兎・兔(読み)うさぎ

精選版 日本国語大辞典 「兎・兔」の意味・読み・例文・類語

うさぎ【兎・兔】

〘名〙
① ウサギ科の哺乳類の総称。また、イエウサギの呼称。耳が長く、後ろ足前足より長い。口には長いひげがあり、上唇は縦に裂けている。草食性で繁殖力が強い。アンゴラチンチラ、日本白色種などのイエウサギは、ヨーロッパ原産のアナウサギを家畜化したもの。野生のものにノウサギユキウサギアマミノクロウサギなど一一属四二種がある。肉は食用に、毛は羊毛とまぜたり筆の材料にしたりする。う(兎)。おさぎ。《季・冬》
※本草和名(918頃)「菟頭骨菟竅〈略〉和名宇佐岐」
※百座法談(1110)六月一九日「くすしも女もうさぎの血を師子の血とまうして」
② 紋所の名。兎の形を模様にする。マムキウサギ、ミツコウリンウサギなど種々ある。
③ 寝すごして約束の時間に遅れる者。〔東京語辞典(1917)〕
[語誌]「古事記‐上」「因幡風土記逸文」には、鰐を騙す狡猾な側面と、騙した相手に報復される無力な姿とが対照的に描かれる。仏典典拠を持つ「今昔‐五・一三」には、帝釈が化した老人をもてなすために、兎が我が身を焼いて供する説話が見える。死後兎はその誠実さをたたえられ月に住むことになるが、この説話は講経談義の場においてさかんに語られ、「月の中で兎が餠をついている」という伝説はこれらを通じて流布されたらしい。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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