特殊相対性理論において用いられる慣性座標系(慣性系)の間の座標変換。ニュートン力学では,慣性系の間の変換はガリレイ変換で与えられるが,特殊相対性理論ではローレンツ変換がこれに代わる。一つの慣性系S(x,y,z,t)から,x軸方向に速度vで動くもう一つの慣性系S′(x′,y′,z′,t′)への座標変換は,光速度をcとして,
で与えられる。これをローレンツ変換といい,注目すべきは,時間もtからt′へ変換され,とくに時間と空間座標の間に移り変りが起こることである。時間は,もはや空間座標と独立なものではなく,時間と空間を統合した時空という概念に達しなければならない。上記の式そのものは,光速度が方向によって変わらないことを示したマイケルソン=モーリーの実験に関連してH.A.ローレンツがすでに導いていたので,現在でもローレンツ変換と呼ばれているが,アインシュタインはローレンツとは異なるまったく新しい解釈を与えたのである。
→相対性理論
執筆者:藤井 保憲
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
… 正しい座標変換としてアインシュタインが(1)式に代わるものとして提出したのは,である。この変換式はローレンツ変換と呼ばれ,ローレンツがローレンツ収縮を導いた際に用いたものと同じ形であるが,その前提はまったく異なる(この式の導き方についてはコラム〈ローレンツ変換の導き方〉を参照)。 この変換式が示すもっとも著しい特徴は,空間と時間(xとt)とが互いに移り変わることである。…
※「ローレンツ変換」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...