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乳腺症 にゅうせんしょう mastopathy

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

乳腺症
にゅうせんしょう
mastopathy

マストパチーともいう。乳腺の一部が周囲に比べて硬度を増して硬結,腫瘤をつくる状態をいう。しこりの大きさはいろいろで,乳癌や線維腺腫のように限局せず,月経周期による消長があり,多発することもある。

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デジタル大辞泉の解説

にゅうせん‐しょう〔‐シヤウ〕【乳腺症】

乳腺にいくつかの境界のはっきりしない腫瘤(しゅりゅう)ができる良性の病気。30~40歳の女性に多い。

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百科事典マイペディアの解説

乳腺症【にゅうせんしょう】

マストパチーとも。30〜50歳の女性の乳腺の一部がかたくなる病気で,乳癌などの真性の腫瘍(しゅよう)でも乳腺炎でもないものの総称。原因としては性ホルモンの影響などが考えられ,月経時に乳腺痛を訴えるものもある。
→関連項目前癌状態

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家庭医学館の解説

にゅうせんしょう【乳腺症 Mastopathy】

[どんな病気か]
 乳腺の病気のなかでもっとも多い病気で、乳腺の病気の半分近くを占めています。
 乳腺症は、中年女性によくみられる乳腺の良性疾患で、性ホルモンの不均衡(相対的なエストロゲン過剰)によりおこります。乳腺組織の増殖、萎縮(いしゅく)、化生(かせい)(ほかの細胞に変化すること)した状態が混在しています。
 乳腺症は、診察・治療中に自然治癒(ちゆ)、あるいは退縮することがあります。
[症状]
 よく発症する年齢は、35~45歳で、閉経後は急減します。十分に授乳を行なったかどうか、授乳期に乳腺炎(にゅうせんえん)(「急性うっ滞性乳腺炎」、「急性化膿性乳腺炎」、「慢性乳腺炎」、「思春期乳腺炎」)を患ったかどうかによって、また年齢によっても症状はまちまちです。
 ふつう、片側または両側の乳房(にゅうぼう)に痛みがあり、乳房内に境界が不鮮明不規則な、顆粒(かりゅう)状、結節(けっせつ)状、平皿状のしこりが触れ、押すと痛みが強くなります。しこりと痛みは、必ずしも持続するわけではなく、月経前後に強くなり、月経開始とともに軽くなるといった周期性をもつことがあります。
 また、乳頭の異常分泌(ぶんぴつ)がみられたり、嚢胞(のうほう)をつくることがあります。嚢胞の場合は、境界のはっきりした球形ないし卵形のしこりとして触れます。
[検査と診断]
 指でつまむとしこりがよく触れ、平手では触れにくいことから、乳腺症と診断できることが多いものです。しかし、マンモグラフィー(乳腺X線検査)や超音波検査を行なって、乳がん(「乳がん」)でないことを確かめることが必要です。
 乳腺症は前がん状態ではないのですが、乳腺症があると乳がん発症の危険率を高めますし、発症年齢が重なっているので、乳がんとの鑑別を行なうことがたいせつです。
 とくに、乳管内上皮増生(じょうひぞうせい)や乳管内乳頭腫(にゅうとうしゅ)(「乳管内乳頭腫」)という病変が、超音波検査などで見つかった場合は、試験的にしこりの一部を切除するか、穿刺細胞診(せんしさいぼうしん)(乳房のしこりに針を刺し、しこりの細胞を微量採取して病理学的に細胞を調べる検査)を行ない、がんでないことを確認します。
 嚢胞の場合も、がんとの鑑別がたいせつで、超音波検査や穿刺吸引細胞診を行なって、がんでないことを確認します。
[治療]
 乳腺症は良性の疾患ですから、とくに治療を必要としません。しかし、痛みの強い場合には、薬物による治療が行なわれ、男性ホルモン、あるいは抗エストロゲン剤などが使用されます。

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世界大百科事典 第2版の解説

にゅうせんしょう【乳腺症 mastopathy】

マストパチーともいう。乳腺の良性のしこりで,乳癌との鑑別が難しい疾患である。卵巣機能に影響されて乳腺の上皮が異常増殖したものであるとの説が強い。30歳代から50歳代に多い。しこりは表面がぶつぶつしており,片側の乳房に複数あったり,両側の乳房に同時にあったりもする。痛みのあることもあり,乳首から血性または漿液性の分泌物がみられることもある。しこりの大きさは変わりやすく,月経の前には大きくなり,痛みも増すが,月経が終わると縮小し,ときには消えてしまう。

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大辞林 第三版の解説

にゅうせんしょう【乳腺症】

乳房中に大小さまざまのしこりができ、軽い圧痛のあるもの。三〇~五〇歳の女性に多くみられ、乳癌に移行することがある。性ホルモン代謝の変調が原因と考えられている。マストパチー。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

乳腺症
にゅうせんしょう

乳房中の小腺管が増生して嚢胞(のうほう)を形成し、全体として腫瘤(しゅりゅう)を形成するもので、マストパチーMastopathie(ドイツ語)ともよばれる。乳腺の疾患としては臨床上もっとも多くみられ、その一部は癌(がん)に移行することもあり、とくに癌との鑑別診断が重要とされている。原因としては卵巣を中心とする内分泌機能の不均衡や変調があげられており、乳腺症の腫瘤は真の腫瘍(しゅよう)ではなく、一種の腫瘍様病変とみられている。好発年齢は閉経期前後とされるが、30~40歳代に多く、両側あるいは一側の乳腺内に1個から数個の大小不同な腫瘤ができる。この腫瘤は乳癌と同様に乳房の乳頭を中心とした四分の一円のうち、上外方にみられることが多いが、両者は次のような点で異なる。すなわち、乳腺症の場合は自発痛ないしは軽い圧痛を伴うほか、腫瘤の境界が不鮮明で表面がほぼ平滑なため、両指間に挟むように触診すれば触れるが、平手で圧検したのではわからず、また月経前に症状が強くなるが、月経がくるか終了するころには軽減もしくは消失するほか、乳頭分泌を伴うこともあるが血性分泌は少ないなど、これらはいずれも乳癌との鑑別に役だつ。
 乳腺症は、月経異常や不妊のほか、性生活の変化、妊娠中絶の経験者、出産回数の少ない者、授乳異常のあった者などに発生しやすく、治療はその程度によってさまざまである。軽症で月経後に消失する程度のものは経過を観察するだけで治療の必要はなく、乳腺痛の強い場合や硬結がびまん性のものには男性ホルモンなどのホルモン療法を数週間行う。このホルモン療法が無効な場合や乳癌との鑑別が困難な結節部分がある場合、また再発を繰り返す場合には局所手術を行い、組織学的検査を実施する。その結果、悪性化の疑われるものについては乳腺全切除あるいは単純乳房切断術が行われる。[山本泰久]

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