内人(読み)ウチヒト

デジタル大辞泉 「内人」の意味・読み・例文・類語

うち‐ひと【内人】

《「うちびと」とも》
伊勢神宮などの神職で、禰宜ねぎの次の位の人。宿直や、神に供える酒食のことを扱った。うちんど。
天皇から賜った召使いわらわ
「この度の童の名ども、院人、―、宮人殿人などやうにつけ集めさせ給へり」〈栄花・輝く藤壺

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精選版 日本国語大辞典 「内人」の意味・読み・例文・類語

うち‐ひと【内人】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「うちびと」とも ) 伊勢神宮などに奉仕した神職の一つ禰宜(ねぎ)の下にあって物忌とともに、祭事に従った。大内人小内人があり、熱田神宮香取社などにも見られる。うちんど。
    1. [初出の実例]「伊勢大神宮神主外従五位下神主首名授外従五位上。内人、物忌男五人、女十六人、授位各有差」(出典続日本紀‐天平勝宝五年(753)正月丁未)

うちゅうどうちうど【内人】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「うちゅうと」とも ) 家の中にこもっていて、外に出ようとしない人。〔日葡辞書(1603‐04)〕

うち‐うど【内人】

  1. 〘 名詞 〙うちゅうど(内人)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「内人」の意味・わかりやすい解説

内人
うちんど

伊勢(いせ)神宮の旧神職の一つで、熱田(あつた)、香取(かとり)、鹿島(かしま)などの神社でもみられる職名。「うち」とは祭神に親しく仕え奉る義。古語で「うちびと」といい、中世以来「うちんど」と音転した。大(おお)内人と小(こ)内人に大別される。『延暦(えんりゃく)儀式帳』では、皇大神宮(こうたいじんぐう)(内宮(ないくう))に大内人3人、小内人13人、豊受大神宮(とようけだいじんぐう)(外宮(げくう))に大内人3人、小内人5人あり、『延喜太神宮式(えんぎだいじんぐうしき)』によれば、内宮に大内人4人、小内人19人、外宮に大内人4人、小内人8人が置かれている。大内人は禰宜(ねぎ)に次ぐ重職として宮中守衛や御料出納(すいとう)などを務め、内宮の上席者をとりわけ宇治(うじ)大内人と称した。また小内人は御笥作(みけつくり)、忌鍛冶(いみかじ)、陶器作(すえものつくり)、御笠縫(みかさぬい)、日祈(ひのみ)、御巫(みかんなぎ)、御馬飼(みうまかい)、木綿作(ゆうつくり)などの諸職に分かれ、およそ祭器具の調製や神事奉仕が神役の主たるものであった。歴史的には大小の内人ともに人員や職役の変化がみられ、大内人には権玉串(ごんたまぐし)、宮掌(くうじょう)、番検が増え、小内人では大麻(おおぬさ)、御塩湯(みしおゆ)、鑰取(かぎとり)、御火(みひ)、菅裁(すがたち)などの職が加わった。しかし1871年(明治4)の神宮制度改革に伴い、これら内人のすべてが廃止された。

[中西正幸]

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改訂新版 世界大百科事典 「内人」の意味・わかりやすい解説

内人 (うちんど)

伊勢神宮の古い祠官の一つ。〈うちびと〉とも呼んだ。内は親しく奉仕するという意に由来する。物忌(ものいみ)とともに神宮の祭祀を行う上での重要な職掌で,禰宜(ねぎ)の下にあって神役に奉仕した。《延喜式》の大神宮に関する規定には,大内人・小内人の二つに分け,大内人は内宮(ないくう)・外宮(げくう)にそれぞれ4人,小内人は内宮に9人,外宮に8人,また各別宮(べつくう)に2人ずつおいた。小内人はその職掌によって御笥作(みけつくり)内人,御笠縫(みかさぬい)内人,木綿作(ゆうつくり)内人,陶器作(すえのうつわつくり)内人,忌鍛冶(いみかじ)内人,日祈(ひのみ)内人,御巫(みかんなぎ)内人などと呼ばれた。その内容や員数については時代により相当な変遷がある。また伊勢神宮のほかにも古社の中には内人の職掌のあったことが知られている。
執筆者:


内人 (うちびと)

内人(うちんど)

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普及版 字通 「内人」の読み・字形・画数・意味

【内人】ないじん

宮人。

字通「内」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の内人の言及

【内人】より

…物忌(ものいみ)とともに神宮の祭祀を行う上での重要な職掌で,禰宜(ねぎ)の下にあって神役に奉仕した。《延喜式》の大神宮に関する規定には,大内人・小内人の二つに分け,大内人は内宮(ないくう)・外宮(げくう)にそれぞれ4人,小内人は内宮に9人,外宮に8人,また各別宮(べつくう)に2人ずつおいた。小内人はその職掌によって御笥作(みけつくり)内人,御笠縫(みかさぬい)内人,木綿作(ゆうつくり)内人,陶器作(すえのうつわつくり)内人,忌鍛冶(いみかじ)内人,日祈(ひのみ)内人,御巫(みかんなぎ)内人などと呼ばれた。…

※「内人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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