日本大百科全書(ニッポニカ) 「丹原」の意味・わかりやすい解説
丹原
たんばら
愛媛県東部、周桑郡(しゅうそうぐん)にあった旧町名(丹原町(ちょう))。現在は西条市(さいじょうし)の西部を占める一地区。1913年(大正2)福岡村が町制施行して丹原町となり、1955年(昭和30)徳田村、1956年田野村と合併。2004年(平成16)、東予(とうよ)市、周桑郡小松(こまつ)町とともに西条市に合併。旧町域は、高縄(たかなわ)半島と石鎚(いしづち)山脈の間に開けた周桑平野の西部を占める。中山(なかやま)川の上流域にあって、県内屈指の穀倉地帯としても知られる。国道11号が通じ、今治(いまばり)小松自動車道の東予丹原インターチェンジが近い。中心地区の丹原は松山藩時代に中山川沿岸の原野を開拓し、東西四町、南北一町の物資集散地としてつくられた在町(ざいまち)で、以来周敷(すふ)(布)郡(1897年に桑村郡と合併して周桑郡となる)の中心となった。現在も当時の地割が残っている。湯谷口(ゆやぐち)には中央構造線に沿う衝上(しょうじょう)断層が露出し、冷泉がある。関屋は扇状地でミカン、愛宕柿(あたごがき)の生産が盛ん。興隆寺の本堂、銅鐘(弘安9年銘)、石造宝篋印塔(ほうきょういんとう)は国指定重要文化財。石鎚山に近い堂ヶ森(どうがもり)(1689メートル)などの景勝地は、石鎚国定公園域。国道11号沿いにはサクラの名所「桜三里」がある。
[横山昭市]