人事不省(読み)ジンジフセイ

デジタル大辞泉 「人事不省」の意味・読み・例文・類語

じんじ‐ふせい【人事不省】

昏睡こんすい状態に陥り、意識を失うこと。「人事不省に陥る」
[類語]悶絶気絶失神喪心無意識前後不覚心神喪失昏睡気が遠くなる目を回す気を失う

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精選版 日本国語大辞典 「人事不省」の意味・読み・例文・類語

じんじ‐ふせい【人事不省】

  1. 〘 名詞 〙 ( [ドイツ語] Bewustlosigkeit の訳語 ) 昏睡状態に陥り、意識不明になること。知覚が全くなくなること。
    1. [初出の実例]「火酒の甕辺に坐して独り大杯を傾け人事不省に至らされば止まず」(出典:西洋事情(1866‐70)〈福沢諭吉〉二)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「人事不省」の意味・わかりやすい解説

人事不省
じんじふせい

意識が持続的に完全に消失した状態をいうが、このような意識障害は、呼びかけ・痛覚に対する反応、自発運動反射などによって、軽いものから高度のものへの順で、無関心、傾眠昏眠(こんみん)、昏睡の段階に分けられる。もっとも高度の意識障害である昏睡は、刺激を与えても反応がなく、覚醒(かくせい)しない。また、自発運動はまったくみられず、筋肉は弛緩(しかん)し、瞳孔(どうこう)反射は多くの場合消失する。昏睡は、腎(じん)疾患、肝疾患、糖尿病、脳症頭部外傷、心疾患、熱射病、各種中毒などの場合におこすことが多い。なお、ごく短時間の一過性の意識消失を失神という。

[井上義朗]

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四字熟語を知る辞典 「人事不省」の解説

人事不省

昏睡状態に陥り、意識不明になること。また、気絶して知覚が全くなくなること。

[使用例] 妻の心覚えに付けた日記を読んでみて、〈略〉ノウヒンケツ〈略〉を起こし人事不省に陥るとあるのに気がついた時[夏目漱石*思ひ出す事など|1910~11]

[使用例] そこはいつか、雪雄が田毎と喧嘩して、頭を撃ち、人事不省におちた場所である[舟橋聖一*若いセールスマンの恋|1954]

[解説] 「人事」は人のなし得る事柄、「不省」は省みないこと。

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