八頭(読み)ヤツガシラ

デジタル大辞泉 「八頭」の意味・読み・例文・類語

やつ‐がしら【八頭】

サトイモの一品種親芋を中にしていくつもの子芋が出て、ひとかたまりに大きくなる。煮物などに用いる。葉柄褐色を帯び、ずいきとして食用
[類語]里芋薩摩芋甘藷ジャガ芋馬鈴薯山芋山の芋長芋自然薯親芋種芋

はち‐がしら【八頭】

漢字部首の一。「公」「六」などの「八」の称。

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精選版 日本国語大辞典 「八頭」の意味・読み・例文・類語

やつ‐がしら【八頭】

  1. 〘 名詞 〙
  2. サトイモの栽培品種。種芋からほとんど同大の親芋を七~九個生じ、密着して径一五センチメートルぐらいのかたまりとなる。子芋は小形で球形、数はごく少ない。葉柄は短く紫赤色、「ずいき」として食用にする。八頭芋九面芋。《 季語・秋 》 〔博物図教授法(1876‐77)〕
  3. 八つ時の少し前。また、八つになったばかりの時刻。
    1. [初出の実例]「八つがしらの日ざしに心をいそがせ立わかれぬ」(出典:浮世草子・新色五巻書(1698)一)
  4. 能楽の大鼓・小鼓の手の一つ。強い高音を出す音(頭(かしら))を八つ打つもの。
    1. [初出の実例]「乙ならは、八かしらを打おさめよ」(出典:花伝髄脳記(1584頃)灌頂之巻)

はち‐がしら【八頭】

  1. 〘 名詞 〙 漢字の部首の一つ。「公」「六」などの「八」の部分。

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改訂新版 世界大百科事典 「八頭」の意味・わかりやすい解説

八頭[町] (やず)

鳥取県東部,八頭郡の町。2005年3月郡家(こおげ),八東(はつとう),船岡(ふなおか)の3町が合体して成立した。人口1万8427(2010)。

八頭町北部の旧町。八頭郡所属。人口1万0009(2000)。中央を千代川支流の私都(きさいち)川が流れ,町の西端で八東川と合流,合流点以東には河岸段丘が発達している。中心集落の郡家は郡行政の中心で政府出先機関が集中する。郡家駅でJR因美線から若桜(わかさ)鉄道が分岐し,町の中心地区を国道29号線が貫通する。農業を基幹産業とし,沖積低地での米作,山麓での御所柿,二十世紀梨の果樹栽培が行われる。江戸時代に池田藩の奨励で発達した久能寺(因久山)焼の伝統工芸があり,茶器,花器が生産される。土師百井廃寺塔跡(史)があり,青竜寺の持国天立像,多聞天立像は重要文化財に指定されている。

八頭町南東部の旧町。八頭郡所属。人口5572(2000)。千代川支流の八東川中流域に位置し,町域は八東川沿いに東西に細長く続く沖積低地と,扇ノ山(おうぎのせん)(1310m)を主峰とする山地からなる。西端にある安井は鳥取と姫路を結ぶ若桜街道の旧宿場町で,現在も国道29号線と若桜鉄道が通じる交通の要地である。八東川の支流細見川の谷の上流部は古くから林業が盛んで木地屋集落が多かった。農林業が町の主産業で,沖積低地では米作,野菜栽培,山麓部では二十世紀梨,御所ガキ栽培が行われる。山林の開発も行われ,細見谷の柞原(たらばら)は扇ノ山国有林林道の起点。町域北東端の扇ノ山一帯は氷ノ山後山那岐山(ひようのせんうしろやまなぎさん)国定公園に含まれる。用呂地区に江戸前期に建てられた矢部家住宅(重要文化財)がある。

八頭町の南西部の旧町。八頭郡所属。人口4664(2000)。千代川支流の八東川南岸に位置する。八東川と大江川の合流点に形成された谷口集落の船岡が中心集落で,近世には鳥取藩家老乾氏の陣屋が置かれた。高瀬舟水運の起点にも当たり,物資の集散地として栄え,7月5日と12月24日に定期市が立った。農業が主産業で,米作,花卉・二十世紀梨などの栽培が行われる。かつては因伯牛の産地として全国的に知られ,牛のせり市も開かれた。若桜鉄道が通じる。
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八頭 (やつがしら)

