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先カンブリア時代 せんカンブリアじだいPrecambrian time

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

先カンブリア時代
せんカンブリアじだい
Precambrian time

地質時代の年代区分の一つで,最も古い時代。古生代カンブリア紀が始まる約 5億4100万年前までのおよそ 40億年以上の長い期間をさす。古いほうから始生代原生代と区分することがある。この時代の岩石は,世界の楯状地を形成して分布し,大部分が片麻岩結晶片岩などの変成岩花崗岩などの深成岩であるが,先カンブリア時代後期の岩石には各種の堆積岩がある。また氷河堆積物砂漠気候を指示する堆積物なども知られている。化石はきわめて少ないが,20億年前頃の岩石から石墨石灰岩などが多く出て,藍藻類に属するとみられる石灰藻バクテリア化石が見つかっている。最古の化石として約 30億年前の藻類が南アフリカから報告されているので,生命の発生はかなり古いとみられる。近年放射能年代測定による絶対年代の資料が豊富になり,先カンブリア時代に数回の大きな地殻変動があったことが判明している。

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知恵蔵の解説

先カンブリア時代

地球誕生時から多くの有殻無脊椎動物が出現した古生代カンブリア紀の開始までの、地質時代の総称。45.5億〜40億年前の岩石記録はないが、40億年前以降の地球過程は描けるようになった。二十数億年前を境に太古代と原生代に区分されるが、原始大気中に遊離酸素がなかった時代から、酸素が増加する約20億年前や、初めて超大陸が形成され、全マントル対流が始まった約19億年前も重要とされる。酸素をつくるシアノバクテリアによるストロマトライトの出現は約27億年前といわれる。西オーストラリアの35億年前の地層からメタン生成菌の痕跡が発見され、当時すでに生命活動があったと推定されている。

(斎藤靖二 神奈川県立生命の星・地球博物館館長 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

百科事典マイペディアの解説

先カンブリア時代【せんカンブリアじだい】

古生代に先立つ最も古い地質時代名。地球の生成(約46億年前)から5億7000万年前まで。かつて太古代と呼ばれたこともある。最古の岩石はカナダのアカスタ片麻岩で約40億年前。
→関連項目バルト楯状地

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世界大百科事典 第2版の解説

せんカンブリアじだい【先カンブリア時代 Precambrian age】

古生代カンブリア紀(5億9000万年前に始まる)に先だつ時代の意で,それ以前の地質時代をいう。地球の誕生の45億年前までの約40億年を先カンブリア時代とする考えもあるが,地球上で研究できる最古の岩石の年齢である38億~40億年前に至る約34億年を先カンブリア時代とよび,それ以前の時代を先地質時代として区別する。古生代およびそれ以降の地質時代は化石の証拠が豊富であるところから顕生代Phanerozoic eonとよばれるのに対し,先カンブリア時代は隠(陰)生代Cryptozoic eonとされたが,この語は現在はほとんど使われない。

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大辞林 第三版の解説

せんカンブリアじだい【先カンブリア時代】

地殻ができてから古生代カンブリア紀の前までの時代。古いほうを始生代、新しいほうを原生代と二分することもある。太古代。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

先カンブリア時代
せんかんぶりあじだい
Precambrian

地質時代において確実な化石が目だって産出するようになるのは、約5億4100万年前の古生代のカンブリア紀に入ってからであるが、それに先だつ地質時代を一括して先カンブリア時代とよんでいる。地球が形成された約46億年前から約5億4100万年前までの約40億年に及ぶ長大な地質時代に相当する。先カンブリア時代に形成された地層を先カンブリア界という。
 この時代は、最初の生命が発生した時代という意味の始生代(または太古代)と、原始的な生物の時代という意味の原生代に区分される。始生代は、地球の形成より約25億年前までの時代にあたり、地球の基本的構造が形成される。これまでに確認された最古の岩石は、約38億から約37億年前のものである。先カンブリア時代の岩石は楯状地(たてじょうち)を形成し、北アメリカ大陸北東部、南アメリカ大陸アマゾン地域、シベリア、北ヨーロッパ、アフリカ大陸南東部、オーストラリア大陸西部、インド、中国華北より朝鮮半島などに広く分布している。先カンブリア時代の地層・岩石は、粘板岩、砂岩、礫(れき)岩、火山砕屑(さいせつ)岩類、またそれらを貫く深成岩類などであるが、何回もの変成作用を受け、一般に、結晶片岩類や片麻岩になっている場合が多い。ただし、後期の地層には、石灰岩、白雲岩、赤色岩層の発達もみられ、地層の保存もよく、化石もまれにみつかる。始生代に生物が存在していたことは、生物源とみなされる石墨や鉄鉱層の発達からも推察されるが、バクテリアや藍藻(らんそう)の化石と思われるものが、南アフリカの30億年以上も前の地層より発見されている。石灰質ストロマトライトは、世界各地の後期始生代以降の地層中に普通にみられる。原生代の末期には、真核多細胞生物も出現し、エディアカラ動物相を構成する多様な軟体性多細胞が生息していた。古気候については不明な点が多いが、氷礫岩層や氷河が磨いた岩盤が各地で発見されており、何回かの氷河時代があったことがわかっている。先カンブリア時代末の8億~6億年前の氷河時代はとくに大規模で氷河が地球表面の大部分を覆いつくしていたと考えられている。
 東アジアでは、中国の華北より朝鮮半島にかけて、主として結晶片岩類や片麻岩よりなる先カンブリア界が発達している。日本には、先カンブリア時代の地層は知られていないが、岐阜県の中生代の礫岩層中より約20億年前の年代を示す片麻岩礫が発見されており、礫をもたらした後背地に先カンブリア界が存在していたことが明らかになった。[小澤智生]
『リチャード・T・J・ムーディ、アンドレイ・ユウ・ジュラヴリョフ著、小畠郁生監訳『生命と地球の進化アトラス 地球の起源からシルル紀』(2003・朝倉書店) ▽アンドルー・H・ノール著、斉藤隆央訳『生命 最初の30億年――地球に刻まれた進化の足跡』(2005・紀伊國屋書店)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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