形、または円心形で、縦径3~4センチメートル、横径2.5~3センチメートル、果皮はやや堅くてもろく、表面に中央の突出した甲状の裂紋がある。果肉は種衣(しゅい)で、白色半透明、水分に富み、少々酸味はあるが甘く、独特の芳香がある。種子は楕円(だえん)形、暗褐色で光沢があり、デンプンを含む。果実は生食され、中国南部では果物の王といわれる。生果は凍結貯蔵もでき、乾果は缶詰にする。

 繁殖は実生(みしょう)苗、取木、共台による呼び接(つぎ)、切り接などによる。接木用の穂木(ほぎ)はあらかじめ環状剥皮(はくひ)を行い、接穂の貯蔵養分を高めておくと成績がよい。亜熱帯地方で、湿潤な酸性土壌でよく育つ。日本では鹿児島の一部で栽培されている。

[飯塚宗夫 2020年9月17日]



レイシ(キノコ)
れいし / 霊芝

マンネンタケ(マンネンタケ科のキノコ)の中国名。簡体字で「灵芝」と書く。中国の本草(ほんぞう)学の影響を受けた日本でも、レイシの名は古くから用いられている。日本最古の本草書である『本草和名(ほんぞうわみょう)』には赤芝、紫芝、黒芝のほか、単に芝として載せられている。すなわち、芝とはレイシのことである。古来、中国ではレイシを幸福をもたらすキノコとして、その発生を瑞兆(ずいちょう)とした。また、霊芝には霊験(れいげん)あらたかなキノコの意味もあり、中国、日本とも瑞祥を表す多くの名がつけられた。たとえば、仙草、吉祥茸(たけ)、神芝(しんし)、幸菌(さいわいたけ)、福草(さきくさ)などがある。京都市北区鷹峯(たかがみね)にある源光庵(あん)という寺の門前には「開運霊芝観世音」と刻んだ石柱が立っている。本尊は釈迦牟尼(しゃかむに)仏であるが、別に霊芝自然(じねん)の観音(かんのん)像が祀(まつ)られている。1年に1回、10月19日に開帳される。

[今関六也]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レイシ」の意味・わかりやすい解説

レイシ(茘枝)
レイシ
Litchi chinensis(Nephelium litchi); litchi

ムクロジ科の常緑高木で,ライチーともいう。中国南部の原産。幹は高さ5~10m,樹皮は灰色で,でこぼこしている。葉は大きな偶数羽状複葉で,小葉は互生し革質で先はとがる。枝はやや下垂し,葉はよく茂り,全体は球状の樹形となる。2~4月に,円錐花序を頂生し,おびただしい数の小花をつける。雄花,雌花,完全花が混在する。花は淡黄色,萼は4~5枚で,花弁は退化している。果実は5~7月に熟して球形になる。果皮は薄く,革質,ざらついて紅色を帯びる。中にある種子のまわりの仮種皮は白色半透明で甘みと酸味がよく調和し,独特の香気がある。マンゴスチンとともに果物の女王とされている。本種と同科別属の植物にリュウガン Euphoria longana(Nephelium longana)があり,やはり中国の原産で,レイシよりやや小型の果実をつける。レイシと同様に種子の仮種皮が肥厚し多汁で甘く,生食するほか乾燥果実としても賞味されている。

レイシ
Thais bronni; rock shell

軟体動物門腹足綱アクキガイ科。殻高 6cm,殻径 4cm。殻は両錘形で厚質堅固。螺塔は円錐形で6階,各層には2列の結節瘤の螺肋があり,上方のものが著しい。体層は大きく殻高の3分の2を占め,結節瘤肋は4本あり,上方肩部のものが著しく,下方へ弱くなる。殻表は灰黄色で,ときに黒褐色の斑がある。殻口は卵形で黄橙色,外唇は殻表の肋に応じて屈曲する。軸唇はややまっすぐで下端の水管溝は短い。ふたは卵形,褐色であるが上下部は黄色,核は外側にある。本州から沖縄,中国に分布し,潮間帯の岩礁にすむ。夏季,多数集って短い棍棒状の卵嚢を産む。肉食性でフジツボ類,二枚貝類などの殻に穿孔して肉を食べる。近年,船底塗料として用いられてきた有機スズ化合物によって,潮間帯から浅海の肉食腹足類に雌の不妊化が引起されることが明らかとなったが,レイシはその影響を最も強く受けている種類の1つである。

レイシ(霊芝)
レイシ

「マンネンタケ(万年茸)」のページをご覧ください。

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百科事典マイペディア 「レイシ」の意味・わかりやすい解説

レイシ(茘枝)【レイシ】

ライチーとも。中国南部原産のムクロジ科常緑高木。葉は革質の偶数羽状複葉で披針形。果実は球形で径3cmぐらい,熟すと赤くなり5〜10個房状になる。外殻は薄く堅く亀甲状の模様がある。果肉は多汁で美味。楊貴妃の好んだ果物として有名。

レイシ

ツルレイシ

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栄養・生化学辞典 「レイシ」の解説

レイシ

 →ツルレイシ

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