サトイモの1品種。サトイモの他の品種,とくに子いもを利用する品種群では,葉を出さない子・孫いもを多数生じるが,八頭はそれら子いもや孫いもも葉を広げるだけでなく,いも全体が合生して一塊となる。子いもとなる部分が短指状の芽となり,これが多数集合している状態から名まえが由来した。食用とするほか,水盤で育て観賞用とする。いもの肉質はなめらかな粉質でサトイモのうちでも味がよく高級品とされ,含め煮などとする。
サトイモ
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「八頭」の意味・わかりやすい解説

八頭(町)
やず

鳥取県東部、八頭郡にある町。2005年(平成17)3月、八頭郡郡家町(こおげちょう)、船岡町(ふなおかちょう)、八東町(はっとうちょう)が合併して成立。北東端に氷ノ山後山那岐山(ひょうのせんうしろやまなぎさん)国定公園の一角を占める扇ノ山(おうぎのせん)(1310メートル)がそびえ、町域を貫流する八東川の段丘上におもな集落、耕地が展開。町の西部をJR因美(いんび)線が縦断、同線郡家駅で分岐する若桜(わかさ)鉄道や国道29号、482号が八東川沿いに走る。農業では花御所(はなごしょ)柿が特産、ほかに米(船岡米)、二十世紀ナシ、リンゴ、西条ガキなどの果樹、広留野(ひろどめの)ダイコン、キノコ類、花卉(かき)などの栽培が盛ん。船岡は、江戸時代は鳥取藩家老乾(いぬい)家の陣屋町、川船輸送の拠点として繁栄、明治時代には牛馬市が立ち、賑(にぎ)わった。1739年(元文4)に起きた元文一揆(げんぶんいっき)(因伯(いんぱく)両国にわたる鳥取藩の全藩一揆)の首謀者とされる松田勘右衛門は、当地東(ひがし)村の信望ある篤農家であった。青龍(せいりゅう)寺が蔵する木造持国天(じこくてん)立像、木造多聞天(たもんてん)立像は国指定重要文化財。白鳳時代の建立と考えられる土師百井(はじももい)廃寺は国指定史跡。江戸時代に大庄屋を勤めた矢部家の住宅(17世紀初期)は県下最古級の民家で、国指定重要文化財。沢神社の麒麟獅子舞は県指定無形民俗文化財。面積206.71平方キロメートル、人口1万5937(2020)。

[編集部]


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百科事典マイペディア 「八頭」の意味・わかりやすい解説

八頭[町]【やず】

鳥取県東部の八頭郡の町。町域を八東川が流れる。2005年3月八頭郡郡家町,船岡町,八東町が合併し町制。JR因美線,若桜鉄道,国道29号線,482号線が通じる。206.71km2。1万8427人(2010)。

八頭(植物)【やつがしら】

サトイモの一品種。親いもは扁平でいくつかの子いもが着生して肥大する。サトイモ中ではいもが大きく粉質で,特に煮物に適する。葉柄は赤紫色でずいきとして食用。またいもを水栽培して葉を観賞することもある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「八頭」の意味・わかりやすい解説

八頭
やつがしら

サトイモ (里芋)の栽培品種の一つ。種芋からほとんど同大の親芋を生じ,両者合せて7~9個が癒合して直径 10cmほどの塊となる。その形状から,八頭とか九面芋と呼ばれるようになった。子芋の着生は少く,肥大しない。粉質で美味。葉柄を乾燥したずいきは,サトイモのなかで最も良質とされる。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「八頭」の解説

八頭 (ヤツガシラ)

植物。里芋の品種

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世界大百科事典(旧版)内の八頭の言及

【サトイモ(里芋)】より

… サトイモの品種はきわめて多い。日本で栽培の多い品種は,赤芽,土垂(どたれ)(イラスト),石川早生,唐芋(とうのいも),八頭(やつがしら)(イラスト)など。品種はいものつき方などから数型に分類されている。…

※「八頭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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