不調(読み)フチョウ

デジタル大辞泉 「不調」の意味・読み・例文・類語

ふ‐ちょう〔‐テウ〕【不調】

[名・形動]《古くは「ふぢょう」とも》
事がうまくととのわないこと。まとまらないこと。また、そのさま。「談判不調に終わる」
調子が悪いこと。思わしくないこと。また、そのさま。「からだの不調を訴える」「機械不調だ」
不都合なこと。欠点の多いこと。また、そのさま。
「いと―なる娘まうけ侍りて、もて煩ひ侍りぬ」〈野分
入札不調」の略。
[類語]変調不順低調不振乱調低迷なまるにぶる冴えない伸び悩む上がったりスランプうだつが上がらない弱る弱まる鈍化弱化

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精選版 日本国語大辞典 「不調」の意味・読み・例文・類語

ふ‐ちょう‥テウ【不調】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) ( 古くは「ふぢょう」とも )
  2. ととのわないこと。事が成り立たないこと。治まらないこと。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「御年貢済否事、〈略〉地頭等在所国々相隔候之故、于今不調候也」(出典吾妻鏡‐文治四年(1188)九月三日)
    2. 「談判不調と思ったものか」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉一〇)
    3. [その他の文献]〔漢書‐紀元帝〕
  3. 調子が悪いこと。具合が悪いこと。気分が悪いこと。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「心操聊不調。度々現奇怪之間」(出典:吾妻鏡‐文治三年(1187)三月二一日)
    2. 「心のふぢゃうに候はんは直させ給ひ候ひて」(出典:義経記(室町中か)三)
  4. 至らないこと。思わしくないこと。不都合なこと。また、そのさま。不調法。
    1. [初出の実例]「いと、ふてうなるむすめまうけ侍て、もてわづらひ侍ぬ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)野分)
    2. 「従者の中に一人の男有り、本、性、不調にして主の心を破て動かす」(出典:今昔物語集(1120頃か)一七)
  5. 不義密通などをはたらくこと。淫乱な行ないをすること。
    1. [初出の実例]「日比院中昵近之時二位殿〈国母〉。密通申。〈略〉二位殿不調無面目御事歟」(出典:看聞御記‐応永三一年(1424)六月八日)
    2. 「太后は邯鄲の傾城のはてちゃほとに、不調て淫乱なそ」(出典:史記抄(1477)五)

ふ‐じょう‥デウ【不調】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) ⇒ふちょう(不調)

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普及版 字通 「不調」の読み・字形・画数・意味

【不調】ふちよう(てう)

調和しない。〔後漢書、章帝紀〕(建初二年)春三辛丑、詔して曰く、比年連年)、陰陽(ととの)はず、饉(ききん)(しばしば)臻(いた)る。

字通「不」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の不調の言及

【不孝】より

…すなわち,当時この行為を〈不孝す〉といった。子孫のいかなる行いに対して不孝がなされるかについては,公家法では教令違犯,供養(くよう)の闕(祖父母,父母を養ううえでの手落ち),また武家法では教令違犯,敵対,向背(きようはい)(教訓,指示に背く),不調(ふぢよう)(不行跡)などの抽象的な非行表現で十分であって,非行の内容を具体的に示す必要はなかった。不孝された者は,家から追放され,嫡子に立って家を継ぐ身分も,祖父母,父母の財産の分与にあずかる資格もともに奪われ,すでに与えられた財産も取り上げられた。…

※「不調」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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